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第48回

「歯周ポケット」放置は危険…重篤な病気につながる歯周病を引き起こすことも

最終更新日時 2023/07/19
#介護予防 #高齢者の健康
目 次

高齢になると歯周病にかかることが多くなります。

歯周病とは、歯と歯ぐきの隙間から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こす「歯肉炎」、それに加えて歯を支える歯槽骨を溶かし、歯をグラグラにさせる「歯周炎」を合わせた呼称です。

歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、重症化すると心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病などさまざまな病気を引き起こすため、なるべく予防し、悪化を防ぎたいところです。

そして、そんな歯周病を引き起こし、悪化させる原因となるものが「歯周ポケット」です。

そこで今回は、歯周ポケットのケアについて詳しく解説いたします。

歯周ポケットの構造を知ろう

歯周ポケットとは

歯は歯肉とぴったりとくっついているわけではないので、歯の周りには、歯と歯肉の間に溝ができています。この溝には、口腔内の細菌や食物がとどまりやすくなっています。

この溝の深さは、健康な人であれば1~2mm程度です。細菌や食物がとどまっても、歯根膜や歯肉の感染防御の働きにより、すぐに炎症が生じるわけではありません。

画像提供:イラストAC

しかし、細菌の塊であるプラークがつくと、歯肉に炎症が起こりやすくなります。

そもそも炎症とは、体を感染から守る防御反応で、細菌が体の奥深くに入り込むのを防いでいます。しかし、同時に、細菌から守るために血管から白血球が移動し、細菌のいる溝に到達しようとする反応も引き起こします。

白血球が到達するためには、自分の組織が妨げとなるため、コラゲナーゼなどの酵素を出して自分の組織を破壊するのです。

この段階では、炎症は歯肉にとどまり、歯を支えている歯の根・歯根膜・歯槽骨といった組織にはまだ影響を与えません。これは、歯肉炎と言われる状態で、このときに形成される溝は「仮性ポケット」といいます。

仮性ポケットができると、さらにプラークや歯石が付きやすくなります。このポケットの中は酸素濃度が低いため、酸素を必要としない嫌気性菌※の割合が増え、歯周炎に移行していく可能性が高くなってきます。

※微生物のエネルギー代謝において、酸素を必要としない性質または状態。酸素を嫌い、酸素がなくとも増殖できる細菌

歯周炎になると、歯を支えていた歯の根・歯根膜・歯槽骨といった組織が失われていきます。同時に、歯周炎は、歯と歯肉の間の溝を深くしていきます。

この歯周炎によって深くなった溝を「歯周ポケット」といいます。

画像提供:イラストAC

歯周ポケットによる問題

歯周ポケットが3mm以上の深さになると病的だとみなされるようになります。基本的には、歯周ポケットが深ければ深いほど、歯周病は重度であると考えられているからです。

歯周病は「歯のぐらつき」が代表的な症状になります。歯のぐらつきは自覚しやすく、歯科を受診する動機となる一つの症状で、噛みしめなどの物理的影響を受けたときにも生じますが、多くの原因が歯周病と言われています。

その要因の一つが、歯周ポケットが深くなることです。歯根の長さは12~13mmとなっているため、歯周ポケットの深さが6~7㎜に達すれば、歯の土台の半分を失うことになり、歯の動揺が生じやすくなるためです。

画像提供:イラストAC

また、歯周ポケットをそのまま放置しておくことは、爆弾を口に持っている状態とも言われています。歯周ポケットが深くなったときに、体調を崩してしまったりして、免疫力が低下した状態になると、歯周ポケット内の細菌がさらに増えやすくなるためです。細菌が増えて歯周病が悪化すると、痛みや腫れが生じることがあり、注意が必要です。

「白い膿」は歯周ポケットがある証拠

歯の周りに白い膿のようなものが出ている状態を見たことがあるかもしれません。

この白い膿は、歯周ポケット内の細菌に免疫が勝っていて、炎症が生じずに、細菌の死骸が歯肉から押し出されたものです。細菌の死骸が白い膿になって見えています。

白い膿が出てくるということは、その部位には歯周ポケットがあり、その中にプラークや歯石が存在していることを意味しています。

歯周ポケットのケア

まず、大切なことは歯周ポケットを予防することです。そのためには、日々の歯みがきや、歯間ブラシなどを用いて歯の間のケアを行うことが大切です。

まず、溝のなかに付いているプラークを除去するには、溝を意識した歯みがき方法が必要になります。

歯の表面だけではなく、歯と歯肉の境目にもきちんと毛先が当たっているか意識して歯ブラシをあてることが大切です。ハブラシの毛先を歯と歯肉の境目に充てる時は、45度程度の角度を意識してみましょう。そして、5mm程度に細かく動かしながら軽い力で歯みがきを行うと良いでしょう。

また、歯間ブラシは、ブラシ部分を歯間部に挿入し、数回動かして使用します。歯間ブラシにはさまざま種類があるため、適切なサイズのブラシを選択するようにしましょう。

これらのケアを習得するためには、歯科衛生士などから歯みがき指導を受けることが大切です。

また、できてしまった歯周ポケットのプラークや歯石は日常の歯みがきだけでの対応ではしっかり落とすことが困難です。歯科での専門的なケアや薬剤の使用、歯周ポケットを浅くするといった手術などの歯周治療が必要になることもあります。

そのため、歯周ポケットの予防やケアでは、定期的に歯科医院にて、専門的なケアや治療を受けることが重要です。

歯周ポケットのケアを行いながら、歯周ポケットを予防して大切な歯を守っていきましょう。

【参考文献】
厚生労働省“歯周病とは”.e-ヘルスネット.(参照:2023-07-04)

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