Q.93 日本の消費税はどれくらいまで上がると思いますか?また、その時期はいつくらいになると思いますか?(はくべぇ・会社員)
北欧では消費税20%というのが普通のようですが、日本はまだ8%。最近では、北欧並みにすべきだとか、30%まで上げなければ…といった声も聞かれますが、実際問題、日本の消費税はどれくらいまで上がると思いますか?また、その時期はいつくらいになると思いますか?
今後10年くらいはそれほど上がらないのではないかと思っています
日本の消費税がどの程度上がるか、とのことですが、私は「今後10年はそれほど消費税はあがらないのではないか」と思っています。せいぜい10%というところでしょうか。なぜかというと、当面日本政府は膨大な債務を増税ではなく「インフレと低金利」の組みあわせで解消しようと方向転換しつつあるからです。
消費増税の目的を考えますと、大きく二つ考えられます。一つは政府の財政再建のための増税、もう一つは法人税・所得税も含めた税制全体の見直し、です。前者が確実に増税に繋がるのに対して、後者は必ずしも増税というわけではなく時代に合わせて税制を変える、という考え方で、例えば「法人税・所得税を減税して、消費税を増税させる」などといった組み合わせが考えられます。私個人は、今後当面は前者のような「財政再建のための消費増税」は行われないのではないかと思っています。単純にあまりにも選挙受けが悪いからです。
しかしそれでは財政再建が達成できませんから、政府は別の手段として「インフレと低金利」の組み合わせで財政再建を実現しようという方向に方針転換しています。これは実現性に疑問符がもたれるギャンブル要素のある政策ですが、成功すれば事実上の資産課税となります。安倍首相と黒田日銀総裁はアクセル全開ですでにこちらの方向に舵を切っており、たとえ政権が変わってももはや後戻りはできません(なお私自身はこの政策に賛成でも反対でもない中立的な立場です)。
そのようなわけで、今後10年くらいのスパンで見るとそれほど消費税が上がることはないと思います。その後については政府のギャンブルがうまくいくかどうか次第、ということになりそうです。失敗すれば金利が上昇した結果国債の利払い費が急増し消費税の急速な増税が余儀なくされ、成功すれば国民が物価上昇にともなう貯金の価値減少に頭を悩ませることになるのかもしれません。