Q.62 政治家や官僚の方は本当にロボットに介護ができると思っているんですか?(きょん・学生)
「介護ロボット」について取り沙汰されることも増えました…が、いまいち現実味がありません。政治家や官僚の方は、本当にロボットに介護ができると思っているのでしょうか?
はい、介護ロボットの導入に政府は本気です。コミュニケーションとは切り離せる「作業」の部分で、の話ですが
はい、介護ロボットの導入に政府は疑いもなく本気です。
大きな理由としては、介護業界の人材不足の解消、労務負担軽減、生産性の向上などがあげられています。経済産業省としては、かつて我が国の製造業の現場においてロボットが導入されて生産性が大きく向上した経験から、介護業界においてもロボット導入によって大幅な生産性向上が可能なのではないか、と考えている節があります。
また質問者様は、介護ロボットの効果に疑問を感じていらっしゃるようですが、介護ロボットは既に現場に導入されつつあり、その効果についてはある程度実証済みで、例えば寝たきりの状態でも排泄物を自動で吸引し被介護者を温水で洗浄するシステムなどは高い評価を受けています。
介護ロボットは、大きく分けて排泄・入浴・移乗といった皆様にとって負担の大きい作業を補助・代替するような「介護者支援型」のロボットと、被介護者の歩行や食事といった行動の自立を支援するような「自立支援型」のロボットがあります。
誤解されがちですが、質問者の方がおっしゃるような「ロボットに介護をさせる」というような文脈ではなく、あくまで「介護職員の方をどれだけサポートできるか?」「被介護者の生活をどれだけ助けられるか?」という観点で、介護ロボットの開発は進んでいます。
介護は人間と人間で向き合う仕事で、特にコミュニケーションの部分についてはロボットではとても代替できるようなものではありません。質問者様のように「ロボットに人間の代わりができるか!」とへそを曲げる気持ちもわかります。
ただ、コミュニケーションとは切り離せる「作業」の部分については、ロボットで助けることができることが多くあることは事実です。また、介護ロボットの開発者や官僚は皆様の職場環境を良くしようと思って努力しているのですから、そこはもう少し温かい目で見守ってあげてください。
ロボットが職場に入ることがあっても、あくまでも主役が人間なことは変わりません。開発者と利用者と政治が理解しあえば、介護ロボットは広く普及するはずです。