Q.9 経済産業省から見た厚生労働省はどんな組織でしたか?また、厚生労働省の仕事をやってみたいとは思いますか?(とうご・会社員)
「賢人論。」の宇佐美さんのインタビューを見て、厚生労働省というのは大変な役所なんだなと思いました。役所がブラック並みだなんて想像もしていませんでした。では、そんな厚生労働省という役所は、経産省職員だった宇佐美さんからはどのように見えていたのかな?と、ふと疑問に思って質問させていただきました。
「厚生労働省の人は本当に偉いな」と思っていましたが、働くことはできなかなったかな?と
私は経済産業省に勤務していた時に、厚生労働省は「日本政治の闇」を一身に背負って処刑台にのぼっているキリストのような存在だと思っていました。なので「気の毒だけれど、世の中にはこういう存在も必要なんだろう」というように思っていました。
厚生労働省の抱えている、ブラック企業問題、若者の非正規雇用の増加、社会保障の財源不足、成人病による医療費の増加、少子高齢化、貧困問題、格差問題、などの数多くの課題は、決して今働いている厚生労働省の職員の政策のミスから誕生したものではありません。
戦後の労働文化であったり、過去の政治家の票を目当てにしたバラマキ政策であったり、国民の食生活の変化だったり、経済成長の停滞であったり、ITの発展による産業構造の変化であったり。厚生労働省の官僚ではコントロールできない外部要因が長年蓄積された結果、生じた問題です。
それにも拘わらず、少なくとも形式上は、厚生労働省は国民の生活にもっとも身近な福祉・労働分野に関わる制度を所管しているために、責任を多く問われる存在です。実際のところ厚生労働省には制度の背景にある膨大な問題を抜本的に解決する能力はないので、毎年なんとか対症療法を施しながら日本社会を延命させているわけですが、いつかそれに限界がくるのは明らかな現状になっています。
そういう姿を見るにつけ私は「厚生労働省の人は本当に偉いな」と思っていましたが、逆に「自分の性格ではああいう職場で働くことは難しいだろうな」と感じていました。