いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915
宇佐美典也の質問箱

質問 Q.183 オレオレ詐欺の被害件数が最悪のペースとなっているよう。高齢化が前提の社会でお先は真っ暗ですか?(さいふのひも・会社員)

オレオレ詐欺、最近聞かないから減ったのかと思ったらそうでもなかったようですね。やはり詐欺被害は依然として横行していました…。高齢化して当然、保険なんかを売りつける業者も増えてきて、標的にされてしまうお年寄りも増えるのでしょうが、お先は真っ暗なのでしょうか。独りで住んでたら”万事休す”なのかなと。

官民協調して適切な対策を進めることで、詐偽的行為の阻止に成功する事例も増えてきています

オレオレ詐欺は依然としてなくならないものの、確実に官民による対策の効果は上がってきています。

いわゆる振込詐偽、およびそれに類似する詐偽を総称する「特殊詐欺」について、認知件数は1万8,201件数(2017年)と、2010年の6,888件数から大幅に増加していますが、被害総額は2014年の565.5億円をピークに、2017年は390.3億円に減少しています。

やはり特殊詐欺の被害者は高齢者が多く、認知件数のうち高齢者が対象になった割合は72.3%となっています。このように特殊詐欺の認知件数自体は増加しているにも関わらず、被害総額が減少している背景には、官民あげての水際対策が功を奏しているという事情があります。

具体的に警察と金融機関が実施した対策の中には、ATM画面における注意喚起の呼びかけや、ATMスペースにおける啓発ポスター・シールの展示、一定期間ATMを使用していない高齢者の振込額の条件を大幅に変更して窓口に誘導する、といったものがありますが、この結果として2015年以降の犯罪阻止率は49.1%、49.8%、49.8%と推移しており、認知した件数の半分程度は阻止に成功していることになります。

ただ、これはあくまで特殊詐欺という明確な犯罪の事例に関する話に過ぎず、高齢者をターゲットにして質の低い金融商品やITサービスを売り込む悪徳商法も広がっています。こちらに関しても、消費者庁を中心に各省庁が協議して特定商取引法などの関連法の改正を進めることにより、規制の強化が進められてはいます。

しかし、単に規制を強化しても各省庁の実行力には限界があり、民間団体とうまく連携して国のマンパワー不足を補う仕組みを強化していくことが急務となっています。

高齢者を対象にした詐欺や悪徳商法は今後ともなくならないものの、官民協調して適切な対策を進めることで詐偽的行為の阻止に成功する事例も増えてきており、必ずしもお先真っ暗というわけではありません。

そもそも予算や人員不足で官庁に余力がなくなっており、こうした新種の問題の対策を官庁に丸投げしても、100%全てを官庁自身で問題解決することは非常に困難な時代ですから、被害を減らすために、今後は民間企業と官庁が役割分担し、共同で問題に対処していく仕込みを広げていくことが重要になってくるのではないかと思います。