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プロだからこそ看られる。家族だからこそ見たい<後編>

今回はある姉妹とその従妹による座談会。前編では、老人ホームの入所の是非について意見を交わされました。後編では「5名」の家族の介護経験がある藤堂さんの介護エピソードを伺います。

この記事に登場するみなさんのプロフィール(敬称略)
田崎 ミホ(仮) 田崎 ミホ(仮) 田崎 ヨウコ(仮) 田崎 ヨウコ(仮) 藤堂 ミキ(仮) 藤堂 ミキ(仮)
60代主婦。認知症の実母(要介護3)がグループホームに入所している。長女として自宅で一緒に暮らしたいと考えているが……。
60代主婦。義母の在宅介護を10年以上経験。義母が亡くなってからは、同居する孫の面倒を見る毎日に。姉が実母と暮らすことには否定的。
20代前半から家族の介護に携わる。人生で5人の家族の介護経験を持ち、老人ホームへの家族の入所経験もある。老人ホームでのプロのケアを目の当たりにし、プロにしかお願いできないことを学ぶ。

介護の相談

みんなの介護(以下、―――) 前編では、田崎家のお母さまの施設入所の是非を伺いました。藤堂さんから「伝えたいお話」があるとのことでしたが、お話いただけますか。

藤堂藤堂
ヨウコちゃんから「よく介護に相談されるでしょう?」って聞かれたけれども、たしかによく相談されるの。

でも、相談して下さる方々には「共通点」があって。
田崎(妹)田崎(妹)
どんな共通点?
藤堂藤堂
「自分が介護で悩んでいることを自覚できている人」
田崎(姉)田崎(姉)
それって当たり前じゃない?
田崎(妹)田崎(妹)
お姉ちゃんの場合は、性格もあるんだろうけれども……。
藤堂藤堂
(笑)。ミホちゃんは性格的に「なんでも」話せるからね。

ただ、介護で悩んでいる多くの方は、「介護は辛くて当たり前」「他人に話したら恥ずかしい」と思っているみたい。特に私たち60代前後の方々は。

だから、相談してくれる方からのお話は愚痴が多くて、「解決手前じゃん」みたいな話が多いんだよね。そういうストレス発散も大事なんだけれども。

――― 本当に悩まれている方々は、声をあげられていないということでしょうか。

藤堂藤堂
はい。そういう方が多いような気がします。私たちみたいに「明るく」話せる人だけじゃないとは思いますよ。よく「介護のことを相談しよう」って言いますが、本当に相談すべき方が相談できているのかな?って思っています。私も初めての介護をしているときに、介護をしている感覚すらなかったから。

藤堂さんの介護の話

田崎(妹)田崎(妹)
ミキちゃんが初めて介護をした人はどなただったの?
田崎(妹)田崎(妹)
おばあちゃん。私が29歳のとき。おばあちゃんが亡くなった日のことを今でも鮮明に覚えているな、地下鉄サリン事件が起きてしまった日だったから。
田崎(姉)田崎(姉)
ミキちゃんが見ていたんだ。
藤堂藤堂
そうでしょう?当時は自分が介護をしているなんて思っていたなかったから。
田崎(姉)田崎(姉)
1995年だとまだ介護保険も始まっていないような頃だよね。
田崎(妹)田崎(妹)
そっか。そんな時代から。なんでミキちゃんが見ていたの?
藤堂藤堂
お母さんが「逃げていた」から。もちろん、お父さんもお母さんも働いていたんだけれども、なんとなく分かるんだよね、「あ、自分がやんなきゃいけないんだ」って。下のお世話とか一生懸命やっていたよ。

ただね、私が恵まれていたのは介護保険こそなかったけれども、「ショートステイ」みたいなことはできたんだよね。他にも介護サービスってあったのかな。2週間預けて、2週間お家で見て……というのを亡くなるまで続けていたんだ。
田崎(姉)田崎(姉)
29歳のときでしょう?考えられないかも。上の子ってもう学校行っていた?
藤堂藤堂
ううん、まだ5歳ぐらい。当時、夫の実家で暮らしていたから、実家で子どもを見てもらって一人で行ったり、たまには子どもと行ったりしたこともあったかな。でもね、施設に行くと、なんだか悲しい気持ちになったのは覚えている。当時は認知症のことを「痴呆」なんて呼んで、施設は「痴呆老人」の“姥捨て山”だと考えられていたから。おばあちゃんが入っていた施設は山の上にあったし。
田崎(姉)田崎(姉)
最期は施設で?
藤堂藤堂
うん。看取りまでやってくださった。職員の方々はすごく優しくて親身になってくれたなあ。

