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第72回

フレイル予防の食事で注目!タンパク質とBCAAを効率的に摂取する方法

最終更新日時 2023/03/03
目 次

加齢によって、体力や気力が弱まってしまう状態をフレイルといい、ささいなことで社会参加の機会が減ってしまうなど、介護状態になる前の段階を指しています。

フレイルを放置しておくと、要介護状態になる危険性が高まることが懸念されます。厚生労働省では以下のように定義をしています。

加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態

多くの高齢者が、フレイル状態から要介護状態へ進むと考えられていますが、適切な食事や運動、社会とのかかわりをうまく保つことで進行を防ぎ、充実した日々を送ることができるとも考えられます。

そこで今回はフレイルと栄養、特にタンパク質についてお伝えしたいと思います。

フレイルをよく知ろう!

高齢者は、複数の疾患を併わせ持つことが多く、臓器や器官の機能低下が起こりやすくなります。

フレイルの状態からさらに筋力が低下し、転倒や骨折の原因になることをサルコペニアといいます。フレイルはサルコペニアに比べて、より広い概念を持っているため、両者はともに高齢者の介護予防対策として注目されています。

例えば、フレイルは機能低下により活動量が減り、少し動くと疲れてしまう、そのため動くことや外出することが億劫に感じられ、人との交流も減って孤立してしまうという悪循環が起こります。

また、オーラルフレイルという口腔機能の低下が起こると食べ物を噛みづらくなったり、食べこぼしなどが増えるため、嚥下障がいや摂食障がいに進行することがあります。このように、フレイルは心と体の両面から支える必要があるのです。

フレイルによる機能変化

加齢による衰えは誰にでも起こりえますが、フレイルは、早期から日常生活の活動や食事内容で対策を講じれば、予防や回復が可能になります。フレイルによって起こる機能変化についてご紹介します。

体の変化

身体的な変化としては、筋肉量の低下が挙げられますが、特に次のような部位に顕著に表れます。

  • お腹や背中など体幹を支える筋肉
  • ふくらはぎなど足の筋肉
  • 咀嚼や嚥下、舌など口腔機能

また、筋肉量だけでなく内臓や器官の機能低下も起こりやすくなります。

心や精神的な変化
体の変化、視力や聴力の低下などは今までと同様に暮らすことや、、周囲と円滑にコミュニケーションをとることが難しくなります。ストレスを感じて人との交流が減ることで、孤立するケースも多くみられます。
物忘れ・記憶障がい・認知機能の変化
いわゆる物忘れや、物・人の名前がなかなか出てこない、計画を立てて物事を進められないといったことが見受けられます。今朝食べた食事内容は、すぐに思い出せなくても問題ありませんが、食べたこと自体を忘れてしまう場合は注意が必要です。
社会性の変化
働いていたころは社会とのつながりを自然と保つことができていましたが、退職後は少しずつ人付き合いや社会とのつながりが減っていくので、フレイルを進行させる原因になります。ご近所、友人、趣味仲間などとの交流を続けることをおすすめします。

以上のことからマイナス面が目立ちますが、誰でも起こりうることであるからこそ、日常生活から少しでも健康を意識することが大切なのです。

フレイルの診断基準と栄養

国際的に用いられるフレイルの評価基準(CHS基準)をもとに日本版「J-CHS基準」が作成されています。その内容は以下の通りです。

CHS基準

フレイル予防と栄養の関係

上表をみると、体重減少、筋力低下、倦怠感(疲れやすさ)、歩行速度低下、活動性低下の5つの徴候のうち3つ以上に該当する場合を「フレイル」と分類されることになります。

これらの基準からも体力・筋力の維持が大切なことがうかがえます。高齢者の食事は主食となる炭水化物をよく摂りますが、おかずとなるタンパク質や野菜が不足する傾向が多く見られます。

そのため、バランスの良い食事はもちろん、筋肉の材料となるタンパク質をしっかり取り入れる必要があります。

食事のポイントは次の3つです。

フレイル予防に重要な食事3つのポイント

  1. 1日に必要なタンパク質をとる
  2. バランスのよい食事をとる
  3. 活動に必要なエネルギーをとる

ほかにカルシウムやビタミンDも積極的に摂取したい栄養素です。

フレイル予防にタンパク質を

タンパク質は、主におかずになるような肉類、魚介類、卵類、大豆製品、あるいは乳製品などに多く含まれます。

筋肉やホルモン、血液をつくる材料となりますが、加齢とともに筋肉がつくられにくくなっているため、バランスの良い食事を基本にタンパク質の摂取方法を工夫し、3回の食事に振り分けるようにしましょう。

例えば、朝食を抜いたり、昼は麺類だけで簡単に済ますなどの食事習慣の方をよく見かけます。「1日の中で食べればいい」と考えがちですが、3回の食事に振り分けた方が、よりタンパク質をうまく摂取でき、筋肉が多く合成されることがわかっています。

1日に必要なタンパク質は以下の表の通りです。

タンパク質の1日あたりの摂取推奨量
タンパク質推奨量(g/日)
年齢 男性 女性
18-64歳 65 50
65歳以上 65 50

引用:『日本人の食事摂取基準2020』より

BCAAを多く含む食品を摂ろう

タンパク質のなかでも、特に分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、筋肉のエネルギー代謝など重要な役割を果たすことが知られています。BCAAとは、アミノ酸の種類であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。これらのアミノ酸は体の中でつくることができないため、「必須アミノ酸」と呼ばれています。

BCAAの中でも、特にロイシンはタンパク質の合成を促すことで筋肉量を増やし、筋肉のやせを改善することが期待されています。特にBCAAのみを意識しなくても、食材を組み合わせることでBCAAが摂取できるので一緒に取り入れるようにしましょう。

BCAAを多く含む食品
食品(量) BCAA(g)
マグロ(100g) 4.5
カツオ(100g) 4.0
アジ(1匹) 3.3
サンマ(1匹) 3.2
鶏むね肉(100g) 3.5
鶏もも肉(100g) 3.3
牛肉赤身(100g) 3.6
卵(1個) 1.0
木綿豆腐(100g) 1.3
牛乳(200ml) 1.4
チーズ(20g) 1.0

引用:日本食品標準成分表より

タンパク質の合成を促すBCAA

そのほかの重要な栄養素

カルシウム
(目安量:600~770mg/日)

骨をつくる栄養素で、摂取量が少ないと、骨密度が低下してしまいます。骨を強く保ち、骨折を予防するためには1日に600~770mgの摂取が推奨され、運動による刺激も必要となります。

カルシウムを多く含む食品

  • 牛乳
  • プロセスチーズ
  • 生揚げ
  • 木綿豆腐
  • 小松菜
  • 切り干し大根
  • いりごま など
ビタミンD(目安量:8.5μg/日)

高齢者は特に不足しやすいとされる栄養素です。カルシウムの吸収を助け、骨を強くする、筋肉を強くする役割があります。

ビタミンDを多く含む食品

  • うなぎ
  • いさき
  • さば缶(水煮)
  • まいたけ
  • エリンギ
  • 椎茸 など

高齢者は食事が単調になりがちなので、なるべく多くの食品を摂り、よく噛んで、ゆっくり食事をすることが大切です。

また、家族や友人と一緒にコミュニケーションをとりながら食事をすると、品数も増えて低栄養やフレイルを防ぐことにつながります。そして、必要な食事や栄養素がとれるよう日中は、しっかり動いて食欲増進を促しましょう。

【参考文献】
独立研究開発法人国立長寿医療研究センター 『CHS基準(Cardiovascular Health Study基準)』
厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』

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