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第137回

コロナの感染拡大でヘルパーが離職。利用者減・出勤減による退職者増加と、介護事業所倒産の危機を迎えています!

最終更新日時 2020/04/06
皆さん、こんにちは。終活カウンセラー協会の講師をしている小川朗です。私が初級検定や勉強会の講師を務める一般社団法人終活カウンセラー協会には、介護の専門家も数多くいらっしゃいます。そこで、井上智則理事(株式会社ケア・クリエイト・アソシエーション代表取締役)に、コロナの感染拡大を受けて、現在介護の現場で起こっている深刻な事態と、今後予想される問題についてお聞きしました。

皆さん、こんにちは。終活カウンセラー協会の講師をしている小川朗です。

私が初級検定や勉強会の講師を務める一般社団法人終活カウンセラー協会には、介護の専門家も数多くいらっしゃいます。

そこで、井上智則理事(株式会社ケア・クリエイト・アソシエーション代表取締役)に、コロナの感染拡大を受けて、現在介護の現場で起こっている深刻な事態と、今後予想される問題について伺いました。

コロナ感染拡大の影響 ⑴ホームヘルパーの離職

――マスク、ゴム手袋、アルコール消毒剤の在庫不足が今や大問題に発展していますが、介護の現場での影響はいかがでしょうか?

井上 政府や市町村からは医療・福祉施設に優先的にマスク等の物資を配布すると通達がでていますが、医療現場が優先されると思われるため、介護現場に物資の供給がいつ回ってくるのかわからないのが現実です。

また、当社の場合、在庫量は残り1ヵ月分しかないため、それが完全になくなってしまえば、業務に支障が出る可能性が考えられます。

――サービスの利用控えによる売り上げの大幅減少も、深刻なようですね。

井上 名古屋などの介護施設では、コロナウィルスが蔓延したことによる影響で利用者が自宅に籠るようになり、介護サービスのキャンセルが増えています。

また、介護サービスを必要とされる新規の方の紹介も、ケアマネがコロナ感染拡大が収束するまで、「極力、外のサービスをあてがわない」という姿勢を持っているため、介護事業所に回ってこないのです。

また、現状でも売り上げが大幅に落ち込んでいる中で、介護事業所が営業活動を積極的に行うことができないのも問題です。

――外付けサービスの利用が減ってしまうと、まずヘルパーさんの仕事も減ってしまう…。

井上 はい。実際にヘルパーさんの待機が増えてしまった結果、すでに離職が始まっています。

当社も、昨日退職願いを持参したヘルパーさんと、面談を行いました。

ヘルパーさんが減ってしまうと、人手不足のため、サービスを待つ人はいるが、提供する人が足りないという、「介護崩壊」に陥る可能性が大きいと考えられます。

――それは大変です。深刻な状況になりますね。

家の前で落ち込んでいる様子の高齢女性と携帯を見てバツサインを出す若い女性

コロナ感染拡大の影響 ⑵介護事業所の倒産

井上 次に懸念されるのが、介護事業所の倒産です。

介護崩壊に陥ると収益性の悪化、派遣、人件費率の悪化が進んでしまいます。

そうなると、すでに厳しい現状にある介護業界においては、小規模事業社から倒産をしていくことになると思われます。

また、BCP(事業継続計画。重要業務を中断させないためのリスクマネジメント)を準備している事業者がまだまだ少ないため、一度感染が地域で確認されると、同一地域内の企業の事業継続が連鎖的に難しくなることも考えられます。

――大企業では、テレワークの導入で在宅勤務が見直される結果になりましたが…。

井上 業種的に介護職はテレワークができないため、マンパワーに頼らざるを得ないのが現状です。

ヘルパーの高齢化が進む中で、離職による残業増、作業量増による疲弊が進み、さらなる離職が進むことが想定されています。

――仕事の内容からいって、感染症対策の難しさも挙げられていますね。

井上 小規模事業者や認知症の利用者が多い施設では、隔離のスペースが取りづらいという問題があります。

さらに認知症の利用者にマスクをつけさせたり、手洗いを徹底することも難しい。

こうしたことから、感染が一度発生してしまうと医療機関のように封じ込めが難しいことが想定されます。

また、熱や咳があることは高齢者の疾患としては稀ではないので、発見自体が遅れることも大いにありえます。

建物からお金が飛んでいる様子と頭を抱えるスーツを着た男性

コロナ感染拡大の影響 ⑶訪問看護従事者の感染予防が困難

「アィルビー訪問看護ステーション」(東京都江東区)の管理者である山田富恵さん(訪問看護認定看護師)は、在宅介護のケア提供者をサポートする場「ケアの駅」を立ち上げたばかりです。

新型コロナウィルスの影響はそこでも見受けられます。

「3月1日の一斉休校のときに、現場はかなり混乱しました。小さな子どもがいる看護師がいたり、慢性的なマスクの不足が解消されなかったりすることが最大の問題です。今後、身近に熱や咳などの症状がある利用者様にどこまで感染を防ぐ物品を使えるのか、そもそも必要なものが手に入るのか。ガウン、シールド、キャップなどが必要ですが、ほかに代用できる品がないか常に考えています」。

多くの職種が入る在宅介護の現場で、皆が感染の予防を十分行えているでしょうか。

「医療従事者が意味する『手洗い』や『手指消毒』、『マスクの着脱』はおよそ一般の方々の意識と厳重さが異なります。残念ながら、マスクの面を触ってそのままだったり、鼻がマスクから出ていたり。仕事以外では、私もつい自分の目をこする癖がありますが気を付けないといけません。そのような情報を発信していく場として、『ケアの駅』を活用できればと思っています」

ケア提供者のサポートの充実は急務

訪問看護では必需品の「マスク」の不足は深刻です。

「1箱50枚入りのマスクが残り10箱を切ってしまいました。都が各事業所にマスクを支給してくれると聞きましたが、50枚入り1箱だとか。これでは足りませんよね」とため息をつき、こう続ける。

「先日、小池知事が『3つの密(密閉空間、密集する場所、密接した会話)を避ける』と呼びかけた後、スーパーの品不足も加わり、介護や看護に携わる多くは主婦であることから大変さが増していると思う」

この後、懸念される深刻な感染拡大が東京で起こった場合、ケア提供者たちの健康も危険にさらされます。

在宅介護で「排泄」のサポートは日常的なことですが、その相手が感染者であった場合、不十分な感染予防キットしかない現状では自分が罹患するかもしれない不安とも戦わねばなりません。

ケア提供者へのスピーディーかつ十分なサポートをすぐに行うべき。

それが、国であり地方自治体の仕事だと考えます。

介護をしている2つのイラストと、真ん中に立つ紙を掲げるスーツを着た男性

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