Q.36 官僚による「官僚制度の再設計」というのは実現できないものでしょうか?(CHABO・会社員)
官僚制度それ自体が、官僚の皆さんのやる気を削いだり、将来の日本にとって必ずしも最善でない行動へと誘導してしまう側面もあるのでは…と思ったりもします。となると、自浄作用も必要になると思うのですが、官僚自身が制度を変えようとかは思わないのでしょうか?
過去にも公務員が公務員をリストラした例はありますし、近い将来、十分にあり得ると思います
強い政治のリーダーシップの支えがあれば、官僚が官僚制度自体を見直し、浄化することは十分可能だと思います。実際、過去にも「公務員が公務員自体のリストラを進めた」ということがありました。
戦後まもない1949年に、肥大化した政府を縮小し財政を健全化するため、また補助金だよりの経済(通称「竹馬経済」)を脱却するために「ドッジライン」と呼ばれる強力な財政緊縮策が施行されました。この時日本は大不況に陥り、当然税収が不足する政府機関でも大幅なリストラが行わることになりました。この時、GHQの強力な指導と吉田首相の強い覚悟、さらには世論の支援もあったことから、政府内部でも覚悟を決めて労使がともに協調して改革を推し進め、人員削減、省庁再編、行政機構の簡素化といった公務員制度の見直しが実現しました。
この過程では、例えば「リストラすべき人員は、公務員労組の中で組合員がお互いに評価しあって決める」「官庁の垣根を越えて官僚同士が議論を行い、日本の将来を見据えて大幅な省庁再編を実現する」といった事象が見られ、公務員自体が改革に前向きであったとされています(もちろん全員ではありませんが)。
考えてみれば、今の日本経済も100兆円規模の莫大な社会保障給付で肥大化した「社会保障竹馬経済」とでも呼べる状況です。近い将来、こうした構造が維持できなくなり、ドッジラインのような超緊縮財政が敷かれる時代が来る可能性が高いように思われます。その時、再び政治家と官僚と一般公務員が一体となって行政改革を進めることになるのかもしれません。