Q.68 離職率が高い会社は、ブラック企業だと思いますか?入社後にブラックだと気づいたら、すぐに辞めるべきでしょうか?(新米・会社員)
離職率が高い会社は、やはりブラック企業なんでしょうか?入社後にブラック企業だと気づいた場合は、すぐに辞めるべきだと思いますか?もしくはブラック企業での上手な働き方があれば教えてください。
労働法は「従業員が自分の身を守る武器」。ブラック企業から身を守りつつ、自分の成長につながる職場を見つけましょう
まず一般論として、私は「ある企業がブラック企業かどうか」ということは、働いている個々人が判断することだと思っています。
質問者様の例で言えば、離職率が高い会社であっても、業界全体の人材の流動性が高かったり、従業員が会社を辞めたり戻ってきたりということが日常的に行われているオープンな会社であれば、それはホワイトとは言えないまでも「いい会社」と呼べるのかもしれません。
その上で、ブラック企業かどうかを判断する基準としては、①労働法を遵守しているかどうか、①給与水準か十分かどうか、③自分が成長できる環境であるか、というようなものがあるのではないかと思っています。
私自身の経験を振り返りますと、経済産業省時代の労働量は凄まじく、一番ひどい時は1ヶ月ほぼ泊まり込みで500時間近く労働していたこともあり、おまけに安月給でしたが、だからと言って私は「ブラックな職場」とそれほど思っていませんでした。なぜなら、当時はまだ20代前半で若く体力が有り余っていましたし、大卒で「何もできない自分」が仕事を通して成長している実感があったからです。
また、本当に体が疲れている時は、むしろ早く帰って休みを取るように積極的に指導されることも多々ありました。そして、当時職場で学んだ法律なり税制なりの知識や文章構成力が今独立して仕事をする上で非常に役立っていて、「あの時の苦労があったから今飯を食えている」ということを日々感じています。
ただ「今あれくらい働け」と言われたら、「もうあの頃の体力はないし、自分の成長経路は自分で決めるから嫌だ」と言うと思います。 もちろん建前として「企業は労働法は守らなければいけない」という大前提はあるのですが、現実労働法がそれほど守られていない日本にあって、労働法は「従業員が自分の身を守る武器」として用いるものなのだと思います。
例えば「待遇が悪く、成長も実感できないような職場で違法なサービス残業を強いられたら、その証拠を残しておいて後日労働基準監督署に相談に行き、職場に対して圧力をかける」というような使いかたをすべきなのだと思います。企業も労基署にケンカを売るわけにはいかないので無理なことは言わなくなりますし、またそれを理由として辞めさせることも困難なので、企業に居座っているうちに転職活動を積極的に進めることができます。
そんなわけで、「労働法を武器としてブラック企業から身を守りつつ、自分の成長につながる職場を見つけることを重視しましょう」というのが、私から質問者様に贈る言葉です。