いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915
宇佐美典也の質問箱

質問 Q.141 生産年齢人口が減少する一方の現状を、政策の力でなんとかすることはできるものなのですか?(あずき・会社員)

先日「子どもを4人産んだら表彰」というニュースが飛び込んできて、個人的には違和感をおぼえました。生産年齢人口が減少する最中、そのような発言が飛び出す理屈は100歩譲ってわからなくはないのですが、このような状況を政策で改善することは可能でしょうか。

労働人口の減少を抑えるには、高齢者の労働参加を促していくしかありません

大前提として、日本の労働人口の減少を出産奨励政策で覆すことは困難です。これはよく言われることですが、今から出生率が上がったところで、それが労働人口数に反映されるのは少なくとも20年後以降の話です。

また人口減少という意味でも、既に相対的に少なくなった若年世帯の出生率が今から上がったとしても、高齢者の死亡者数を補うほどの出生数の増加を望むことは難しいでしょう。

厚生労働省の統計を見ると、2016年の人口1,000人あたりの死亡率は10.3で、出生率が7.8ですから、仮に人口減少を食い止めようとすると出生数を一気に1.3倍近くに跳ね上げなければならないのですが、過去にこのようことを成し遂げた国はなく、端的に言って不可能でしょう。

その上、死亡率は団塊の世代の加齢によりこれから当面増え続ける一方、出産可能人口(15~49歳の女性)は減り続けますから、もはや出産の奨励のみによって問題を解決することは中期的にも不可能です。さらに言えば過去にも書きましたが、出生率を急速に上げようとする政策は社会に歪みを生む可能性もあります。

では労働人口の減少にどう向き合えばいいのかと言いますと、もちろん出産・育児の支援はすることは当然として、それと同時に高齢者の労働参加を促していくしかありません。これまでは定年後引退して年金暮らしをしていた高齢者に、引き続き仕事をしてもらうことで労働人口の減少を抑えるというわけです。

こうした動きは現実に始まっており、例えばかつてはコンビニや飲食店など「生活産業のアルバイト雇用」は若者が中心でしたが、少しつづ高齢者が増えてきていることは皆さんも実感していると思います。今後こうした傾向を加速させていくために、政府が研修などを充実させていくことは非常に重要な政策となっていくでしょう。

そんなわけで、質問者様が参照された政治家の発言は少しピントがずれていると思って、出産・育児を国家が支援をすることは当たり前で、あえて国家が前面に出て奨励すべきようなことではなく、本当に表彰すべきは定年後にコンビニやファーストフード店で働いている一人ひとりの高齢者の方々の社会参加なんだろうと私は思います。

【まずはLINE登録】
希望に合った施設をご紹介!