こんにちは。介護者メンタルケア協会代表で、心理カウンセラーの橋中今日子です。
今回、弱音を吐くことのメリット・効果的な弱音の吐き方についてお話します。
弱音を吐いてストレスを解消させる3ステップ
自分の感情をはっきりさせられる
「弱音を吐く」と聞くと、あなたはどう感じますか?
私が代表を務める介護者メンタルケア協会には、弱音を吐くのはダメなこと、悪いこと、人に嫌な思いをさせることだと考えてしまった結果、相談するタイミングを逃してしまった方々のお声が数多く寄せられています。
一般的には「弱音を吐く」ことはダメなことだと思われがちです。
しかし、研究では、弱音を吐くことはメンタルヘルス上有益だということがわかっています。
人間の心は、事実と感情という異なった情報がごちゃごちゃに入り乱れています。
「感情」に焦点を当てるのがメンタルヘルスです。
弱音を吐くメリットは、自分が今どのような気持ちであるかという「感情」がハッキリすることです。
対して、「事実」にのみ焦点を当てるのは、例えば要介護認定の調査です。
この調査では、何ができて何ができないといった「事実」の情報が必要になります。
ストレスを解消させる3ステップ
ストレスや不安は、以下の3ステップを順番に行うことで解消されます。 これは一般的なカウンセリングの現場でも実践されていることです。
ストレスを解消させる3ステップ
- 1…自分の心の動きや湧き上がる感情に気づく。
- 2…心の動きや感情を「自分の言葉」にして話す、書き出す
- 3…1、2の気づきを活かして、自分の価値観に沿った行動を選択する
弱音を吐くとは、1、2のステップを踏むことです。
安心できる人、信頼できる人に話すことで気持ちが楽になるときがありますよね。
それは、このステップを実践したからです。
なかには、「話してみたけれどモヤモヤが残る」「余計にイライラして話さなければよかったと後悔した」経験がある方もいらっしゃるでしょう。
弱音を吐いても「ストレスを解消できない」と感じたときには、以下の注意点を意識しましょう。
- ストレスを感じさせる「出来事」よりも、「感情」を意識して話す
- 聞いてもらう相手に「どう反応してほしいか」を伝える
これらの注意点について、詳しく解説していきますね。
ストレスを感じさせる「出来事」よりも、「感情」を意識して話そう
弱音を吐くときの注意点のひとつ目は、「話す内容」を意識することです。
愚痴や悪口を言うと、一瞬スッキリするかもしれませんが、脳が不快な事実を思い出し、怒りや不安が倍増します。
事実そのものよりも、「その事実を通じて、自分がどんな感情になったのか?」を意識することが重要です。
例えば、腹が立つ、つらい、苦しい、悲しい、寂しい、といった「感情」を意識して話してみてください。
特に「腹が立つ」という怒りの気持ちの下には、期待が外れた、信頼が損なわれた、大事にされていない気がする、というような「悲しい」「寂しい」などの感情が隠れています。
「〇〇と言われて腹が立った。なぜなら、大切にしてもらえていないと感じて悲しくなったから」と怒りを掘り下げる作業をしてみましょう。
自分がどんな気持ちなのかがわからない、と戸惑う方には、 NVC(非暴力コミュニケーション)ジャパンネットワークのホームページに、感情を表す言葉を一覧にしたリストがあります。
今、自分がどのような感情なのか、リストを見ながら探してみましょう。
誰かに話すことにも抵抗がある方には、ノートに書き出す方法をおすすめします。
聞いてもらう相手に「どう反応してほしいか」を伝えよう
弱音を吐くときの注意点のふたつ目は、話を聞いてもらう相手に「目的を伝える」ことです。
「ただ黙って聞いてもらいたい」「笑い飛ばしてもらいたい」「共感してもらいたい」「アドバイスが欲しい」といった、目的、つまり「どう反応してほしいのか」をはっきりさせておくことが大切です。
弊協会スタッフのケースをご紹介しましょう。
彼女は、家族とのトラブルで気持ちが落ち込んでいました。
そのとき、友人夫婦が「それでそれで?」と積極的に話を聞いてくれて、家族の困った言動を笑い飛ばしてくれたことで、すっかり気持ちが楽になったそうです。
スタッフは、ほかの複数の友人にもその話をしたことがありましたが、しんみりされたり、「それは大変だね」と同情されたり、見当違いのアドバイスを受けたりと、さらにモヤモヤが増していたそうです。
友人夫婦に明るく笑い飛ばしてもらえたことによって、「この話をネタにして、笑って盛り上がりたかったんだ!」と気がついたと話してくれました。
愚痴をこぼす側が「話すことでどうなりたいか?」という目的をはっきりさせないまま話し始めると、相手から目的に沿わない態度や反応を受けて、がっかりしたり、余計にストレスを溜めたりするのです。
特に家族の話は、聞く方も「どう反応すればいいのだろうか」と身構えるものです。
前述のスタッフの周りの友人たちで、話を聞いて笑い飛ばせなかった人たちは「彼女自身は笑い飛ばして欲しそうだけど、他人の家族を笑うなんて、失礼なのでは?」と、困っていたのかもしれません。
話すときは、「ただ聞いてもらって、スッキリしたい!」「一緒に笑い飛ばしてほしい!」「○○について意見を聞きたい!」と、目的をハッキリ伝えてみてくださいね。
介護者メンタルケア協会で配信している無料メールマガジンでは、正しい弱音の吐き方や怒りや不安を感じたときの対処方法についてお知らせしています。
ご興味のある方は登録くださいね。