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第32回

高齢者の誤嚥性肺炎を防ぐ!嚥下体操「あいうべ体操」のやり方と効果を解説

最終更新日時 2022/05/17
#介護予防 #嚥下
嚥下(えんげ)機能は加齢とともに低下します。その原因は口の周囲にある筋力の低下です。その予防には「あいうべ体操」などで知られる嚥下体操が効果的です。今回は嚥下機能の解説と予防トレーニングの取り入れ方を紹介します。

加齢とともに嚥下機能が低下すると、誤嚥などの危険性が高くなります。

今回は、嚥下機能を支える筋肉などについて解説し、嚥下機能低下を予防するための簡単トレーニングを紹介いたします。

嚥下機能は多くの筋肉によって支えられている

嚥下は、食べ物を認識して、胃に入れるまでの行為のことをいいます。

嚥下機能には、口腔周囲筋、舌、頬、のどなどの多くの筋肉が関わっています。

まず、口の中に食べ物を入れた後に唇を閉じ、口からこぼれないようにします。

咀嚼では、食べ物を飲み込める状態にすりつぶし、唾液と食べ物を混ぜ合わせていくため、頬や舌の筋肉の動きが大切になります。

そして、飲み込める状態になった食べ物は、口腔の上壁である口蓋と舌で絞り込まれるようにして、のどに送り込まれていきます。

また、飲み込む際には、舌骨上筋群が収縮し、舌骨が前上方向に持ち上がります。

この動きと同時に起こる、のどの筋肉の収縮と、食道上部にある上食道括約筋の弛緩によって、食道の入り口が開き、食道へ食べ物が送り込まれます。

食道へ送り込まれた食べ物は、食道のぜんどう運動(筋肉の収縮によって生じたくびれで食べ物を移動させること)で胃に運ばれます。

このように、嚥下機能には、想像以上に多くの筋肉が動いており、これらの筋肉がちょうど良いタイミングで、正常な力をもって動くことが大切になります。

高齢者は筋力が落ち嚥下機能が低下しやすい

嚥下機能の低下は、自覚症状がほとんどない場合もありますが、多くはささいな支障として自覚されます。

嚥下機能が低下したときの症状

  • 噛む力が弱くなった
  • 舌を巧みに動かせない
  • 呂律がまわりにくい
  • 硬いものは食べにくくなった
  • むせることが多くなった

嚥下機能が低下する原因は、脳卒中や神経変性疾患による運動麻痺、筋委縮などの機能的障がい、口腔がんの手術後など舌の欠損があるといった器質的障がいが多くなっています。

加えて、嚥下機能は加齢とともに低下しやすいこともわかっています。

手足の筋力が加齢とともに低下するのと同じように、嚥下機能に関連する筋力は、加齢の影響を受け、筋肉量の減少や筋力低下が生じやすいためです。

また、高齢者は歯や義歯に問題がある方も多く、咀嚼の問題も起こりやすくなっています。

嚥下筋力が低下すると、誤嚥性肺炎などの原因となることがあるので、加齢による筋力低下を予防し、嚥下機能を維持することはとても重要です。

嚥下機能の維持は病気の予防にもなる

嚥下機能低下を予防するために体操を日常生活に取り入れよう

嚥下機能低下を予防するためには、筋力を維持するトレーニングを日常生活に取り入れることが大切です。

嚥下体操と呼ばれるトレーニング方法があります。

トレーニングの種類や方法を知っていても、日常生活の一部に取り入れられない場合は、持続して行うことができず、効果的ではありません。

そのため、日常の生活の中で、どのタイミングで行うか、あらかじめ考えておくと良いでしょう。食事前や口腔ケアの後、おやつの時間などが忘れずに取り入れやすいタイミングです。

あいうべ体操

よく知られている「あいうべ体操」は、口の準備体操としてのトレーニングにもなり、日常生活に取り入れやすいです。

「あ」で口を開ける筋肉を、「い」と口角をしっかり横に引くことで口唇を動かし、「う」で口の周りの筋肉を動かします。そして、「べ」と舌をしっかりだすことで、舌の筋肉を動かすことができます。

ただし、口を開けると顎がカクカクと鳴る方や顎が外れやすい方は、「あ」のときに、無理に口を開けないように気をつけましょう。

また、顎関節症や顎関節脱臼の既往がある方も避けましょう。そのような方は、「あ」を除いた「いうべ」で行うと良いでしょう。

食べこぼして服を汚してしまうことが多い方は「い」「う」と唇の周りをトレーニングすることで、口をしっかり閉じることができ、食べこぼしが減ることも期待できます。

舌の筋肉は嚥下機能にとって重要です。舌の巧みな動きがなければ、食べ物を咀嚼し飲み込むことが困難です。

舌は下顎や唇、頬の筋肉と協調しながら、口の中に入った食べ物をコントロールし、咀嚼から飲み込むまでの過程に関わっています。そのため、「べ」としっかり舌を出すトレーニングはより大切になってきます。

簡単にできる「あいうべ体操」

そのほか、口腔ケアの後などに、舌で左右の口角をしっかり舐める、上下の唇をしっかり舐めるなどの運動も取り入れやすいでしょう。

これらのトレーニングは、舌や口まわりが少し疲れるくらいを目安に行ってください。

食べるという行為自体が、嚥下機能を使って筋肉を動かすことになり、トレーニング的な要素が入っています。もし、要介護の高齢者などで、食事をすること自体で疲れてしまうような方は、食事前後の時間を避けてトレーニングをするように気を付けましょう。また、その方の体調に合わせて、トレーニング内容や時間を調整しながら行ってください。

嚥下機能を維持するために、日常的に話す、歌うなどの舌を動かす機会をもつとともに、簡単に嚥下機能のトレーニングができる「あいうべ体操」を生活にとりいれましょう。

ただ、嚥下機能が急激に低下したり、痰が増える、むせが増えるなどの誤嚥を疑う症状があった場合は、脳卒中による運動麻痺の可能性などもありますので、早期に医療機関へ相談するようにしてください。

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端場 愛
管理栄養士
2021/12/31

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