Q.52 介護報酬を上げる以外に介護職員の給料を上げる方法はないものでしょうか?(よしとん・介護職員)
次回の介護報酬改定は平成30年度です。前回のが大幅な削減だったことを考えると、次回はアップを望みたいところですが、財政を考えるとそうそううまくはいかない気もします。であれば、介護報酬に頼らず収入を得る方法を考えなければいけないわけですが…。そんな方法はないものでしょうか?
介護職員の給料が劇的に上がる可能性はゼロに近いです。介護保険外サービスを増やしていくしか道はないでしょう
このコラムで何度も言っていますが、「介護報酬の改定により介護職員の給料が劇的に上がる」という可能性はほとんどありません。少なくとも向こう10年で改善する可能性はゼロに近いです。
介護職員の離職率は近年、低下傾向にあります。このような中でこれ以上の介護職員の給料の引き上げは難しいと言わざるを得ないでしょう。厚労省と財務省が知恵を絞ってなんとか財政をやりくりして、現状が維持されるのが精一杯といったところでしょうか。
言うまでもなく日本政府は現在1000兆円の借金を抱えている上、毎年10~20兆円単位の新規赤字を積み重ねており財政は火の車です。そういう中で少しでも財政を改善したい財務省にとって介護職員の給与の引き上げは簡単に認められない要望です。
では「介護報酬を上げる以外に介護職の給料を上げる策はないか」という点ですが、これには医療と同様に「保険外サービス」を増やしていくほかありません。この場合、介護保険外サービスの主な対象として考えられるのは家事サービスということになります。例えば単身の高齢者が増えていく中、訪問介護と合わせて散歩や掃除など要介護者の日常を丸ごとサポートしていくような事業は今後ニーズが増えていくことでしょう。
厚生労働省としても介護報酬引き上げによる職員の待遇改善には1兆円以上の予算の拡大が必要なため限界を感じており、近年は介護保険外サービスを後押しするような取り組みを進めており、例えば、昨年3月には経産省、農水省と協力して事例集をまとめるなどしているので、参考にしてみてください。