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第38回

母親に認知症の疑いがあり脳神経外科へ。しかし検査や進行状況のチェックだけで、薬の処方は心療内科の役割。本人と家族の負担を減らす医者選びを!

最終更新日時 2018/05/29
#親の介護
主治医選びに関しては、名医より本人や家族の負担をどう軽減するかに重きを置いた方が、私は良いと思います。6年間治療はしていますが、あくまでも進行を抑制するのみでいくら名医でも完治することはできない病気だからです。ですから、一つの病院と医者で診断してもらえる認知症専門外来か、心療内科など自宅か施設に往診をしてもらえれば、本人と家族の負担は軽減される上に治療もでき双方にとってメリットが高いと思います。

こんにちは、フリーライターで要介護4の祖母を在宅介護して6年目の奥村シンゴです。

今回は、"祖母が認知症になったときに検査したタイミング"や"検査結果を聞いたときに感じたこと"などをアドバイスしていきたいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

「あんた、この子に水やご飯をあげないと」とある日突然言い出した

写真を本物と間違える

私には兄弟3人がいます。弟は結婚し、男の子がいます。祖母からみるとひ孫にあたるのですが、ある日、祖母は弟に「ひ孫の写真はないんかいな?あれば欲しいわね」と言ってきました。弟は快諾し、写真を渡すと祖母は「ありがとう。この子は本当にかわいいわね。私の部屋に置いとくね」と、とても喜んでいました。

ところが、ある夜のことでした。祖母がベッドに横になりながらひ孫の写真を見て「あんた、この子にご飯をあげなくてええんかいな?お水もあげないと、喉が渇いて仕方ないでしょ」と言い出しました。

私は「ばあちゃん何言ってるん?写真やで」と言いましたが、「写真ってなによ。この子死んじゃうでしょ」の一点張りでした。今まで経験したことがない出来事だったので、大変驚きました。

そして、インターネットで調べたり、近くの病院の先生に聞いた結果、「認知症の疑いがあるのではないか」と思い、祖母を近くの脳神経外科に連れて行くことにしました。しかし、祖母は「なにも悪いところはないわよ、なんでそんなところに行くの?」というので、私は「最近定期検査してへんやろ?一度診てもらっとこうな」と説得し、なんとか受診にこぎつけたのです。

認知症の検査・治療は移動が多いこと

病院に行き過ぎると体調を崩す

脳神経外科で、MRI検査、脳内の血流を画像処理し早期の認知症を発見するSPECY検査、脳以外に原因がないかを確認するための血液検査、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)といって、季節、時刻など10項目以上を30分位で質問する検査をしていきます。これらを総合的に判断し、認知症か否かが判断されます。病院に行って驚いたことがありました。

それは、一人の先生では診てもらえないことです。私は「先生一人で診てもらえるんじゃないんですか?」と質問すると「脳神経外科は認知症の検査や進行状況を診るだけで、薬の処方は心療内科が一般的やねん」と言われました。

近くの認知症専門外来に電話をすると「すみません、数ヵ月待ちなんですよ、キャンセルも数百人の方がお待ちで」と言われます。大都市圏は別にして、地方の場合自治体により多少ばらつきはあると思いますが、まだまだ認知症専門外来の数が不足しているように思います。

お年寄りはただでさえ病院に行くこと、長時間待たされることに体が追いつきません。体力が消耗し体調変化をきたしたり、付き添う家族の負担も大きいです。私の祖母は病院に通いだしてしばらくした後、何度か体調を崩し、再度病院に行くということになったことがありました。

たらい回しにするのではなく、一つの病院と医者で診察できるようになることが今後より求められるでしょう。あるいは、私の祖母のように途中から医者を変え、現在は心療内科の医者が月1回、祖母がいるデイサービスへ往診対応をしてくれています。このような手段も、症状や本人や家族の状況を考えながら選択肢の一つに入れると良いと思います。2025年には認知症患者が700万人を超えると言われていますので、もっと認知症専門外来が増えることに期待しています。

攻撃的な言動や物を投げつけることも

海馬が萎縮している

検査から数日後、祖母と私は脳神経外科の医者に呼ばれ、「海馬が少し萎縮してるのと、検査結果からみれば初期のアルツハイマー型認知症やな。薬は心療内科が担当になるから紹介状書いておくからね」と言われました。

紹介してもらった心療内科へ行くと、症状を聞かれた後「メマリーというお薬を出しますので、5mgから出し問題がなければ10mg、20mgと増やしていきますので、様子を診ておいてください」と指示を受けました。

メマリーとは、徘徊、妄想、興奮などの認知症の周辺症状を軽減したり、進行を遅らせる効果がある薬です。あとロゼレムという軽い睡眠剤を処方されました。特に副作用は感じられなかったので継続し、6年が経過した現在も服用させ続けています。

1年に1回程度は脳神経外科で検査、2週間に1回程度は心療内科でカウンセリングを受け薬が処方されます。検査結果を聞いたときは「やっぱりな」というのが正直な感想でした。前述したひ孫の写真の件より少し前から、ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、気に入らないことがあると物を投げつけたり、「あんたはシンゴかいな?」と一日何度も繰り返すことそれ自体を忘れていたりしたのです。

名医より本人と家族の負担軽減を最優先とみたことがない言動があったときは病院へ

認知症の早期発見が大事

これらの私の体験談からアドバイスできることは、祖母は割と症状がはっきりしていたことや、同居していたので比較的早めに認知症を発見できたこともあり、早期から治療をすることができ、幸いにも6年目の介護生活を迎えられています。

暴言・暴力など攻撃的になってきたり、普段にみられなかった症状が出たり、もの忘れでも、もの忘れしているということ自体を忘れてしまったりする場合は、受診されたほうが良いでしょう。

そして、主治医選びに関しては、名医より本人や家族の負担をどう軽減するかに重きを置いた医師の方が、私は良いと思います。6年間治療はしていますが、認知症はあくまでも進行を抑制するのみでいくら名医でも完治することはできない症状だからです。

ですから、一つの病院と医者で診断してもらえる認知症専門外来か、心療内科など自宅か施設に往診をしてもらえれば、本人と家族の負担は軽減される上に治療もでき双方にとってメリットが高いと思います。私の体験が認知症の早期発見、適切な治療や主治医選びに、少しでもお役に立てれば幸いです。

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