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第113回

認知症の高齢者に洗い物のやり方を思い出してもらう方法とは?家事を通じた認知症ケアの実例

最終更新日時 2019/09/03
#親の介護
認知症ケアに特化した施設であるグループホームで行われているケア方法を、在宅介護に取り入れたらどうなるのかを実体験に基づいてお話します。グループホームは少人数制となっているため、このような行き届いたケアに力を入れることができるのが大きなメリットと言えますね。それでは、このグループホームの取り組みを在宅介護に応用した事例について見ていきましょう。

こんにちは、祖母の在宅介護を6年間行ってきた、フリーライターの奥村シンゴです。

今回は、認知症ケアに特化した施設であるグループホームで行われているケア方法を、在宅介護に取り入れたらどうなるのかを実体験に基づいてお話します。

グループホームは、利用者が料理や掃除などを自分たちで行いながら、自立した生活を目指すという取り組みを行っている介護施設です。

自分自身でできることを行い、それぞれの役割を担うことによって、認知症の進行を緩やかにする効果があるとされています。

グループホームは少人数制となっているため、このような行き届いたケアに力を入れることができるのが大きなメリットと言えますね。

それでは、このグループホームの取り組みを在宅介護に応用した事例について見ていきましょう。

ケース1:わからないところだけ、ヒントを出してみる

私は認知症の祖母を、2018年の11月末まで6年間、在宅介護をしていました。

祖母は介護状態となって5年目くらいから、徘徊や異食、便器と逆を向いてトイレをする、食べたことを忘れる、化粧ができなくなる…などの認知症の症状が現れはじめました。

それでも6年間の在宅介護の中で、私は認知症の祖母に「極力自分でできることは自分でしてもらう」ということを徹底していました。

例えば、「料理が難しいなら食器洗いを」。

ある日、グループホームに母親を預けている知人から、「料理をせえへんなら、食器洗いをお願いしてみれば?うちの母親も喜んでやってくれてるで」とアドバイスを受けました。

そう言われて思い返してみると、祖母は元々、料理をした後、片付けをキッチリしないと気がすまない性分でした。

そこで、祖母に早速、「ばあちゃん、食器を洗ってくれへん?」と打診してみました。

祖母は嫌がるかもしれないと思っていましたが、「よしっ、やったるがな」という返答。

それから祖母は施設へ入所するギリギリまで、台所に立ち、洗い物をしようと頑張っていました。

手は出さず、ヒントを出すことがポイント

食器の数は、祖母と私の二人分だけ。

私はあえて何も手を出さず、「ばあちゃん、がんばれ」と心の中でエールを送りながら、そっと見守ることにしていました。

食器洗いは、洗剤をスポンジにつけ、そのスポンジで汚れた食器を洗い、食器を水に流して片づけるという単純作業です。

しかし、祖母は認知症によって、“汚れた食器を洗う”ということがわかっていませんでした。

そのため、食器棚から新しいお皿を出してきて、それを洗おうとしてしまうことも。

そこで私は、祖母に「食器は出さんでええから、さっき食べたお皿だけ洗ってくれる?」とヒントを出しました。

すると祖母は、「わかってるわいな、バカにすんなよ」と笑いながら、私のヒントに耳を貸そうとしませんでした。

ヒントを出したときの祖母の反応は、その日によってまちまち。

思い出したように、洗剤をスポンジにつけて食器を洗い、片づけまでできるときもあれば、洗剤をスポンジにつけて洗えるものの、片づけるのを忘れてしまうときもありました。

片づけるのを忘れているときには、祖母に「ばあちゃん、何か忘れてない?」とヒントを出します。

すると祖母は、「あらま、私としたことが」と思い出したように言いながら、「あんたは男なんだから向こうにいなさい」なんて叱られることもありました。

もちろん、この取り組みは時間がかかってしまうので、つい「自分でやった方が早い」とイライラして、代わりたくなることもあると思います。

しかし、できるだけ本人のプライドを傷つけることなく、介護者は手を貸さないようにして様子を観察することをオススメします。

ケース2:隣でお手本を見せながら、一緒にやってみる

祖母は、認知症が進行するに伴って、次第に自分で洗濯をするのが難しくなっていきました。

そんな時期に、私がグループホームで施設見学をする機会があり、施設の職員と利用者が会話をしながら洗濯物を畳んでいるのを目にしました。

私はその光景を見て、「よし、これや」とピンときたのです。

祖母は昔から几帳面な性格で、私が洗濯物を畳んでいないと「あんた、洗濯物キッチリ畳みなさいよ、どんなことでもキッチリするんだよ」とよく言っていました。

それを覚えていた私は、洗濯をする機会があるときに、「ばあちゃん、一緒に洗濯物を畳んでくれへんかな?」と尋ねてみました。

すると、祖母は「よっしゃ、私が畳んであげよ!」と、笑顔で答えてくれました。

仕事人間だった祖母に、満足感を得てもらうことができた

電話局で50年以上も勤務していた祖母は、根っからの仕事人間。

仕事を任されると、意欲的になってくれるのです。

ただ、洗濯物を畳むことができなくなってきていたので、食器洗いのときのように任せるのではなく、私が隣で一緒に畳むことにしました。

祖母は、私が洗濯物を畳んでいるのを見ながら、付けっぱなしにしていたテレビを見ることもなく、ただ黙々と作業し続けていました。

その集中力のオンオフを切り替える速さは、いかにも仕事人らしい祖母。

デイサービスやショートステイなど、介護施設から帰宅したときには、洗濯物が多くなるので祖母にも積極的に手伝ってもらっていました。

ある日、ケアマネージャーが定期訪問に来たときに、祖母が洗濯物を畳んでいる姿を見て、感心していただいたことがあります。

ケアマネージャー曰く、「あら、洗濯物を綺麗に畳んでいらっしゃいますね。これはとっても良いことなんです。頭で考えながら、手先を使うし」とのこと。

確かに祖母は、洗濯物が多いときには「あんた、ちょっと疲れたから休んでええかいな」なんて言って、昼寝をしているときがありました。

それは、洗濯物を畳むことに思考を巡らし、手先をよく使っているということの現れだったのだと思います。

こうした家事などを手伝ってもらうことは、本人にとって「家事をした」「仕事をした」という満足感が得ることができるので、とてもオススメです。

最後に一言

認知症が進行してくると、だんだん料理を作れなくなったり、掃除や洗濯ができなくなったりするようになります。

そんなときに、本人の性分、過去に好きだったこと、そして認知症の状態などに合わせて、適度に家事を手伝ってもらうようにしましょう。

認知症予防にもなりますし、ただ「やってあげる介護」をするよりも、本人や介護者にとって生活にハリが出ると思います。

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友井川 愛
一般社団法人 きらめき認知症トレーナー協会 トレーナー
2018/12/30

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