Q.14 もし日本に財政破綻が起きてしまったら、具体的に何が起こるのでしょうか?(ジュアン・会社員)
社会保障費の増大を示すグラフや、2016年度の国家予算などのデータを見たのですが、絶望したくなるような数字が並んでいますね。相変わらず国債は何十兆円も計上されていて、「このままじゃ財政破綻か…」と悲観せざるを得ません。ギリシャの財政危機も記憶に新しいところですが、実際に日本で財政破綻が起こったら、どんなことが起こるのでしょうか?
社会保障財政の強烈な緊縮が始まる、可能性はなくもない
日本に財政破綻が起きた時に何が起きるかを正確に予測することは難しいですが、幾つか確定的に言えることはあります。
まず国際社会は日本がギリシャのようにデフォルト(債務不履行)状態になることを許さないということです。衰えたとはいえ日本はGDP世界3位を誇るアジアの大国です。ギリシャの場合は経済規模が30兆円弱とそれほど大きくなくEUという巨大な経済共同体に加盟していたため、加盟国が共同で危機に陥ったギリシャを救うことができました。一方で日本は500兆円規模の巨大な経済を有し、かつ、特定の地域共同体に所属しているわけではありませんから、日本がデフォルトを宣言してしまった場合、世界の誰も日本を救うことができません。
そのため日本の財政破綻はギリシャとは違う形で現れることが予測されます。それは外部からではなく、自主的な政府規模の強烈な収縮、という形です。日本政府は現在1000兆円以上の借金を抱えていますが、その90%以上が日本国民から借りたものです。この限りにおいては、日本の財政問題は日本の「国内問題」ですから他国はどうこう口を挟むことはありません。他方で日本国民の資産も無限というわけではありませんから、「日本国民が日本政府にお金を貸す」という構造はそう遠くない将来、限界を迎える見込みです。
そうなると日本政府は、現在の財政規模を維持しようとするならば海外から資金を借りるしかなくなるわけですが、これは言い方は悪いですが、「金を使い果たした二代目のボンボンが借金を無心にくる」ようなものですから、国際社会は「そんなもの計画的に使わなかった日本が悪いんだろう」と冷たく突き放すことが予測されます。
結果として、この時点で日本政府は国際市場を通して財政再建を余儀なくされ、赤字の最大の原因となっている社会保障財政の強烈な緊縮が始まるものと思われます。その時が形式上は「日本の財政破綻」となるわけですが、国内的に見れば「福祉の切り捨て」ということになるでしょう。