有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。
介護業界の人材不足は誰もが知るところです。他業界で失業した方々が介護業界に参入したとしても、人材不足が解消するというわけではありません。今回は「デイサービスの人材不足問題とその対応策」についてお話していきます。
介護職の有効求人倍率は右肩上がり
介護職員の有効求人倍率は、2013年からのデータを見ても右肩上がりであることは明らかです。最近は「訪問介護の有効求人倍率が15倍を超えた」というのが話題になっていますが、介護業界は業態に関係なく有効求人倍率が高い状態が続いています。2025年には「38万人の職員が足りない」と言われていますから、納得の数字です。コロナ禍の2019年度(2020年)の有効求人倍率も高水準となっています。
デイサービスの送迎と施設内の作業を分業制に
人手不足はデイサービスにおいても同じ状況です。デイサービスの業務を簡単に分類すると、「運転などの送迎」と「施設内での作業」の2種類に分かれています。介護の仕事といえば後者のイメージが大きいですが、デイサービスのような通所施設だと送迎業務も必要不可欠。まずは利用者の方を自施設にお連れしないと、サービスを行うことができません。
とはいえ、送迎車の運転と施設内での作業の両方を行えるスタッフは、多くないのが実情です。特に送迎業務では、「交通事故」や「都市部では運転免許の保有率が低い」「免許を持っていても運転技術に自信がない」などの課題やリスクがあります。
これらの理由から、送迎業務のみを依頼しようとすると、以下の事柄から自然とシルバー世代のスタッフが多くなります。
- デイサービスの運転には普通運転免許でOK(二種免許は必要なし)
- 送迎を行う朝と夕方の時間帯のスポット勤務
大規模の事業所であれば、そのような運転業務だけの職員も多いようです。しかし、小規模の事業所となると雇用できる職員数も限られ、運転業務と施設内業務を兼務している職員が多くなる印象となります。有効求人倍率が高く、慢性的な人材不足の中で、送迎ドライバーに求める条件が多くなれば、さらに雇用は難しくなります。
経営的には、全職員が運転も施設内業務もすべて行えるのがベスト。しかし、以下のことを前提に考えていくと、直接的な介護の仕事以外を外注するのがベターだと思います。
- 全業務を行う職員の負担感
- 業界内の人材不足をふまえた離職回避
- 安全な施設運営の継続
事業の継続性を担保する施策を検討
今回は都市部のデイサービスについてお話をしました。施設によっては送迎業務だけでなく、夜勤職員の配置の問題などさまざまな課題があると思います。介護施設の事業の継続性を担保するには、一部の職員に負担が偏ってしまわないような体制が必要です。
全事業所に共通の解決策というのはありませんが、見守りシステムなどのテクノロジーや、外国人スタッフやシルバー人材の雇用、ワークシェアリングなどを採用している事業所があります。このような、持続的な施設運営を保つための手段を持つことが求められます。
コロナ禍でも介護業界の人手不足は解決しないのですから、今までのやり方にこだわり過ぎずにいろんな方法で対応していきたいです。