みなさんは「AGE(終末糖化産物)」を知っていますか?
老化を進める原因物質といわれ、さまざまな病気の発症につながると考えられています。
今回はそのAGEがどんなもので、どのような食事に多く含まれているのかなどを解説し、あわせてAGEを溜めない食生活もご紹介いたします。
AGEってなに?
「AGE」とは、タンパク質と糖が加熱されてできる物質のことで「終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)」の略称です。
身体への影響
AGEは老化を進める原因物質とされており、シミやシワなどの表面的な老化だけでなく、血管の組織を糖化によってもろくさせるとも考えられています。
その影響によって、血管壁に炎症が起こりやすくなってしまい、動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などを発症することもあります。
さらに、AGEが骨に蓄積すると骨粗しょう症、目に蓄積すると白内障の一因となり、美容のみならず、全身の健康に影響を及ぼすことも。
高齢者では身体活動レベルの低下やアルツハイマー型認知症などにも影響があるといわれています。
AGEが体に溜まる仕組み
AGEには体内でつくられるものと、外から取り込むものがあります。
AGEが体内でつくられるのは「糖化」というシステムが関係しています。
糖化は、食事などから摂った余分な糖質が体内のタンパク質などと結びついて、細胞などを劣化させる現象です。タンパク質と糖が加熱されてできるため「体のコゲ」とも呼ばれています。
また、AGEはさまざまな食品にも含まれており、それらの食品を過剰に摂取しすぎると体に悪影響を及ぼすことがあるので注意してください。
AGEが多い食べ物や調理法
例えば、ホットケーキをイメージしてみましょう。小麦粉(糖)と卵や牛乳(タンパク質)をミックスして加熱すると、ホットケーキが焼けます。
そして、ホットケーキ表面のこんがりキツネ色になっている部分こそが糖化した部分で、ここにAGEが発生しているのです。
つまり、「焼き目のついた食品はAGEが多い」ことを目安にしてください。
このほか、トンカツや唐揚げ、ステーキなど、揚げたり焼いたりした動物性脂肪食品には特にAGEが多く含まれます。
また、ポテトチップスやフライドポテトにもAGEが非常に多いため、頻繁に食べるのは控える方が望ましいでしょう。
さらに甘味料にも注意が必要です。ジュースや炭酸飲料、お菓子などに使用される甘味料は、ブドウ糖の10倍の速さでAGEをつくるため、摂取しすぎないようにしましょう。
成分表示に「果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」などと書かれている食品がそれに当たります。
体内でつくられるAGEの量
体内でできるAGEの量は、「血糖値×持続時間」で表すことができ、血糖値が高いほど、体の中で糖とタンパク質が結びついて多くのAGEが発生します。
こうした飲食物に含まれるAGEの一部は、消化の段階で分解されますが、7%程度は排泄されずに体内に溜まるといわれており、AGEを多く含む食べ物を頻繁に食べると、それだけ蓄積量が増えていきます。
AGEを溜めない工夫
GI値の低い食品を選ぶ
糖分は人間が生きていくための重要な栄養素なので、摂取しなくてはなりません。そこで、AGEを増やさないためにポイントとなるのは、急激に血糖値を上げる食品を選ばないことです。
その基準となるのがグリセミック・インデックス値(GI値)です。
これは、ブドウ糖の血糖上昇率を100とした場合の、血糖値の上昇する割合を数値化したもので、GI値の数字が低い食品ほど血糖値が上がりにくく、GI値が高い食品ほど血糖値が上がりやすいことを意味します。以下にGI値の高い食べ物の例と、その数値を示しました。
食品 | GI値 |
---|---|
グラニュー糖 | 109 |
氷砂糖 | |
上白糖 | |
三温糖 | 107 |
黒砂糖 | 98 |
どら焼き | 94 |
あんぱん | |
フランスパン | 92 |
チョコレート | 90 |
食パン | |
じゃがいも | 89 |
せんべい | 88 |
ビーフン | 87 |
AGEの少ない食品と調理方法を選ぶ
AGEは「タンパク質と糖が“加熱されて”できた物質」です。そのため、生野菜や刺身などの生食はAGEの少ない食品と言えます。
また、AGEは「加熱する温度が高いほどより多く発生する」という特徴があります。揚げ物や炒め物は油の温度が170℃~200℃、オーブン焼きは200℃~240℃と高いため、AGEが大量に発生します。
一方、ゆでる、蒸す、煮るといった調理法は水分を使うため、100℃までの加熱に抑えられ、発生するAGEも少なくなります。
例えば同じ鶏肉料理でも、焼き鳥は水炊きの6倍、唐揚げは10倍ものAGEが発生するため、揚げ物や炒め物ばかりを好んで食べると、AGEが体内に溜まっていきます。
体内のタンパク質が糖化しても、初期の段階で糖の濃度が下がれば元の正常なタンパク質に戻ることができます。しかし、高濃度の糖がある程度の期間さらされると、毒性の強い物質に変わってしまい元には戻れなくなります。
食べる順番を考える
食事で食べる順番を変えることも有効です。血糖値を急に上げないために、主食のパンやごはんといった炭水化物を摂る前に、食物繊維が豊富な野菜やキノコ類、タンパク質を含む肉・魚類を食べることをおすすめします。
また、AGEを下げる効果がある緑茶カテキンも、食事とあわせて摂ると良いでしょう。
食後にウオーキングする
血糖値が一番上がるのは食後1時間程度。このタイミングで運動するとAGEが溜まるのを防ぐことができます。
例えば、30分から1時間のウォーキングは、糖化のリスクを減少させることができるだけでなく、さまざまな生活習慣病に対しても有効です。踏み台昇降などでも良いでしょう。
あわせて、運動は精神的ストレスを減らせることも考えられるので、継続してできる運動を見つけることが大切です。
ただ、運動直後に糖分を多く含む飲み物を摂ると、急激に血糖値が上がってしまうので、運動後の水分は、糖分をあまり多く含まない、水やお茶などを選びましょう。
いつまでも若々しく過ごすために、AGEをため過ぎない生活を心がけましょう。