Q.50 官僚流の、介護職にも通ずるような効率の良い仕事の進め方を教えてもらえませんか?(Team X・介護職員)
介護職員です。毎日、起床・着替えの介助に始まり、食事、おむつ交換、入浴…と、分刻みのスケジュールで働いていますが、なかなか時間通り・思った通りに仕事を進めることができません。そこで伺いたいんですが、仕事を効率よく進める方法について、何か良い案はないでしょうか?官僚式…というか、宇佐美さんが仕事を進める上で心がけていることとか、官僚の皆さんの仕事の進め方の中で、参考にできる・取り入れることができるコツのようなものがないか、教えて欲しいです。
官僚の仕事は非効率極まりないので、処理スピードが求められる介護の仕事に応用できることはほとんどありません
私の経験上、官僚というのは効率的に仕事をするタイプよりも、残業が慢性化しており「質より量で勝負」と延々と仕事をするタイプが多いように思えます。私自身も独立した今でも集中力なくダラダラと働いてしまう癖が抜けておりません。そんなわけで、私から皆様の仕事に対してアドバイスできることは乏しいのですが、ご参考までに官僚の仕事の進め方というものを少しご紹介したいと思います。
官僚というのはとにかく失敗というものを嫌います。そのため、審議会や国会などの政策決定の場において「出たとこ勝負」となることを避け、事前の根回しとリスク潰しというものを非常に重視します。極端な場合、事前に各委員と調整することで会議において各委員が何を発言するか、ということまでコントロールしようとします。結果として官僚の仕事の進め方は「失敗はないが、恐ろしく非効率」なものになっています。
ただ、官僚がこのような仕事の進め方をするのも理由があります。官僚の仕事というのは「政策形成を通じて国の未来を形作る」という非定型的な仕事であるにも関わらず、失敗した場合の社会的影響が非常に大きいものです。
例えば規制や税金や社会保障のあり方を巡る政策決定の場で議論がもめて結論が出ないとなると、「○○省が迷走」とメディアを通じて大々的に報じられ、国民が将来に対して不安を覚えて事態が混乱し収拾がつかなくなる可能性があります。みなさんの周りで言うと「厚労省の審議会内で議論が割れて来年度の介護報酬の水準が決まらない」となったら大変ですよね?そのため官僚側としては先ほど述べたように極端なまでに保守的な仕事の進め方をするわけです。
他方で介護の仕事に関しては、ある程度定型化された業務が多いと思いますし、また処理スピードが求められるような局面も多く、先ほど述べたような官僚型の仕事の進め方はあまり役に立たないような気がします。ただ、所内で幅広い職員の意見を聞いてルールを作っていくような機会があれば、その時はお役に立つかもしれません。あまりそういう機会はなさそうですが…。