Q.98 介護にロボットやAIを取り入れることに対して反対意見が多いことにうんざりします。そうした反対の声を抑えるための良い案はないものでしょうか?(まっつん・介護職員)
またしても…ですが、国が、介護業界にロボットやAIを活用する…という戦略を考えているそうですね。介護職員である私は、自分の仕事が少しでも楽になるなら大賛成なんですが、周囲には反対派が多数です。「ロボットに介護ができるわけがない」とか「それで利用者のためになるとは思わない」という声が多いのですが、こうした声を賛成派に回すにはどうすればいいのでしょう?何か新しいことを始めるときに、周囲の反対の声を抑えるための、ある種のカンフル剤のようなもの、もしくは説得の仕方などはないものでしょうか?
わかろうとしない人は、結局わからない。理解のある人とチームを組んで行動することから始めてはいかがでしょう?
ご質問者様の気持ちはよくわかります。
「新しい技術の導入に現場が抵抗する」という光景は古今東西ありとあらゆる分野で見られてきたことです。私自身の経験ですと、とある農業生産法人の物流現場の事業再生に携わった際に、「頭でっかちのお前なんかに何がわかる」と現場で働く方々から、当初、白い目で見られたことを思い出します。
このとき私は現場職員の敵意を感じ取って「こりゃすぐにはこの人たちと理解しあえないな」と考え、新しい流通方式導入の必要性を説明した際に理解を示してくれた数人の現場の職員の方々をピックアップしてチームを組んで、一緒に汗をかきつつ少しづつ新しい設備を導入して、仕事のやりかたを変えていきました。その結果、現場の生産性が大きく向上して売上と利益が上がり、残業が激減し給料も上がるという高サイクルが生まれて、少しづづ私は広く現場に受け入れられていきました。この経験を通して私が感じたのは「役に立つものは体感すれば結局は受け入れられる」ということです。
介護ロボットの導入に関しても、現場の全員が反対というわけではないと思います。必ず賛成派も中に入るはずです。なので、まずは一部のそうした新技術の導入に積極的な職員の人たちが多い部署から新しい取り組みをスタートして、それでその部署で「仕事が楽になって、なおかつ儲かる」という結果が出れば、現場の責任者さえしっかりしていれば同じような取り組みは職場全体に普及していくはずです。
そんなわけで、新しい技術の利点を口で説明しても「わかろうとしない人は結局わからない」のですから、大事なことは無理に職場全体を変えようとせず今時点で新技術に理解がある人たちでチームを組んで、新しい取り組みをスタートして結果を出して、ひいては職場全体を変えていく…という行動重視の態度なのだと思います。結局、仕事が楽になって儲かることが証明され体感してしまえば、よっぽどの偏屈者を除いてみんな最終的には賛成派になるんですから(笑)。