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第1回

アンガーマネジメントは介護の役に立つ。怒りのメカニズムを理解し上手にコントロールしよう

最終更新日時 2017/10/27
そんなあなたに必要なのは、介護職を辞めて転職することや、在宅介護を諦めてご両親を介護施設に預けてしまうのではなく、自分の「イラッ!」や「カッ!」となる「怒り」のコントロールをすることです。

はじめまして。「介護✕メンタル」を担当する、3Sun Createの介護職専門コーチ・研修講師を勤めている三田村 薫です。

ケアマネージャーの経験を活かして、この連載を通じて「介護をする側の人たちが元気でいられるようなサポート」ができればと思います。今、実際に悩んでいる方(介護職や在宅介護をされているみなさん)にこそ読んでいただきたいと思います。

介護は感情労働「怒り」のコントロールが大事!

あなたは介護をしている最中に…

  • 「イラっとしてしまった」
  • 「つい声を荒げてしまった」
  • 「怒ってしまった」
  • 「このままでは、いつか自分が虐待してしまうのではないか」
  • 「自分は介護に向いていないのでは?」

以上のような気持ちになり、悩んだり、怖くなってしまっていませんか?

そんなあなたに必要なのは、介護職を辞めて転職することや、在宅介護を諦めてご両親を介護施設に預けてしまうのではなく、自分の「イラッ!」や「カッ!」となる「怒り」のコントロールをすることです。

介護は「感情労働」だと言われます。介護現場では、ストレスを発散する時間も余裕もなく、不健康なメンタルのまま介護をしている方が多いのが現状ではないでしょうか。また、お仕事をしながらご両親を介護している方もいるでしょう。

健康なメンタルを保つことは、介護をする側だけでなく、介護を受ける側にとっても非常に大切なことです。なぜなら、不健康なメンタルではどちら側も自分の感情に振りまわされやすくなってしまいます。

「アンガーマネジメント」という言葉をご存知でしょうか?

アンガーマネジメントとは、アンガー(怒りやイライラ)をマネジメント(うまく付き合う)するための心理トレーニングです。

次章から「怒りのメカニズムと介護に必要な怒りのコントロール」をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

人はなぜ怒ってしまうのか?

なぜ人は怒ってしまうのでしょうか。

人には「こういう時はこうすべき」「こうしなければならない」というそれぞれの価値観があります。そして、自分の「こうすべき」と異なる他者の行動や自分の「こうすべき」を否定されたときに、人は「イラッ!」としたり、「カッ!」となったりするのです。

例えば、同じことを言われても「イラッ!」とする人もいれば、それほど気にならない人もいます。

怒りの発生を簡単に分解すると上の図のように、①出来事に遭遇する→②その出来事に意味づけをする(許せない!間違っている!傷つけられた!)→③怒りの発生!となります。

つまり、怒りの原因は目の前に遭遇した出来事そのものではなく、それに対してあなたがどのような意味づけをしたかによって決まるのです。つまり怒っているのは、あなた自身がそれをどう捉えたか、あなたの価値観なのです。あなたの価値観(正しいという基準値)と遭遇した出来事とのギャップがあなたを怒らせていると言えます。

人は、「自分の価値観=自分自身」だと捉えがちです。ですが、あなたの価値観は「あなた」ではありません。どういうことかというと、まずは皆さんが苦手だと感じている物や事柄を思い出してみてください。

例えば、食べ物であればサバが苦手だとか、場所であれば高い所が苦手だとか、人であれば威張っている人が苦手だとか、あなたが苦手だと感じる物や事柄を考えてみてください。そして、次に苦手になった経緯も思い出してみてください。

例えば、食べ物のサバであれば、過去に食べた時に食あたりになった経験があって、その時に辛い目にあったからとか、高い所が苦手な人は、小さい頃にジャングルジムから落下して恐い思いをしたとか。

