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第261回

介護施設での有償ボランティア。要介護者が働くことの意義とは

最終更新日時 2021/09/17
皆様こんにちは。有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。ここ最近、デイサービスや介護施設で利用者さんが仕事をするという取り組みを聞くことが増えました。利用者さん一人ひとりに役割を担ってもらうため、施設内の仕事をお願いしているという施設は多いかと思いますが、企業から金銭を伴う仕事をプログラムの一つとして行う事業所も出てきているようです。今回は要介護者の人が働くメリットについてお話します。

皆様こんにちは。有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。

ここ最近、デイサービスや介護施設で利用者さんが仕事をするという取り組みを聞くことが増えました。利用者さん一人ひとりに役割を担ってもらうため、施設内の仕事をお願いしているという施設は多いかと思いますが、企業から金銭を伴う仕事をプログラムの一つとして行う事業所も出てきているようです。

今回は要介護者の人が働くメリットについてお話します。

要介護者の働くメリットと事例

要介護者の方が働くメリットは「社会参加」にある

ICF(国際生活機能分類)の考え方に基づけば、ボランティアや働くことによる「社会参加」は、その人の生活にとって非常に重要な要素。それらの活動によって「社会に参加している」「人の役に立てている実感を得る」ことが、健康状態を良くするきっかけになることがあります。

老いて要介護状態になると、なかなか以前のように社会とのかかわりを持つことが難しくなる方も増えていきます。生活の中で誰かの役に立ったり、働いて金銭をもらったりする行為は、生活にハリをもたらせてくれるのではないでしょうか?

介護施設で有償ボランティアの事例

例えば、全国には次のような事業所があるようです。

  • 通所している若年性認知症の利用者さんたちが、有償ボランティアとして自動車ディーラーでの洗車業務を行う事業所
  • 地元の企業から有償ボランティアの案件をもらい、その活動をレクリエーションに取り入れているデイサービス

いわゆるデイサービスのプログラムではなくて、「報酬を得る仕事」に近い形で取り組まれていることがわかります。有償ボランティアという形式であることから、謝礼(最低賃金には満たない)ということになるでしょうが、お金を稼ぐことができたという体験は要介護者のやりがいになることでしょう。

要介護者でも働ける場所はある

介護施設で行う際の注意点

利用者さんの意欲や健康状態を向上させる可能性もある有償ボランティアですが、いくつか注意するポイントもあります。

1.厚労省からの事務連絡

2018年の7月に出された「若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施について」という事務連絡があります。

これは、認知症対応型通所介護を含む通所型サービス、小規模多機能居宅介護などが、利用者を対象とした事業所外で定期的に社会参加活動を行うときの注意点について書かれています。

  • 利用者ごとの個別サービス計画に、あらかじめ社会参加活動などが位置づけられていること
  • 社会参加活動などの内容が、利用者ごとの個別サービス計画に沿ったものであること
  • 利用者が社会参加活動などを行うに当たり、事業所の職員による見守り、介助などの支援が行われていること
  • 利用者が主体的に社会参加活動などに参加することにより、利用者が日常生活を送るうえで自らの役割を持ち、達成感や満足感を得て、自信を回復するなどの効果が期待されるような取組であること

これらの要件を満たす必要があるので、事業所が実施する場合には一度確認しておくことが望ましいでしょう。

2.有償ボランティアとは

そもそも有償ボランティアというのは、定義のあいまいな言葉です。ボランティアには、金銭的報酬をもらう意味はありませんが、有償ということで少額の謝礼を得る活動のこととでも言いましょうか。

言葉の定義があいまいなため、事業所の取り組み方によっても意味が異なる可能性があります。ただ、有償・無償にかかわらずボランティアをするということは誰かの役に立っているということに変わりはありません。施設で導入する際はこのあたりの言葉の定義や本来の目的を再確認しておく必要があるかと思います。

有償ボランティアの定義を考えよう

世の中に役立っている感覚が生活のプラスに

「働く」という言葉は、傍を楽にする(まわりを楽にする)ことから生まれたとも言われます。前述した通り、ICFの考え方に基づけば、ボランティアや働くことなどの「社会参加」は、その人にとって非常に重要です。「仕事をする」「ボランティア活動をする」ということは利用者さんの心理的な面にもプラスになり得ます。

金銭をもらうことだけを目的にせずに、仕事をする役割を持つことがやりがいや生きがいにつながることもあるでしょう。

もともと有償ボランティアの事例は、若年性認知症などの方の就労支援でした。しかし、今後は一般の高齢者の就労支援という目的でこのような事例が増えてくるのではないかと思います。

「生涯現役」「人生100年時代」と言われ、一般の方も「元気なうちは働きたい」と考えている方が多くいると聞きます。今後は要介護者となった方からも、さらに「働きたい」というニーズが出てくることが予想されます。介護業界の変化は続いていきますので、高齢者が働くことに関しては改めて考えてみる必要がありそうです。

まずは利用者さんの状態やニーズ、事業所でのできる範囲かどうかを確認したうえで、ハリのある生活をしてもらうためにプログラムを提供していくことが大切だと思います。

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髙橋 秀明
一般社団法人 千葉市認知症介護指導者の会 理事
2022/12/16

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