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第83回

認知症の義母の介護で負担が大きすぎる… 躊躇せず介護保険サービスの利用を!

最終更新日時 2023/02/28
目 次

配偶者の両親の介護で、どこまで口を出していいのか、どこまで手伝えばいいのかなど、関係性や距離感で悩んでいる方はとても多いです。

特に介護サービスの利用について、要介護者本人ではなく、家族や親族から反対を受けているという悩みは介護のあるあるトラブルの一つです。

Cさん(50代女性・パート職員)の事例

Cさんは認知症の義母(80代・要介護2)を、会社員の夫と同居介護しています。Cさんと義母の関係は非常に良かったそうです。

子育ての真っ只中で大病をしたときには、義母が家事や子どもたちの世話をしてくれただけでなく、Cさんにも親身に寄り添ってくれました。Cさんは「義母には感謝してもしきれない、できる限りのことをしたい」と、介護を頑張ってきました。

しかし、義母のトイレの失敗が増え、外出先で行方不明になるなど、Cさんの負担はどんどん増し、パートを休まなければならないこともありました。

最近では夕方や深夜に「実家に帰らなきゃ!!」と混乱して騒ぐこともあり、Cさんは慢性的な寝不足に陥っているそうです。

義母は週3回デイサービスを利用していますが、ショートステイ(短期宿泊サービス)を利用したことはありません。

Cさんはケアマネージャーと相談して利用を検討していましたが、夫に相談すると「かわいそうだ」「もっと状態が悪くなってからでいいんじゃないか? まだ早いだろう?」と、利用をしぶっていました。

夫は夜間のトイレ介助や通院介助など積極的に介護に関わり、Cさんへも「いつもありがとうな」とねぎらいの言葉をかけてくれていましたが、どうしてもショートステイだけは嫌がるのです。

丸2年以上、Cさんは自分のための時間が取れていません。仕事に集中したり、友人と出かけたりする時間も欲しいのです。

Cさんは、ショートステイを利用したいと伝え続けていますが、最近では夫があからさまに不機嫌になるので、話題に出すのが辛くなってきました。

介護サービスの利用で家族と意見が割れることもある

「現実を直視したくない」という複雑な思い

サービスの利用を嫌がる要介護者や親族・家族でも、サービスが100%不要だと思っているわけではありません。内心は、心身の変化や衰え、不安を感じていたり、介護サービスの利用が必要であることを意識しています。

ただ、現実を直視するのがあまりに辛く、言葉では「必要ない!」「余計なことをするな!」と、否定する言動につながることがあります。

介護に限らず、強い口調で否定したり怒ったりする人ほど、私たちが想像もできないような不安と恐れを抱えているものです。

誰にも内心を吐露できないまま、認めたくない気持ちと、利用しなければならないかもという気持ちの間で揺れているのでしょう。

Cさんの夫もそうだったのかもしれません。このケースでは、意外なトラブルが解決の糸口となりました。

実家でひとり暮らしをしているCさんの母親がガンと診断され、手術、入院が必要となったのです。一人娘のCさんは、母親の生活や通院の手助けをするために実家へ泊まることが増えました。

一人で義母の対応にあたった夫は、その状態を目の当たりにせざるを得なくなり、ようやくショートステイの申し込みに応じてくれたそうです。

覚悟を決めるには時間がかかる

実母の手術、入院というトラブルが起きたとき、Cさんを救ったのは「あきらめずに夫に伝え続けていた」という行動でした。

Cさんは、ショートステイの利用を強い口調で伝えることは避け、夫が比較的機嫌が良いときに、共倒れになることは誰も望んでいないこと、ショートステイを利用することでお互い余裕を取り戻せる可能性を伝え続けていたのです。

Cさんの夫は、ショートステイを利用する必要性をうっすらと感じつつも、実母の症状が進んでいることを直視するような話題は避けたかったのかもしれません。

図星だからこそ、人から言われると否定したくなりますし、感情的になるものです。また、覚悟を決めるタイミングを先延ばししたい気持ちもあったのでしょう。

Cさんが実家に戻ることが増え、介護負担の現実を目の当たりにしたことが、ショートステイの利用をしなければと覚悟するきっかけになったようです。

とはいえ、Cさんの負担がすべて解決したわけではありません。ようやく申し込んだショートステイはコロナ禍の影響で予約が取れませんでした。

しかし、夫の気持ちに変化が起きたことがCさんにとっては大きな一歩となり、希望を感じたといいます。

介護で一番辛いのは、今の状況が永遠に続くように感じたり、どうしていいか方向性が見えなくなってしまったときです。先行きの見えないときこそ、小さな変化に目を向けてみましょう。

問題解決に至る変化がすぐに起きなくても大丈夫です。「解決にはまだ少し時間がかかるけれど、私はちゃんと進められている」と、日々の取り組みを続けている自分を認め、ねぎらいの気持ちを持ってあげてください。

また、サービスの利用を現時点では反対されている方でも、Cさんのように「諦めずに伝え続ける」ことをぜひ取り入れてみてください。

反対されてもあきらめずに現状を伝える

みなさんが家族間で抱えている悩み、介護で経験されていること、対策をとられていることをぜひ教えてください。お困りのことやご相談には、こちらの「介護の教科書」の記事でお答えできればと考えています。

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「介護サービスを嫌がって使ってくれない」といった日々の介護の悩みについては、拙書『がんばらない介護』で解説をしています。ぜひ、手にとって参考にしていただければと思います。

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