みなさん、こんにちは。ケアマネージャーの小川風子です。
気象庁のデータによると、日本の気温は1920年代から、少しずつ上昇している傾向にあるようです。
その影響によるものなのか、近年では毎日のように熱中症のニュースが流れていますね。
総務省消防庁によると、2018年の7月30日~8月5日の1週間で、熱中症が原因の救急搬送をされた人数は、約1万3000人もいたようです。
そして今年もその予兆を見せており、2019年6月10日~6月16日の間に、熱中症によって救急搬送をされた人数は545人もいたことがわかりました。
今の時期から、しっかり熱中症対策をする必要があることが窺えますね。
熱中症は、身体の弱っている高齢者の方の場合、命を落とすこともあります。
今回は、なぜ高齢者が熱中症になるケースが多いのか、そしてどのように対応すれば良いのか、原因と対策を今一度検討してみましょう。
なぜ高齢者が熱中症になりやすいのか
高齢者に限らず、最近の暑さでは誰が熱中症になってもおかしくありません。
しかし、重篤な状態に陥る、もしくは命を落とすほどの酷い熱中症になる方の多くは、高齢者です。
体内の水分量や体力的な問題はもちろんあるのですが、高齢者が熱中症になりやすい原因のひとつとして、昨今の夏の暑さを軽視している部分が大きいかと思います。
「水分を取るとトイレが近くなる」「冷房を入れると電気代がもったいない」…熱中症への注意を促すと、このように返事をする高齢者がとても多いのですが、扇風機で暑さをしのげた昔の夏とは違います。
今の時代の夏の暑さに対する意識の薄さも、高齢者の熱中症の原因のひとつだと考えます。
水分を取らない高齢者に対する対応
熱中症予防としては、十分な水分摂取が欠かせませんが、高齢者の場合、心臓病や腎臓病などの病気で水分制限のある方も少なくありません。
そういった方は仕方がないとして、そうでなければしっかりと水分を摂ってもらいたいのですが、高齢者はなかなか水分を摂らない方が多いです。
前述したように「トイレの回数が増えるのが嫌」「のどが乾かない」「お茶が嫌い」など、いろんな理由がありますが、多分これが実際のところなんだろうなというのが「水分を摂るのがめんどくさい」ことだと思います。
ですから、まずは介護者の方やご家族が、簡単にいつでも水分が摂れるような環境を作ることが大切です。
大きめのコップにお茶を入れておく、ポット等にお茶を入れて机の上に置いておく、これだけでも飲む回数が増えますし、「トイレに行って帰ってきたら必ずお茶を飲む」を徹底してもらうことも効果があります。
それでも水分が足りていない場合は、食事から摂ることを心がけましょう。
豆腐や夏野菜など、水分量の多いものを食べる、おやつは水ようかんやゼリー、かき氷などにする、主食のご飯を水分多めに炊く、食事の際には汁物を付ける等の工夫も効果的です。
冷房が嫌いな高齢者への対応
冷房が嫌いな高齢者に対して、どうすれば良いのかですが、これに関してはもう「冷房を付けるしかない」ということに尽きます。
高齢者で冷房が嫌いな人は非常に多いです。扇風機すら付けずに過ごす方もいます。
電気代がもったいないという理由で冷房を拒否する方もいますが、そもそも暑さに気づいていない、認知症などで季節がわからなくなっている、という場合もあります。
真夏に訪問をしてもコタツがついていたり、閉め切った部屋で真っ赤な顔をしながら何枚も服を着ている高齢者もいます。エアコンのリモコンの操作がわからず暖房設定のままの方も。
冷房を付けてもすぐに自分で切ってしまったりする場合は、冷房の設定温度を28~29℃と高めの設定にしておき、風が本人にあたらないように工夫する、さらにリモコンを隠すなどの対応する荒療治も必要かと思います。
いくら水分を摂っても、部屋が暑ければ熱中症を防ぐことはできません。
認知症?と思ったら熱中症の場合も
以上、高齢者の熱中症についてのお話でした。
急に暑くなったと同時に、それまで何の問題もなかった高齢者が急にぼんやりしたり、物忘れがひどくなったり、普段では考えられないような言動が見られた場合、私たちはまず脱水を疑います。
水分さえとっていれば認知症にならないという説もあり、その信ぴょう性は定かではありませんが、少なくとも水分不足で頭がぼんやりし、認知症のような症状が現れることはよく見られます。
冷房を付けたらもちろん電気代はかかりますが、命には代えられません。
電気代がもったいないと言われる方には、熱中症で病院に運ばれて入院になった方が高くつきますよ、と説得することもあります。
家の中でも夜中でも熱中症になる可能性はあるので、本人とご家族でしっかり気を付けるようにして、元気に夏を乗り越えましょう。