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第7回

認知症の人に「何度も同じことを言わせるな!」はNG。優しく寄り添う対応のコツ

最終更新日時 2017/12/14
#親の介護
「認知症」という言葉をテレビや新聞、インターネットでよく聞くようになりました。2017年現在、認知症患者は全国で500万人いると推定されており、超高齢社会を背景に患者数は右肩上がりとなっていて社会問題化しています。

こんにちは。「介護のリアルを伝える!」をモットーに記事を執筆している、介護ライターの郷司純子です。認知症についてわかりやすくご説明していきますので、どうぞよろしくお願いします。

今回はテーマは主に“認知症とは何か”、そして“認知症患者への接し方”についてです。

マイナスイメージがついてしまう認知症… でもなんで?

最近、「認知症」という言葉をテレビや新聞、インターネットでよく聞くようになりました。2017年現在、認知症患者は全国で500万人いると推定されており、超高齢社会を背景に患者数は右肩上がりの状況でどんどん社会問題化しています。

右肩上がりの認知症患者数

認知症は、数万人に一人が発症するような珍しい症状や状態ではなく、誰でも発症する可能性がある“病症”です。しかし認知症と聞くと…

  • 認知症の父が徘徊するので家族以外にも迷惑がかかる
  • 幻覚や幻聴で家族が振りまわされる
  • 母が何度も同じ会話をするので腹が立つ

などなど、マイナスイメージばかりが先行しているのはなぜなのでしょうか?

まず理解して欲しいことがひとつ。それは「認知症」は特定の病名ではなく、記憶障害、つまり物忘れ症状が進むことで生活に支障が出ている状態のこと。日常生活、ひいては家族の人間関係にも支障が出ているケースもあり、マイナスイメージばかりなのも自然なことだといえますね。

そしてこの「物忘れ症状」こそが、病気の本質や対処法を考えるカギとなっています。

認知症は筋肉や臓器ではなく「脳の機能障害」

なぜ、物忘れが認知症の代表的な症状のひとつになっているのでしょうか?

認知症は筋肉や内臓が原因となって起こる病症ではなく、さまざまな原因で「脳(の機能)が侵されている状態のこと」です。脳の機能について知るとそのヒントが見えてきそうですね。

脳には多くの役割が!大きく分けると3つの機能に分類

  • 物事を考えて判断・理解・記憶する
  • 運動機能をコントロールする
  • 呼吸などの生命機能を維持する

認知症の種類の中で一番多いとされるアルツハイマー型認知症はこのうち、「物事を考えて判断・理解・記憶する」部位にダメージが及んでいる状態の場合がほとんど。特に、短期記憶をつかさどる“海馬”と呼ばれる部分が最初に侵されるため、病気の初期の段階から「物忘れ症状」がわかりやすく表れるのです。

もちろん、脳は海馬だけで構成されているわけではないので、病気が進行すれば「運動機能をコントロールする」「呼吸などの生命機能を維持する」といった機能もだんだん低下していきます。

現時点では治療ができないといわれる認知症ですが、対応策は確立されています。認知症と診断されれば医師が病気の進行をゆるやかにする薬を処方してくれますので、まずは服薬による治療。さらに、セラピーと呼ばれるさまざまな療法を組み合わせて進行を抑え、QOLを維持するのが一般的な認知症の治療法となっています。※QOL(Quality of Life)=生活の質

服薬での認知症治療

今、大事なご家族や親族が認知症と診断され、「一体この先、どうすればいいのか…」と途方に暮れている方も多いかもしれません。まずは医師から処方されたお薬をきちんと飲み、なるべく脳や体を刺激して認知機能を維持できるように配慮するのが基本になります。焦らずに対応しましょう。

さまざまな物忘れから認知症の症状を紐解く

認知症で特徴的な症状は「日常生活に支障をきたすほどの物忘れ」。認知症患者を介護しているご家庭ではこんな声をよく聞きます。

  • 壊れたレコードのように数分おきに同じ会話をする
  • 一日に何度も何度も洗濯機をまわすので、水道代が高額になって困る
  • さっき朝食を食べたかと思ったら、また朝食を食べようとする
  • 「財布が盗まれた!」と言って騒ぐ

これらの症状はすべて「物忘れ」が根本的な原因となっているんですね。認知症患者の脳は短期記憶を担う海馬の脳神経細胞がダメージを受けているので、「ついさっきの記憶」がどんどん消えていきます。

海馬のダメージ状況によっては30分ほど短期記憶がキープできることもありますが、ダメージが広がるうちに記憶できる時間が10分、5分、3分と短くなっていくわけです。

海馬のダメージで短期記憶時間が減少

あたかも初耳だった風に!私は名女優!

「今日は何月何日かな?」という患者の問いに「今日は8月3日ですよ」と答えても、海馬のダメージが深い場合はその記憶を数分しか維持することができません。会話の内容が数分後には完全に消えてしまうのですから、「今日は何月何日かな?」と再び聞き直すのは本人にとってごくごく当たり前のことだと思いませんか?認知症患者が何度も何度もしつこく同じ質問をしたとしても、本人にすれば聞くたびに新しい話題を口にしているとつもりなので当然です。

ですから、「何度同じことを言わせるの!今日は8月3日だって言ったでしょう!いい加減にしてください!」と家族から怒られたら「なぜ急に叱られなきゃならないの?私はただ日付を聞いただけなのに…」と深く傷ついてしまうのです。

同じことを何度も繰り返し聞かれた場合は「今日は8月3日ですよ」と教えてあげつつ「今、新しく聞かれたのだ!」と思って対応してあげてくださいね。何度も同じ質問をされて嫌になったときは「お母さん、ちょっとお茶でも飲みませんか?」「散歩にでも行きましょうよ」と話題を変えるのが良い対処法になります。

間違っても認知症の患者さんを怒鳴ったり叱ったり、ましてや叩いたりしないでください。相手の感情を感じる脳の機能は衰えていないので「突然、娘から叩かれた」「嫁から叱られた」というマイナス感情だけが残り、人間関係が悪化する原因になってしまいます。

何度も同じ質問や会話を繰り返す認知症患者には、さも「あら、私はその話題は今初めて聞いたわ」という演技をすることです。そうです、認知症の患者さんと接するときは、俳優や女優になりきることが大切なんですね。

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