こんにちは、フリーライターの奥村シンゴです。
不仲な家族の介護を頑張っている方、将来的にどうするかを悩んでいる方は少なくないと思います。
どんなに家族と不仲であっても、歳を重ねていけば、在宅介護を検討するときが訪れる可能性がありますよね。
そんなとき、在宅介護をするべきか、施設に預けるべきかで葛藤をする方も少なくないでしょう。
祖母を在宅介護してきた私の意見としては、家族が不仲の場合には、無理をして在宅介護をするよりも、施設に預けた方が良いと思っています。
その理由を、祖母との在宅介護の経験や、母親と祖母の関係性を踏まえてお話ししていきますので、悩んでいる読者の方々は参考にしてみてくださいね。
施設に入居させたくない筆者と、入居させたい母
私は30歳過ぎから6年間、祖母の在宅介護を行いました。
働き盛りだった私が、祖母の介護を引き受けたのには理由があります。
私が小学校入学の頃、母親が離婚しました。そのときに私と私の兄弟(弟と妹)は、施設へ入る予定だったのです。
ところが、私たちが施設に行くのを止めてくれたのが祖母でした。
「施設へ入れるのは反対。一緒に育てるから、引き連れてきなさい」と母に言い、私や私の兄弟のために家を購入。電話局で働きながら育ててくれました。
祖母は誰よりも私を可愛がってくれて、私は大学まで進学させてもらいました。
北海道旅行に行かせてもらったり、プレゼントをもらったり…いつも1番にシンゴくん、シンゴくんと言ってくれました。
そんな祖母が6年前に、認知症を発症し介護が必要になりました。
脳梗塞で倒れたばかりの母、結婚していて家庭のある兄弟。祖母の面倒を看ることができるのは、私ひとりという状態でした。
私は、幼い頃から可愛がってくれていた祖母を施設に入れたくないと思いました。
しかし、一方で母は、祖母を施設へ入れたがっていたのです。
母と祖母は不仲だった
母親と祖母は、昔から不仲でした。
母親は生命保険外交員で、収入が不安定だったことから、祖母に「3人の子供がいるのだから、もっと収入が安定した仕事に変わりなさい」と言われていました。
すると母は「拘束される仕事は嫌やもん、体がついていかない」と言い返し、祖母と口論になることも少なくありませんでした。
生命保険外交員という仕事を否定するわけではないのですが、当時の家庭環境を考えてみると、祖母の心配はもっともだと思います。
母は当時と同じように、「私は体が弱い」と言い張り、祖母の介護が必要になってもなかなか協力してくれませんでした。
母による介護に、祖母は不安を感じていた
また、祖母も、母親から介護をされることに抵抗していました。
例えば祖母が、ひとりでお金・通帳・印鑑などの財産を管理することが困難になったとき、通常なら娘である母が管理すると思います。
ところが、祖母は「シンゴに全部預けるからね、母には絶対渡したらダメだからね」と言うのです。
その後、祖母が認知症が進行し、私だけで介護をすることができなくなったときにも、母と祖母は衝突してしまいました。
母親が週1回、夜間かから早朝にかけて介護することになったのですが、そのときも祖母は私に度々電話してくるのです。
「シンゴ、今どこいるんかいな?はよ帰って。あの子(母)と一緒にいても退屈。偉そうに言われるし」…と。
祖母は私よりも、母親といるときの方が、不安や混乱になることが多くありました。
不仲な家族が介護をする、介護されるというのは、本人や介護者にとって、大きなストレスになるのです。
ただ、母が週1回の介護をするようになったことで、だんだん祖母も、母親を頼りにするケースが増えました。
お互いが憎み合っているというよりは、ただ親子同士だから、互いに頼ったり頼られたりするのが難しいのかもしれません。
介護施設の入居も検討してみよう
家族を施設に預けることに対して、躊躇したり悩んだりする方々も多いと思います。
もちろん、私の祖母が母を頼るようになったように、介護を通して互いの距離が縮まる…というケースもあります。
しかし、双方が不仲だと介護はなかなかうまくいかないというのも、事実だと思います。
そのため、介護の方向性は本人や家族としっかり相談して決めることが大切ですね。
内閣府の世論調査では、全国20歳以上の方に「介護を受けたい場所はどこか」と質問したところ、44.7%が自宅、33.3%が特養や老健などの介護施設、9.0%が有料老人ホームやグループホームなどを希望していたことがわかっています。
つまり自宅介護を希望する人と、介護施設で過ごしたい人との割合はほぼ同じなのです。
介護をするのが子どもの責任、と思い込まずに、よく状況を鑑みながら、家族間で相談してみることが大切だと思います。
在宅介護に前向きになれない場合は無理をせず、経済的な事情もあるとは思いますが、施設に預けることも検討してみてくださいね。