威張っている人が苦手だという人は、初めてアルバイトしたお店の威張っている店長に意地悪された経験があるとか、苦手になった物や事柄の経緯を思い出してみて下さい。

皆さんが苦手だと感じている物や事柄は、過去に辛い思いをした、恐い思いをした、嫌な思いをした経験があるから苦手だと感じていると考えられます。実際に、食べ物などはわかりやすいと思います。大好きだったものでも一度でも食あたりになってしまうと食べられなくなるケースが多くあります。

これは、苦手だという価値観(記憶)のフィルターができてしまったのだと考えられます。そして、「苦手」という価値観(記憶)通すので、サバが苦手、高い所が苦手、威張っている人が苦手だと感じるようになってしまうのです。

<人によって感じ方は違う>

犬が大好きな人もいれば、犬が大嫌いな人もいます。また、犬に興味のない人もいます。

すると、犬が大好きな人は小犬を見たり、触れたりすると、「癒されるな」と感じる人もいれば、犬が大っ嫌いな人は、小犬を見ただけでもガタガタと震えたり、小犬でも「恐い」と感じる人や、犬に興味のない人は、小犬を見ても無関心でいられます。

この反応の違いは、犬に対する価値観が異なるからです。

あなたの価値観は「あなた」ではありません。自分の価値観と異なることや、自分の価値観を否定されると人は反応(怒り)します。

これは本来であれば、自分の着ているジャケット(価値観)の襟の形が悪い、色が嫌いと言われているのと同じことなのです。

怒りの奥にある価値観とは?

あなたは、どんなことで「イラッ!」としますか?最近、「イラッ!」としたことを思い出してみてください。怒りが発動するということは、怒りの奥に自分の価値観が隠れています。介護現場で起こりやすい「怒り」には、こんな価値観が隠れているのかも知れません。

良かれと思って話しかけたら「うるさい!」と怒鳴られた!
  • 人には優しくするべき
  • 人には怒鳴ってはいけない
  • 人には親切にするべき
  • 人の善意には感謝をするべき
時間がないのに、なんで言う通りにしてくれないの!
  • 時間通りに仕事を終わらせるべき、
  • 感謝をするべき、
  • 人に迷惑をかけてはいけない
前の人のオムツの当て方が悪いのが原因なのに、何で私が対応しなきゃなの?
  • 私は悪くない
  • 私のせいではない
  • 人に迷惑をかけてはいけない
  • 私は正しい
やってあげているのに、なんでそんな態度とられないといけないの!
  • 人の善意は受け取るべき
  • 感謝をするべき
過剰サービスをするスタッフと比べられて「あの人はしてくれるのに」と言われる!
  • 私は正しい
  • 否定された
  • 受け入れてもらえない
  • 感謝するべき

価値観に「良い」「悪い」はありません。ただ、過剰に大切にしている価値観があると、「許せない」「否定された」「受け入れられない」「間違っている」「傷つけられた」となって、あなたの感情が振れてしまうということになります。

あなたが「イラッ!」とする出来事は、「あなたにとって大切な価値観だよ」と気づかせてくれるものです。怒りを感じたとき、自分の価値観を知ることができれば、怒りに対して客観的に見ることができるようになります。怒りを客観的に見ることができれば、その場で冷静に対処できるようになっていくでしょう。

怒りのピークは長くても“6秒”

怒りの感情には「ピーク」があるのをご存知ですか?

諸説ありますが、怒りのピークは長くて6秒といわれています。この6秒をやり過ごすだけで、相手に怒りの感情をぶつけてしまって、「売り言葉に買い言葉」にならずに済みます。

例えば、イラッとしてから6秒間で、深呼吸をする、6秒数を数える、首のストレッチ、どんな価値観があるのかを考える、MAXの怒りが10点だとすると今の怒りは何点なのか点数をつけてみるなどの6秒間やり過ごすための方法を実践してみてください。

介護現場で日々起こる「怒り」の場面で「怒り」をコントロールすることができれば、メンタルを健康に保つことができます。メンタルの健康は、介護する側、そして介護を受ける側にとって、とても大切なことです。ぜひ、「怒り」が発動するプロセスを理解し、「怒り」のコントロール法を実践してみて下さい。

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三田村 薫
コミュニケーションオフィス3SunCreate 代表
2017/11/17

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