介護は続く

――― おばあさまを看取られたあとのお話を伺えますか。

田崎(妹)田崎(妹)
おばあちゃんの次は旦那さんのひいおばあちゃん?
藤堂藤堂
そうそう。義母が体調の悪い義祖母を見ていたから、私が100歳のひいおばあちゃんを見ていたんだよね、夫の実家で暮らしていたから。私のおばあちゃんが亡くなってから5年後ぐらいかな?あるとき、ひいおばあちゃんが胃潰瘍で病院することになって。戻ってきたら、認知症になっていたんだよね。それですぐに亡くなっちゃった。
田崎(姉)田崎(姉)
ひいおばあちゃんの次は義祖母を見ることに?3人目だよね。
藤堂藤堂
うん。義祖母のころには介護保険制度がスタートしていたから、介護サービスを利用しようとしたんだけれども、義祖母からは「『他人』を自宅に上げたくない。介護サービスは使いなくない」って。だから、義母ががんばっていたんだよね。
田崎(妹)田崎(妹)
もしかしたら、他人を頼るのが嫌だったのかな。
藤堂藤堂
それもあるかもね。義祖母も最期は老人ホームにお世話になったの。とてもいい施設でね、99歳まで生きたから。大往生だよね。義祖母の介護で印象に残っているのは、在宅介護が始まってから、よく名前を呼ばれるようになった。たぶん、義母が怖かったんだろうね。
田崎(妹)田崎(妹)
頼られるようになったってことだよね。ミキちゃんに介護してもらいたいって。まあ、ミキちゃんも優しいから。
藤堂藤堂
いま、私もお母さんにひどく怒ったりしていたから。近すぎると良くないのかもね。

セクハラでは……?

――― 先ほど、藤堂さんのお母さまのお話が出ましたが、現在はお母さまの介護を?

藤堂藤堂
そうです。母と義父を。
田崎(妹)田崎(妹)
ああ……おじ様を。
藤堂藤堂
そうそう。実はいま、困ったことがあって。82歳になる義父は一人暮らしでヘルパーさんに入ってもらっているんだけれども……。

ヘルパーさんにお願いできないときは私が介護をしているんだけれども、「これ大丈夫?」ってことがあって。
田崎(姉)田崎(姉)
どういうこと?
藤堂藤堂
おむつを替える時にね、「おい、手を握ってくれ」って。私もこんな性格だから「嫌ですよ。ここにしてください」って腕をつかんでもらうようにするんだけれども、「ヘルパーさんはいつも手を握ってくれるんだ」とか言って。
田崎(姉)田崎(姉)
「握ってくれる」って自分でお願いしているんでしょう? ヘルパーさんに悪いね。
田崎(妹)田崎(妹)
「セクハラ」だよね。注意したほうが良いよ。
藤堂藤堂
うん。「ヘルパーさんにはそういうことしないでください」って何度も言っているんだけれども……。どうしたらいいんだろうね。
田崎(妹)田崎(妹)
私は義母の介護だったから、そういう経験がないや……。
藤堂藤堂
いまはそれが悩みかなあ。82歳とはいえ「男性」でしょう。でも、本人も悪気があってしているわけじゃないのはわかるの。ただねえ……このことについては、どなかたに相談したいなあ。

介護者へのアドバイス

――― みなさま、本日はありがとうございました。最後に、介護で悩み方々へのアドバイスをお願いします。

藤堂藤堂
在宅介護も施設入所も経験した身から言わせてもらえれば、計画性が大事だってことかなあ。例えば、施設入所については賛成だけれども、「入所」自体はゴールじゃない。ちゃんといい施設を見つけてあげるところまでが「親孝行」だって思う。
田崎(姉)田崎(姉)
うんうん。高齢者施設で「事件」が多いけれども、氷山の一角の可能性もあるもんね。現場を自分の目でみることは大事だよね。
田崎(妹)田崎(妹)
今日思ったのは、「先輩」って言うのかな?ミキちゃんみたいに「先を行っている人」が多いんだよね。行政だけでなく経験者の話を聞くことが大事じゃないかって。……ミキちゃんみたいに頼られる方は辛いだろうけれども。
藤堂藤堂
私の場合は誰でもウェルカムだけれども、経験があっても話したくない方もいるから。誰彼問わず相談するんじゃなくて、「聞くよ」って言ってくれる方に甘えるのが一番。介護で悩む方は「相談できそうな人」を見つけることを「オススメ」します。

座談会写真

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