いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915

佐々木紀彦「日本のアニメやゲームは世界で“モテモテ”!2020年代はコンテンツ黄金時代に」

最終更新日時 2022/07/04

時代を変える方法は福沢諭吉に学べ。情報・学び・交流の3つのスイッチが、日本にPIVOTを起こすclass=

社会が不安定になると家族の大切さが見直される

みんなの介護 後編では佐々木さんのユニークな“生き方”に焦点を当ててお話が聞ければと思っています。まず、読者へのアドバイスをいただけますか。

佐々木 とにかく、一つのところにい続けずに動くことだと思います。同じ会社に30年・40年とい続けることが一番危ない時代です。その生き方は、会社に全部人生を預けるということですから。

昭和は安定した時代だったので、一つの会社で定年までいる人が大半でした。それに社内結婚をする人も多かった。会社のために人生を捧げるやり方がうまく機能していました。

今はそういう生き方が社会構造としてできなくなってきています。会社・趣味・家族・地域などの複数の柱を持っておく。すると、会社という柱がガタついた場合も「自分は家族がいるから大丈夫」と思える。

それに、私の勘ですが、家族というのは良い意味で見直される気がします。

みんなの介護 それはなぜなのでしょうか?

佐々木 家族というものは二つのタイミングでニーズが高まります。

一つは生活が苦しくなるとき。セーフティネットとして家族同士で支えあうことが大切になる。日本は今、どんどん円安が進行しています。このままでは貧しくなっていきますからね。

もう一つは、競争が激しくなるとき。資本主義が進むと安心できる場所としての家族が重要性を増すと思います。

資本主義の権化のようなアメリカ人はみんな「家族、家族」と言って家族を大事にします。過酷な人生を歩んできたユダヤ人や華僑の人たちもそう。かつ彼らは商売がとてもうまいじゃないですか。世界を渡り歩いて苦労したり、挑戦したりしている人ほど、大変なときに家族の絆が助けになるということを知っているのだと思います。

みんなの介護 今は結婚する人もだんだん減っている状況ですが、逆転する可能性が考えられるということでしょうか。

佐々木 その風潮が出てくると思いますね。または結婚という形をとらずに事実婚が増えるのかもしれませんね。どちらにしても、平成30年間の家族感や風潮からは変わってくる気がします。

福沢諭吉のように3つの事業で社会にインパクトを

みんなの介護 インタビュー終盤になってきました。佐々木さんの今後の展望をお聞きしたいです。

佐々木 この10年は、会社をベースにメディアやコンテンツ、経済の世界にポジティブなインパクトを出していくことです。

私は福沢諭吉がとても好きです。彼が手掛けた三大事業があるのです。1つは、当時一番有名になった「時事新報」というメディアをつくったこと。2つ目は、慶応義塾大学をつくったこと。

銀座に交詢社(こうじゅんしゃ)という社交クラブもつくったのですが、そこに官僚・政治家・知識人・経済人などが集まってアイディアを語り合う場が生まれた。そして交詢社から生命保険会社などさまざまな事業が生まれていきました。

2020年代に私がやりたいのは、メディアと教育と社交の3つを組み合わせて新しい時代を作っていくことです。メディアによって情報を伝えていくこと。それから、学習の場として知識や知恵、マインドセットを変える機会をつくること。社交として人の流れや付き合い方を変えていくこと。

新しい時代にシフトするために、私はこの3つに力を入れてプロデュースしていきたいと思っています。

日本がPIVOTするためには人々のマインドセットとスキルセットが変わる必要がある

全部を自分がやるのではなく志ある人たちと組むこと

みんなの介護 ちなみに佐々木さん自身、もともとは政治家志望でしたよね。著書『起業のすすめ』の中にも起業家から政治家になった人のお話などもありました。いつか政治家にPIVOTということも考えられるのでしょうか?

佐々木 今はないですね。今政治の世界にも政策起業家と言われる人たちが出ています。新しい法律や枠組みをつくって日本を変えようとする人たちです。私が全部自分でやらなくても、メディアや経済の世界からそのような志ある人たちと組んでいけたらと思っています。

みんなの介護 ちなみに佐々木さんが「この人いいな」と思う政治家ってどんな人ですか?

佐々木 いろいろな方がいます。賛否両論ありますが小泉進次郎さんは好きな政治家です。あと塩崎恭久さんの息子さんの塩崎彰久さん。弁護士として活躍した後、2021年に当選して、1期目からWeb3政策の立案などを推進しています。世界に通用する方だと思います。

ほかにもデジタル庁の大臣をしている牧島かれんさんや、副大臣の小林史明さん。元三重県知事で、自民党でスタートアップ政策を推進している鈴木英敬さん。

こうした新世代の政治家に共通するのは「日本を良い国にしていく」というマインドセットを持つとともに、それを政策を通じて実現するための専門性やスキルセットを持ち合わせていることです。

メディアの世界から日本をPIVOTしたい

みんなの介護 佐々木さんは「社会を変えたい」という思いを強くお持ちですよね。PIVOTでの事業を通してこんなふうに社会にインパクトを与えたいという思いはありますか?

佐々木 日本人のマインドセットとスキルセットを変えて、日本という国をPIVOTしたいという思いがありますね。この30年日本はPIVOTできずに沈んでしまった感じがあります。

問題を先送りして、これまでのやり方に固執したり、失敗を恐れて一つの場所にい続けたりするのではなく、新しいことにどんどん挑戦していくことですね。自分も周りも成長させていくという前向きなグロースマインドセットになることです。

この30年間で必要とされるものが変わってきています。移民が当たり前になり、日本の国内もグローバル化していくと、英語などの外国語はますます必須になってくるでしょう。そのほかに、デジタルスキルは必須になりますし、個々人の力を大きな力にするためのマネジメント力があらゆる分野で求められるようになります。

新時代に合わせて、人々のマインドセットとスキルセットが変わったら、日本全体が自然とPIVOTしていくはずです。そうして日本がより自由に、豊かになり、文化や人間的な繋がりに溢れた国になれば、幸せを感じる人がもっと増えるはずです。そうした流れを創るためにも、コンテンツを通じて少しでも日本に貢献できればと思っています。

撮影:花井智子

佐々木紀彦氏の著書『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』(文藝春秋)は好評発売中!

NewsPicks創刊編集長の著者が初めての起業にあたり、著者自身が悩んだこと、知りたかったことを、100人以上の起業家やプロフェッショナルへ徹底取材し、絶対に成功する秘訣を詰め込んだ『起業の教科書』の決定版。「夢」も「お金」もあきらめない、会社に縛られない新しい生き方を手に入れよう。

関連記事
医師・医療ジャーナリスト森田豊氏「認知症になった母への懺悔 医師である僕が後悔する『あの日』のこと」
医師・医療ジャーナリスト森田豊氏「認知症になった母への懺悔 医師である僕が後悔する『あの日』のこと」

森田豊
医師・医療ジャーナリスト
2022/11/07