こんにちは、フリーライターの奥村シンゴです。
私は、30歳過ぎから6年間、認知症の祖母の在宅介護を経験しました。
その後、昨年1月から精神科病院に入院中の祖母のもとに週1回面会へ行っています。
その他に、祖母の急病時の対応なども行っています。
2020年3月から新型コロナウイルスの感染防止のため、精神科病院で祖母と面会することが禁止されました。
今回は、在宅介護生活の1日のスケジュールを追いながら、「無理なく介護を続けるためのコツ」をアドバイスさせていただきます。
介護サービスを有効活用する
介護サービスを利用することが、無理なく介護を続けるためには重要です。
とはいえ、介護サービスは要介護度によって受けられるサービスの上限があるので、祖母のケースで例を示しながら説明します。
厚生労働省が定めた1ヵ月あたりの在宅サービスの利用限度額と、自己負担額は下記の通りとなっています。
要支援1は、利用限度額が49,700円に対し、要介護5は358,300円と介護度によってかなり開きがあります。
我が家の介護サービスの利用状況をモデルに、説明します。
要介護1~2の場合
【要介護1~2の場合】
- 週2回朝9時~夕方位までデイサービス
- 週2回30分ほどヘルパーが買い物や掃除
- 月2泊3日ショートステイ
祖母がデイサービスへ行き、帰宅するまでの時間が束の間の休息時間でした。
私はその間、洗濯や買い物を行って、3時間程倒れこむように爆睡し、30分位近くの公園付近をジョギングしていました。
要介護3~4の場合
介護3年目のある日、祖母が自宅で転倒・打撲し、2週間入院しました。
寝たきりになり、要介護度が2から4に上がりました。
介護3年目~6年目までは、介護保険内で利用可能な介護サービスの上限が増え、目一杯活用しました。
この頃には、母親が週1・2回介護を手伝うようになりました。
祖母が要介護3~4の時期の具体的なスケジュールは以下の通りです。
【要介護3~4の時期の一週間のスケジュール】
- 月曜:日中はデイサービスへ。夕方から翌朝は在宅介護
- 火曜:午前中1時間程訪問看護。それ以外の時間は在宅介護
- 水曜:日中はデイサービスへ。夕方から翌朝は在宅介護
- 木曜:ショートステイまたは、お泊まりデイを利用
- 金曜:ショートステイまたは、お泊まりデイを利用
- 土曜:ショートステイまたは、お泊まりデイを利用。夕方から在宅介護
- 日曜:在宅介護
毎週2回、ショートステイかお泊りデイサービスの利用を始めたことと、多少母親の協力があったおかげで、友人や後輩などと飲みに行ったり、国内旅行を楽しんだりする時間が持てるようになりました。
また、フリーライターやテレビ、ネット番組、企業支援の仕事をスタートしたのもこの時期です。
心身の疲労度で言えば、要介護度が低いときのほうが一緒にいる時間が長く負担が大きかったです。
要介護度が軽度の場合、会話で疲れてしまわないように構い過ぎないことが重要
本人に対して、「適当に相手をする」ことが無理なく過ごすためのコツです。
「介護なのに矛盾しているだろ」と思うかもしれませんが、意外と重要だと思います。
前述した通り、要介護が低いと介護サービスの利用可能時間がかなり限られます。
要介護度が低いときは、協力者がいなければ、要介護者と一緒に過ごす時間が長くなります。
要介護者の体は比較的元気ですので、体のケアより、会話をすることに対して介護者が疲れるケースが多いと思います。
ですから、会話の要所だけを掴んで適度に笑いながら、後は適当に受け流す対応をおすすめします。
軽度の要介護者との会話
- 祖母「シンゴくん、明日は会社かいな?休みかいな?」
- 私「明日は会社や」
- 祖母「そやったかいな、じゃあ明日は早起きしないとね」
- 私「7時位に起きたらいいからな」
- 祖母「5時位に叩き起こしたろ」
- (爆笑)
- 10分後
- 祖母「シンゴくん、明日何時位に起きたらええんかいな?」
- 私「7時位に起きてね」
- 祖母「はいよ、シンゴくん、給料日はいつかいな?」
- 私「施設の人に聞いてね」
- 祖母「はいよ、おやすみ」
- 私「おやすみ」
ご覧のように、認知症の場合、要介護度が低くても同じことを何度も聞きます。
1日10回以上はざらです。例に示したように、私は極力聞かれたことのみ答えて、笑いを忘れないようにしています。
介護度が重度の場合も構いすぎないことが大切
一方、要介護度が重度になると、介護サービスを利用できる時間は増えます。
しかし、転倒リスクや徘徊、異食、排泄の失敗など、協力者がいなければいないほど、ほぼ寝る暇もなく、矢継ぎ早にいろいろなトラブルが発生し、目が離せません。すべてをケアすると本人のADLが低下し、介護者の体がもちません。
なので、転倒や骨折などリスクを防ぐことを条件として、「構いすぎない介護」をすることがポイントです。
私は、祖母に車椅子に乗らず歩行するよう指示したり、排泄の失敗をするギリギリまで様子をみたりしていました。
「トイレどこやった?シンゴに教えてくれる?」と言うと、負けず嫌いな祖母の性格に火がつき「あんたバカにしとんかいな、ついておいで」という具合です。
本人のADL維持はもちろん、介護者の負担を少しでも軽減できて、お互いにとって良い関係を築けます。
【無理なく介護を続けるためのコツ】
- 介護サービスを最大限に利用する
- 介護度が軽度のときは会話の要所だけ捉え、笑いを忘れずに適当に受け流す
- 介護度が重度のときは自律を促す介護を心がける