いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915
第444回

高齢者見守りに補助金も! 地域包括ケアシステム構築に向けた「高齢者地域見守り連絡会」レポート

最終更新日時 2023/10/25
#介護保険サービス #地域包括支援センター
目 次

「安心してください!見守ってますから」

これは世界の「TONIKAKU」さんのセリフではありません。江東区社会福祉協議会が大真面目で取り組む「高齢者地域見守り連絡会」の講演テーマなのです。

今回は、10月5日に実施された連絡会の模様をレポートいたします。

あらゆる地域団体が高齢者支援にかかわる

厚生労働省は、団塊の世代が後期高齢者になる2025年をメドに「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。たとえ要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるように、地域内で助け合うのがこの「地域包括ケアシステム」。そのタイムリミットはすでに1年半後に迫ってきました。

江東区も地域の実情に合わせて医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しています。

ですが、この問題は介護保険制度の限られた仕組みの中では解決できないのが現実です。

介護保険制度と医療保険制度の両輪で、高齢者を地域で支えていく体制づくりが重要になってきます。そのエリアはおおむね徒歩30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域、具体的には中学校の学区が想定されています。

10月5日、区内の社会福祉協議会に集合したのは「東陽・塩浜長寿サポートセンター圏域」の町会・自治会、民生・児童委員、老人クラブ、警察署、消防署、保健相談所、福祉会館、東京都住宅供給公社、UR都市公団、地域包括支援センター(江東区内の呼称は長寿サポートセンター)など、見守りの現場に直結する関係者の面々でした。



これだけのメンバーが一堂に会した目的は、「高齢者地域見守り支援事業」の取り組みとして、地域の高齢者が孤立することを防止し、異変を早期に発見して必要な援助を行なえるよう、地域でのネットワークを構築すること。これはまさに、地域包括ケアシステムに連動しているテーマです。

一人暮らし高齢者の実態

まず江東区社会福祉協議会の地域福祉推進課の職員から、地域拠点を増やして行く計画が表明され、さらに江東区における「独り暮らしで自宅内で死亡し、検案対象となった人の数」(自殺含む:東京都監察医医務院調べ)が紹介されました。同調査によると、2013年に231人だった死亡者数は2022年には350人にまで増えており、男性は女性の2.5倍に達していることが明かされました。年代別では60代以上が全体の86%を占めていました。

男性が女性よりも多い理由として、周囲との関係性の薄さが挙げられます。「女性に比べて『今日、会わなかったね』などと気づいてもらえないことが数字に表れている」との説明が加えられました。

住居の種類別では、集合住宅が全体の87%を占め、発見者別の人数は家族以外の管理人や隣人、知人、保健・福祉関係者、配達人などが68%を占めています。ご家族は遠くに住んでいたり、疎遠になっているなどの理由から、普段からのかかわりが薄いケースが多いと推測されます。

孤独死を避けるために必要になるのが、地域の人々が主体的かつ日常的に高齢者の見守り活動を行い、異常等を発見したときには迅速に対応できる体制を確保すること。

いざというときに高齢者が「助けてほしい」と声を上げることができ、地域の人が「何かできることはありますか」と支えることができる関係性をつくることが課題として挙げられました。

江東区で行われる支援の今

江東区の場合、こうした見守り活動を多角的に支援する「サポート地域」制度を2008年からスタートさせており、今年(2023年)の9月現在で町会、自治会、管理組合など70団体が登録しています。

この制度に登録すると先進地域の見学、自分たちの地域の分析などを実施する1年間のプログラム終了後、地域の高齢者が参加できる場を月2回以上開くことを条件に、「見守り活動拠点整備費用」として区から上限20万円の助成が受けられます。また江東区社会福祉協議会から活動経費の助成(3万円×3年間)や活動の立ち上げ支援や活動開始後の伴走支援や後方支援などを受けられることになっています。

各地にこうした見守り拠点ができることで、高齢者が孤立しない、高齢者を孤立させないご近所づくりが加速することが期待されているわけです。
 

この後、現役の主任ケアマネージャー・介護福祉士が「安心してください!見守ってますから(~認知症になっても住み続けられる地域に~)」というテーマで講演。認知症について学ぶことや、終活ノートなどを使って「してほしいこと、してほしくないこと」を書き出しておくことが推奨されました。このコラムでも何度も取り上げている「人生会議」を地域で開催していくことも有効でしょう。

最後に、警察関係者から「実家にかかって来る詐欺電話」の実例、消防関係者から「コードの上に重い物を置かない」などの住宅における防火対策など、参加団体・関係機関の役割紹介と情報提供が行われました。

刻々と迫って来る2025年。誰もが、老いる。認知症にもなる。地域包括ケアシステムの構築ができるかどうかは、町会・自治会・集合住宅の管理組合・老人クラブなどの関係諸団体が強い当事者意識を持ちながらの情報共有が、加速していくかどうかにかかっています。

【参考URL】
高齢者地域見守り支援事業(江東区)2023-10-12

関連記事
認知症の方でも同じ行動を繰り返すことで、新しい習慣を身に着けることができる!?繰り返しの支援でできることを増やそう
認知症の方でも同じ行動を繰り返すことで、新しい習慣を身に着けることができる!?繰り返しの支援でできることを増やそう

梅本 聡
株式会社 キューシップ 代表取締役
2019/03/28

キーワードから記事を探す

#親の介護 #介護予防 #老人ホームへの入居 #介護保険サービス #看取り・終活 #高齢者の健康 #嚥下 #地域包括支援センター #介護食 #介護にかかるお金 #薬 #フレイル #仕事と介護の両立

介護と仕事の両立を目指すために…親の入院で突然始まる介護への3つの備え

!
記事へのご要望
お待ちしてます


この記事へのご要望、
お聞かせください

みんなの介護は皆さまの声をもとに制作を行っています。
本記事について「この箇所をより詳しく知りたい」「こんな解説があればもっとわかりやすい」などのご意見を、ぜひお聞かせください。

年齢

ご要望を
受け付けました!

貴重なご意見を
ありがとうございました。

頂戴したご意見は今後のより良い記事づくりの
参考にさせていただきます!