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第270回

高齢者目線の病院・施設選びのコツ。ケアマネの勧めがベストとは限らない?情報収集の仕方を解説

最終更新日時 2021/10/22
#親の介護 #老人ホームへの入居

読者の皆様、こんばんは。『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』の著者であり、「介護作家」「メディア評論家」「よしてよせての会」代表の奥村シンゴです。

私は、30歳過ぎから認知症の祖母と、がん・精神疾患の母親を計9年間介護し、病院や高齢者施設選びをすることがありました。その中で、「この病院・高齢者施設を選んで良かったな」と思うときもあれば、そうではないときもありました。そこで、今回は私の体験を基にした病院・高齢者施設選びのコツをお話いたします。皆さんの参考になれば幸いです。

ケアマネジャーに勧められた病院が合うとは限らない

祖母が徘徊・異食・排便失敗・着衣着脱不可などの状態になり、在宅介護が難しくなったとき、ケアマネジャーに「Aの介護老人保健施設とよくやり取りするのですが、リハビリは積極的ですし、職員の皆様も元気で対応が良いですよ」と聞きました。私は、さっそく面談へ行き、施設の雰囲気を見たり治療内容を聞いたりして祖母の入所を決意しました。

ところが、祖母は入所後1ヵ月もしないうちに口をポカーンと空け、無口な変わり果てた姿に…。実は、祖母が「家に帰りたい、ここから出せ」などと大声を出したり、ほかの利用者に危害を加えたりするのを抑えようと10種類近い薬が処方されていたのです。

病院からは「在宅で介護するか、精神科病院の二択しかありません」と言われました。結局、祖母は精神科病院に転院後、極力薬を投与しない主治医や看護士に恵まれ、みるみると回復しました。粗暴行為もほとんどなくなり、穏やかに過ごしました。

病院選びはケアマネジャーやネットの口コミ情報だけに頼らず、主治医や訪問看護士、医療・介護従事者・介護者の評判、ご自身の目と足で総合的に判断した方が良いかと思います。

コロナ禍で情報不足のまま入院を決断するケースも

新型コロナの感染者数や死者数が減少し、医療のひっ迫も和らいでいますが、病院や高齢者施設の多くはいまだ面会禁止で、特別な事情がない限り病棟に入れません。

そして、体調の急変や病状の進行があると、病棟自体の雰囲気やナースステーション、病室などを見学できないまま入所や入院しなければならないこともあります。

患者や家族にとって「職員同士のコミュニケーションはスムーズにとれているのか」「病院に活気があるか」「食堂やデイルームの雰囲気はどうか」など気になるものです。

最近、病院や高齢者施設によっては、タブレット端末やスマートフォンで病棟の様子を配信し、自宅から患者の様子を確認することもできます。あるいは、病院内でタブレット端末を使い、職員が病棟をライブ配信で映しながら説明や疑問点に答えてくれるケースもあります。どれだけ患者や家族に寄り添っているかも病院選びの判断基準の一つになるでしょう。

コロナ禍で情報不足のまま入院を決断するケースも

リハビリの有無などホームページに記載があっても確認を忘れずに

近年、病院や高齢者施設の大半にはホームページがあります。そこには「診療担当科」「診療担当医の検診スケジュール」「病院の理念」「イベント」「面会の可否」など、患者や家族に向けて積極的に発信をしているところが増えています。

ホームページを見ると、内科・外科・精神科まで、ほぼすべて揃っているように見えますが、必ずしもそうでないケースがあります。

私の母は、今年8月に原因不明の腹痛で食欲不振・服薬管理の自己管理が難しくなり、精神科病院に医療保護入院しました(第264回参照)。

ホームページ上では、精神科以外にリハビリや作業療法・レクリエーション・生活機能訓練などがあると記載してありました。もちろん、母親のケアマネジャー・訪問看護士・近隣の医師に「この精神科病院は良いところですか?」と確認しました。

しかし、リハビリに関しては週1回ほど非常勤の作業療法士が来て、200人近くいる患者の状態を目視するだけでした。介護老人保健施設(老健)や回復期リハビリテーション病院のようなリハビリをしてほしいとは言わないまでも、あまりに想像とかけ離れていたのです。

また、レクリエーションは、新型コロナの影響で中止していました。今思えば、母が入院当初に「精神科病院にいるとそのうち歩けなくなるし、元気なくなるで」と電話をかけていたときが一番元気がありました。そのうち母は自立歩行から車椅子になり、わずか1分の電話をかけるのも難しくなり、ADL(日常生活動作)が大幅に低下してしまいました。

こうした事態に陥らないためにも、ホームページや掲示板、SNSの口コミだけで判断するのは避けましょう。入院・入所先の職員に遠慮せず確認して、メモをとったり、できれば病院・施設にいた人や近隣住民の声をなるべく聞いてください。時代に逆行するようですが、こうしたアナログな情報こそが意外に頼りになることも多いのです。

今の担当科・担当受診医を必ず確認する

一昔前の総合病院より専門病院が増えましたが、コロナ禍の影響もあるのか専門外の治療になると、患者が他科受診するケースがあります。例えば、祖母は、精神科病院入院中に「尿路感染症」「壊死性軟部組織感染症」「風邪」を同時に発症しました。

祖母がいた精神科病院は、精神科に特化した病院だったため、レントゲンとCTぐらいしかなく、他の病気を発症するとすぐ他科を受診することになりました。祖母は、その度に違う病院で検査・入院し、私は付き添っていました。

コロナ禍のときは、祖母の病状が悪化する中、治療先が見つからないときもあり、不安になったものです。病院や高齢者施設のホームページや案内に担当科と書いてあっても、「医師が退職・休職している」「転院先が見つからない」「以前はあったが今はない」というケースがありますので、必ず詳細を確認してください。

今の担当科・担当受診医を必ず確認する

こうした病院・高齢者施設選びのコツは、近著『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(株式会社法研)に書いています。今、クローズアップされているヤングケアラーなど若者介護問題と合わせてぜひご一読ください。

また、2021年9月にヤングケアラー・若者ケアラー・就職氷河期ケアラーの支援を目的に「よしてよせての会」を立ち上げました。話し合うだけでなく、国・自治体・政治家などに必要な介護政策を提案、啓発活動、レクリエーション、就業サポートと実効性のあるコミュニティーを目指しています。詳しくは「よしてよせての会」ホームページをご覧ください。

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