Q.45 介護職員として外国人を登用するという案について、宇佐美さんの考えを聞かせてください(ちゃんたろ・介護職員)
介護職員不足はいつまでたっても解消されません。その一案として「外国人の受け入れを積極的に行う」というものがありますが、この案は有効だと思いますか?現場にいる私としては、日本独自の文化に外国人が慣れ親しむのは難しく、また言葉によるコミュニケーションも難しいので、結局は上手くいかないだろうな…という印象ですが。
win-winの形は作れる。現場のニーズがあれば課題は知恵で乗り越えられると思います
個人的には介護業界の外国人の受け入れは上手くいくと思っています。
確かに介護現場における外国人の受け入れは短期的には大きな摩擦を生むことになることは間違いないのでしょうが、一方で現場には「職員が不足しているから増やす必要がある」という単純なニーズの後押しがあります。介護職員が日本国内において相対的に低賃金なことはおそらく今後数十年にわたって変わりませんから、その賃金でも働く意欲のある日本人職員を短期間で大量に採用することは困難で、結果として外国人労働者に頼るしかなくなります。この構造は1980~1990年代の製造業と同様です。
現在外国人労働者受け入れの実質的なプラットフォームになっている外国人技能実習生制度のデータを見て見ると、近年の主要受け入れ実績は中国とベトナムからで両国から毎年2万人程度日本に来ています。他方で両国の一人当たりGDPは中国で8,260ドル、ベトナムで2,164ドルと日本の39,824ドルから見れば相当低水準です。こうした国の国民から見れば日本においては相対的に低賃金な介護職でも逆に「高賃金」と捉えられます。
この構造は短期的には変わりませんから、日本の介護の大手資本が日本語教育機関などを現地に設立し、働き手を確保するような動きが今後活発してくるのではないかと考えています。逆に日本人の介護職員はというと、こうした外国人技能実習生をうまく使いこなすようなコミュニケーション能力が今後求められていくようになるのではないでしょうか。
また行政も、教育補助などの形でそのサポートをするような政策を展開することが求められることになるでしょう。確かに外国人の受け入れには困難が伴うと思いますが、現場のニーズがあれば課題は知恵で乗り越えられるものですし、win-winの形は作れるものだと思います。