みなさんはユニバーサルデザインフードをご存知ですか?
高齢者は加齢に伴って噛む力が弱くなったり、むせやすくなったりとさまざまな変化がみられます。これまでも、その弱まった体の機能を補い、食べやすさに配慮した介護食はありましたが、ユニバーサルデザインフードが従来の介護食と異なるのは、高齢者や要介護者だけでなく、誰でもおいしく食べられるように配慮されている点です。介護が必要な人も、そうでない人も、誰もが一緒に食卓を囲めるユニバーサルデザインフードは新しい食文化を提案しているとも言えます。
今回は、ユニバーサルデザインフード(以下、UDF)についての解説と、実際のUDF商品を食べてみた感想、手軽に出来るアレンジ方法を紹介いたします。
UDFは咀嚼レベルごとに4段階に区分
高齢者の人口増加とともに注目を集めているUDFは、「日本介護食品協議会」が“咀嚼が難しい人向けの食品”として規格をクリアしたものに付与しています。
咀嚼のレベルに応じて以下4つの区分があります。
- 容易に噛める
- 歯ぐきでつぶせる
- 舌でつぶせる
- かまなくてよい

パッケージにUDFマークとともに、この4つの区分が表示がされているため、購入する際に迷わずに選びやすいです。
ユニバーサルデザインや介護食についての詳細はこちらの記事も参考にしてみてください。
大手食品メーカーもUDFに本格参入!
今年も残すところあと1ヵ月半。まだまだコロナ禍が続くとはいえ、お正月に家族が集まったときにみんながおいしく、そして咀嚼・嚥下が心配な高齢者でも安全に食べられる食品があったら良いですよね。今回は、そうしたニーズに訴求するUDFの代表例として、キユーピーのやさしい献立シリーズを紹介いたします。

なめらかおかず 白身魚と野菜(たらのソテー)
白身魚、セロリ、玉ねぎ、ジャガイモ、ひよこ豆などがなめらかに加工されており、ペースト状になっているので魚の繊維も感じられず食べやすいです。
野菜をあわせて作られているため、味もさっぱりしておりとても食べやすいです。豆腐にかけて食べれば、タンパク質やカルシウムに豆腐の栄養価も加わり、食事量が減っている高齢者もしっかりと栄養を摂ることができます。
なめらか野菜 にんじん
にんじんと玉ねぎを裏ごしした商品で、そのまま食べてもとっても美味しいです。水とコンソメを少し加えれば、スープとしても活用できます。スープにすれば高齢者だけでなく離乳食としても活用できると思います。家族が集まるお正月にも役立ちそうです。
やわらかおかず 海老グラタン
舌でつぶせるシリーズで主菜にもなる海老グラタンです。やわらかい海老団子を食べやすい大きさにしてマカロニやジャガイモなどを加えています。海老の風味がしっかりしていてお正月料理にも活用できそうです。一袋で131㎎のカルシウムが摂れるので、高齢者が不足しがちなカルシウムも補えます!
やさしいおかず うなたま
ウナギのかば焼きと卵の味がしっかりしています。こちらはそのままでも良いですが温めたほうがより美味しく食べられます。タンパク質が3.1g含まれており、フレイルが心配な高齢者に食べやすくおすすめです。
やわらかおかず さつまいもと豆のきんとん
おせちと言えば「きんとん」は欠かせませんね。こちらのきんとんは普通のきんとんより冷めてもやわらかいのが特徴でした。食物繊維が1.3g、カルシウム97㎎も含まれています。そのままでもおいしいですが、温めた方がより食べやすくて良いと私は感じました。
鶏だんごの野菜煮込み
やや噛む力がある方には容易にかめる鶏だんごの野菜煮込みもおすすめです。鶏だんごも野菜も形状がしっかりあるため見た目でも満足感があります。
こちらはタンパク質が3.2g、カルシウムが163㎎と高齢者が不足しがちな栄養素もしっかり摂取できます。
これまで紹介した商品と粥などをあわせてお弁当箱に入れてみました。
こうしたUDFの多くは賞味期限が長いうえに、調理せずに食べることもできるので、災害などの緊急時にも活用できるのもポイントです。さらには、おかずをもう一品足したいときや料理する時間がないときなど介護者の負担を減らせるのもメリットになると言えるでしょう。
メーカー公式サイトでもさらに詳しいレシピが紹介されているので、それぞれのご家庭の嗜好に合わせて試してみてはいかがでしょうか?
キユーピーでは、紹介した商品をアレンジした「祝い膳おせち」を紹介しています。

こちらも参考にしていただき、それぞれのご家庭の嗜好に合わせて試してみてはいかがでしょうか?
