有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。
介護にかかわるサービスやルールは非常に多くありますし、介護保険も3年ごとに改定されるので、すべてを網羅して理解するのは大変です。皆さまは以下の手当をご存じでしょうか。
- 熟年者激励手当(東京都江戸川区)
- おとしより介護応援手当(東京都中央区)
- 在宅寝たきり高齢者介護者慰労事業(東京都中央区)
これらは自治体独自のサービスですので、あまり聞いたことがない方もいらっしゃると思います。ただでさえ介護保険周辺のルールは複雑ですから、すべての支援制度を理解するというよりは「使えるものを知っておく」というスタンスが大切です。今回は、自治体独自の介護支援制度を紹介していきます。
多くの自治体では独自の介護支援サービスを提供している
一般的な介護保険とは異なり、多くの自治体には独自の介護支援サービスがあります。介護が必要なご本人やご家族の方は、一度お住いの自治体に聞いて確認してみると良いでしょう。「介護」と一言で言っても、「本人が対象であるもの」と「その家族を対象にしたもの」などで分かれています。
前述した3つの手当のうち、「熟年者激励手当」と「おとしより介護応援手当」は本人向けのものです。「熟年者激励手当」は、対象となる熟年者の方に月額1万5,000円の手当を支給し、在宅での介護を支援するものです。「おとしより介護応援手当」は寝たきり、または認知症の高齢者の方でかつ在宅で生活している方が対象で、2万円の手当が受けられます。
一方で、「在宅寝たきり高齢者介護者慰労事業」は家族向けです。要介護2以上の寝たきりの方や認知症の高齢者の方を在宅で介護している方に、食事券など最高限度額3万円分を年1回支給します。
ほかにも、介護をする家族に向けに「家族介護継続支援事業」があり、以下のような支援を行っています。支援方法の違いはありますが、2018年時点で全国8割以上の自治体が実施しているそうです。
- 健康相談・疾病予防事業
- 介護者交流会の開催
- 介護自立支援事業(慰労金などの贈呈)
- 介護用品の支給
江戸川区では条件を満たせば年間18万円が支給される
各自治体特有の支援例として、私の住む江戸川区での「熟年者激励手当」についてご紹介いたします。これは介護される本人に支給される手当で、その要件は以下のすべてを満たす方となっています。
- 60歳以上で江戸川区に在住の方
- 介護保険の要介護認定4または5で在宅の方
- 本人及び本人と住民票上の世帯を一にする世帯全員が住民税非課税の方
申請日が病院の入院日から退院日の間に入っている場合や、申請日が介護保険施設などの入所日から退院日の間に入っている場合(ショートステイ・お泊りデイも含む)は申請できません。また、重度心身障がい者手当を受給者している方や、生活保護を受給している方、世帯内に住民税未申告者がいる場合も支援の対象外となります。手当額は1万5,000円と在宅月数をかけた額です。
また、条件を一度満たせば永久的に受給されるというものでもありません。以下が起きた場合、受給資格を失います。
- 江戸川区から転出
- 要介護4または要介護5以外になった
- 介護認定の更新を行っていない
- 介護保険施設や有料老人ホーム、グループホームに入所
- 院や施設などに長期入院・入所
- 重度心身障がい者手当を受給
- 生活保護を受給
- 本人または同一世帯の家族が住民税課税者になった
このようにさまざまな条件はあるものの、仮に1年間手当を支給された場合は総額18万円になります。介護生活を続けるにも、家族の介護をするにもお金が必要になるわけですから、これらの情報は知っておいて損することはないでしょう。
在宅介護の前に情報収集を
今回紹介したような支援制度を知らないと、本来受給できる条件を満たしているにもかかわらず、支援を受けられずに損をしてしまう可能性があります。もしお住いの自治体にどんな手当があるか気になったときは、インターネットで調べてみたり、区役所の介護窓口に相談など、簡単な情報収集をしてみることをお奨めします。
少し調べてみるだけで国や自治体がさまざまな支援をしていることがわかるでしょう。自身や家族の介護にはお金が必要なので、支援制度を知っているに越したことはありません。