Q.92 いわゆる「シルバーデモクラシー」について、宇佐美さんはどう思いますか?(ちょもらんま・会社員)
国政だけでなく地方選挙でも、高齢者に負担をお願いする選挙演説などあまり聞くこともなく、選挙に当選するのは高齢者に良い顔をする政治家ばかり(のような気がしています)。こうした政治の在り方は変わらないのでしょうか?もしくは、変えるためにはどんな社会にならなければならないでしょうか?
近い将来、選挙手法のイノベーションによりシルバーデモクラシーが打破されるのを願っております
「シルバーデモクラシー」が何かを定義することは難しいと思いますが「高齢者層に過度に配慮した政治が横行する世代間の公平性の視点がかけた民主主義」と言うことなのだと思います。そして日本はまさに今、こうした状況に陥っています。
この理由については選挙活動が影響しています。勘違いしている人も多いのですが、日本ではまだ絶対的な有権者数ですといわゆる65歳以上の高齢者層より現役層の方がはるかに多い状況にあります。しかしながら、これが選挙活動となると事情が変わってきます。選挙活動の基本は「ドブ板」と称される戸別訪問で、平日の昼間に団地やマンションを歩き回って一人一人を確実に自分の支持者にしていきます。
他方で平日の昼間に家にいる人というのは、ほとんどが高齢者か専業主婦です。またサラリーマン・共働きの時代で、専業主婦も減っています。そうなると、選挙活動で会う人の大半は高齢者ということになってきます。現実社会の構成と選挙活動で接する人の比率は大幅にずれているのです。
こうした政治のあり方を変えるには、若い世代を一人一人落としていくような、そういう「21世紀の戸別訪問」とも呼ばれるべき選挙手法が編み出される必要があります。端的に言えば「選挙に向けて○○市の若者10,000人にアプローチしたい」となった時に、それが技術的に可能になる選挙手法が開発される必要があります。個人的にはFacebookやtwitterとデータ解析技術をうまく活用すればそのようなことが可能なのではないかと思っておりまして、どこかの政党がそういう新しい選挙手法にチャレンジしてくれないかな、と期待しています。
そんなわけで、SNSの発展により技術的には「あと一歩」と言うところまで来ていると思いますので、近い将来選挙手法のイノベーションにより、シルバーデモクラシーが少しづつ打破されることを私自身も願っています。