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第33回

施設や在宅で起こる高齢者からの暴力。時間が経てば収まるわけではありません。早期に医療の力を借りることが重要です

最終更新日時 2020/04/13
#親の介護 #地域包括支援センター
こんにちは、ケアマネの小川風子です。近年、ニュースで介護職員による高齢者への虐待や事件が報じられることが多く、問題視されているかと思います。では、その逆はどうでしょうか。今回は「高齢者からの暴力」について、お話していきましょう。

こんにちは、ケアマネの小川風子です。

今回は、「高齢者からの暴力」について、お話していきましょう。

高齢者が介護職員や家族に危害を加えるケースは少なくない

私たち介護職員は、定期的に「高齢者虐待」の研修を受けたり、勉強をします。

もし虐待されている恐れのある高齢者を発見したら、地域包括支援センターや役所に通報する義務もあります。

ニュースで介護職員による高齢者への虐待や事件が報じられることもあり、「高齢者が誰かに危害を加えられることがある」ということについては、わりと世間の方もご存じで、問題視されているかと思います。

では、その逆はどうでしょうか。

高齢者が、介護職員や家族に暴力を振るうケースは、どれくらいあると思われますか?

想像したことはありますか?

それはおそらく、介護に携わらない方の想像をはるかに超えているのではないかと私は思います。

ここでは、高齢者から暴力を振るわれた事例や、暴力を振るう高齢者に対しての対応について、お話していきます。

施設で入居者が職員に暴力を振るうケース

高齢者施設は特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホームなどたくさnありますが、私自身はほぼ全ての形態の施設で働いた経験があります。

そして全ての施設で、入居者に殴られたことがあります。どの施設にも必ず、他者に手を出す入居者はいました。

理由やその場面は様々ですが、普段から攻撃的な人はもとより、そうでない方でも、介護に抵抗することはしばしばあります。

介護保険の認定調査の項目にも「介護に抵抗する」という記述がありますが、ここでいう抵抗は、何かのアドバイスを拒否したり嫌がったりする、という意味での抵抗ではありません。強く手を振り払ったり殴りかかってきたり、蹴ったり噛みついたりすることを表しています。

認定調査の項目にもあるくらいですから、認知症の症状のひとつとして介護抵抗はよくある話です。

時には、オムツひとつ交換するのに、寝ているところから起こすだけで殴られたりすることがあるわけです。通りすがりにいきなり手を出されるような方に関しては、あらかじめ気を付けて距離を取っておけばいいのですが、介護抵抗の場合、殴られるのが嫌だから介護しないというわけにはいきません。

ましてや仕事として介護をしていたらなおさらです。毎日のようにあざやひっかき傷を作りながら仕事をする。これが、介護職員にとって当たり前の光景です。

在宅介護の高齢者が家族に暴力を振るう

では在宅ではどうでしょうか?

どちらかといえば、深刻なのはこちらの方。

在宅介護で暴力が発生した時ほど大変なことはありません。

まず私の持論としては、認知症の進行で家族に暴力を振るうようになったら、もう在宅介護の限界だと思っていますし、利用者さんたちにもそう公言しています。

なぜなら、大きな事件に発展することがあるからです。

そして、取り返しがつかないほど家族関係が壊れるからです。

過去の事例で、日常的に娘へ暴力を振るう男性利用者がいました。

いくら高齢とはいえ、本気で男性に暴力を振るわれたら、無傷ではいられません。

私としては早い段階から距離を取るように勧めていたのですが、もともととても優しかった利用者と父親想いだった娘は、もう少し家で生活する道を選びました。

しかし、いつまでも父親の暴力は収まらず、ある日娘は顔を殴られて目の周りに青あざができてしまいます。

そのとき泣きながら「認知症なら何をしてもいいんですか?認知症の人に殴られたら、我慢しないといけないんですか?」と訴えられたことを、鮮明に覚えています。

たとえ、父親が、認知症やそのほかの病気が原因で暴力を振るうようになったとわかっていても、家族に殴られるというのは、体だけでなく心にもひどい痛みを負います。

それは我慢すべきではないと、声を大にして言いたいです。

暴力行為が収まらないなら、治療が必要

前述しましたが、暴力が発生したら在宅生活は難しいと思っています。

その結果として、施設に暴力を振るう高齢者が少なからずいるのは仕方がないとも思います。

しかし、身内が暴力を振るうようになったから、施設にお願いして介護してもらおうということは、そう簡単ではありません。

施設入居の際に断られる要件の1つが「暴力行為」です。

これは、もちろん介護職員を守るためでもありますが、万が一他の入居者に暴力を振るい、けがをさせてしまってはいけないという理由からです。

集団生活である以上、これは当然のことといえます。

では、家でも介護できない、施設にも入れない、どうしたらいいのかとなりますが、私はこの段階まで来たら、しかるべき医療機関を受診し、しかるべきお薬を飲むべきだと思っています。

精神病院の医師や看護師、精神保健福祉士は、本当に頼りになります。

本人が嫌がることもあると思いますが、最終的にはここにつなげ、本人に合った薬を処方してもらうことを目標にしましょう。

暴力行為が収まるようなお薬だと、確かに副作用がきつい場合はあります。

そんな薬を使うのは、人道的にどうかという意見もあります。

ですが、自分の意に添わず、病気が原因で人に暴力を振るってしまうような状態は、本人も絶対につらいはずだと思うのです。

精神病院やそのお薬に対して拒絶反応を起こす方は少なくありませんが、 どんな方法を取っても解決しないのであれば、医療の手を借りましょう。

あとは、とにかく誰にでもいいので、困っているなら助けを求めること。

ケアマネージャーでもいいですし、介護事業所でも地域包括支援センターでも、役所でもいいです。

暴力行為は我慢して収まる症状ではありません。

声を上げ行動し、本人にとっても家族にとっても穏やかな日々が送れるように手を打ちましょう。

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