7月も中旬にさしかかり、夏本番を迎えましたね。この時期に注意したいのが「熱中症」です。消防庁によると、2022年の熱中症による搬送人数は7月が最多でした(注1)。今年(2023年)の夏は例年よりも気温が高くなる見込み(注2)のため、より一層の注意が必要となるでしょう。
この時見落としがちなのが「室内での熱中症」です。かつては「外出時や運動時に気を付ければいい」というイメージが強い熱中症でしたが、実は近年、屋外よりも室内で発生するケースが多くなっているのです(注1)
特に、熱中症になりやすく重症化しやすい高齢者の方には、エアコンで空調調整をするなどして常に対策していただく必要があります。
※高齢者が熱中症になりやすい理由を解説した記事はこちら!
ですが、最近では電気代の急騰もあり、「なかなかエアコンをつける気になれない」という方もいらっしゃるかもしれません。 そこで、本記事では、室内で熱中症になりやすいケースを解説した後、お得にエアコンを活用する方法を伝授します。
室内でも要注意! 熱中症になりやすい高温多湿スポット
室内でも特に、通気性が悪く熱がこもりやすい以下のような場所にいる時には要注意です。
- ①キッチン
- 火を使うため、気温も湿度も上がりやすくなっています。換気扇を回して空気の流れをつくり、なるべく短時間で調理するなど工夫しましょう。
- ②トイレ
- 構造上狭くて熱がこもりやすいうえ、常に水があるので、湿度も高くなりがちです。換気扇を回したり、窓を開けたりするのを忘れないようにしましょう。
- ③お風呂場
- 湿度が高く、入浴後も汗が出やすい場所です。40℃のお風呂に10分つかると約500mlの汗が出るといわれているため、入浴前にコップ1杯の水を飲んでおくのがおすすめです。
- ④高層マンションの上階
- 上層部の部屋は窓を開けられないケースが多く、高温になりやすい場所です。空調を活用し温度・湿度をコントロールしましょう。
室温が28℃、湿度が60%を超える場合は、熱中症を引き起こしやすい高温多湿状態になっています。室温時計をおいて気温・温度を常にチェックし、対策をとりましょう。
室内での熱中症防止のために“スゴ技”駆使でお得にエアコンを活用しよう
熱中症になりやすい高齢者の方は、こまめに水分補給するなどの対策に加え、エアコンを活用するようにしましょう。
ですが、「エアコンを常用するのは電気代が…」「節電すべきなんじゃないか…」と、気が引ける方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方は、以下のテクニックを試してみてください。
①エアコンの「風量」を強くする
エアコンの設定温度を下げなくても、体に当たる風量が強くなれば体感温度は下がり、涼しく感じるようになっています。設定温度を変更するよりも風量を変更するほうが、電気消費が少なく済むので、まずは「風量」を調節してみましょう。
②「風向き」を水平にする
次に試したいのが、「風向き」を上向きか水平にすることで、部屋の中の「温度ムラ」をなくすことです。エアコン使用時、冷たい空気は重いので床のほうにたまり、暖かい空気は天井のほうにたまります。その結果、部屋の上部に設置されている一般のルームエアコンは上の暖かい空気を吸い込んで「まだ部屋が暑い」と判断し、不必要に部屋を冷やしてしまうことがあるのです。
ですが、「風向き」を上向きか水平にすることで、この「温度ムラ」をなくし、適切に室温を保つことができます。
なお、部屋に扇風機がある場合、併用することで同等の効果を得ることができますので、合わせて試してみてください。
③室外機に日よけをする
エアコンの室外機は、部屋の中の暖かい空気を外に吐き出す役目を持っています。しかし、直射日光や紫外線、地面からの照り返しなどによって機械自体が高温になってしまうと室内の空気を排出する機能が弱まってしまいます。そのため、遮光素材の日よけカバーなどを導入して日光を遮断すれば、室外機が適切に稼働するようになり、節電効果が見込めます。
④カーテンで窓からの熱の出入りを防ぐ
最近の住宅は断熱化が進んだこともあり、いったん室内に熱が入るとなかなか外部に熱を放出しづらくなっています。特に夏の暑い日は窓にレースのカーテンなどを設置し、日光をカットして室内に熱を取り込まないようにしましょう。外出時でもカーテンを閉めておくと、遮熱効果が高まります。
⑤フィルターを月に1~2回清掃する
経済産業省の発表した「省エネ性能カタログ2022年版」によると、フィルターが目詰まりしてしまったものと比較した場合、フィルターを定期的に清掃しているエアコンを利用すると年間で31.95kWhの省エネになるそうです(注4)。できれば2週間に1度はフィルターを掃除するようにしましょう。
エアコンは高齢者の方の命を守ってくれる大切な家電です。
賢く使って、熱中症を起こしやすい夏を健康に乗り切りましょう。
【参考文献】 1.消防庁.“令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況”.総務省ホームページ.2022-10-28,(参照2023-07-03)
2.日本気象協会.“3か月予報”.tenki.jp.(参照2023-07-03)
3.富士山の銘水株式会社.“梅雨時でも熱中症対策は必須!?多くの人が水分摂取不足と判明!”.PRTIMES.(参照2023-07-03)
4.経済産業省資源エネルギー庁.“省エネ性能カタログ2022年版”.省エネ型製品情報サイト,(参照2023-07-03)
5.“エアコンの設定温度を下げずに涼しくする3つのワザ”.ウェザーニュース.2022-07-09,(参照2023-07-03)