いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915
宇佐美典也の質問箱

質問 Q.139 官僚とシンクタンク、役割や面白さの違いについて宇佐美さんはどう思われますか?(ゆうすけ・大学生)

官僚志望の大学生です。今までなんとなく官僚になることを夢見ていましたが、シンクタンクという職業も日本の政策に関われそうだという点で魅力的に思えてきました。

政策形成時における官僚とシンクタンクの関係は、言わば「元請け」と「下請け」。

結論から言うと、シンクタンクに入っても政策形成そのものに携われる可能性はかなり低いです。ただシンクタンクには、官僚とは違う面白さがあります。

そもそも日本では、政策形成時にシンクタンクが活躍しづらい構造にあります。シンクタンクが政策形成に大きく関与しているアメリカでは、政党がシンクタンクと繋がり議員と協力して議員立法を作り上げていくことが常です。議員は大枠を決めることはあっても条文作成などの実務をやることはあまりありませんから、アメリカではシンクタンクが政策形成の過程で果たす役割は非常に大きくなります。

一方の日本では、ほとんどの法案が内閣提出の「閣法」であるため、政策形成の一義的な担い手は官僚で、シンクタンクはせいぜいその補佐を務める程度の役割を果たす存在にすぎません。

一般論ではありますが、政策形成時における官僚とシンクタンクの関係は、「元請け」と「下請け」とでも言うほどの上下関係があります。私自身も官僚時代にシンクタンクに仕事を依頼する際は、「官僚が法案や予算事業を設計するために必要な情報をシンクタンクに集めてもらう」という程度の意識でいました。

こう書くと、シンクタンクの仕事が面白くないように見えてしまいますがそんなことは決してなく、シンクタンクの面白さは政策形成そのものよりも、官僚の政策形成業務を補助する中で得た情報を活用して、民間企業と新規事業を立ち上げることにあるのだと思います。誰よりも早く、正確に、政策情報を得られるわけですから、その特殊な地位を活用して社会に新しい動きを作り出す、そういうところにこそシンクタンクの面白さがあり、私もそれを羨ましく思っていました。

また政策形成という面でも、原則は上に書いた通り官僚は3年程度で異動してしまいますが、シンクタンクの職員によっては専門でずっと同じ政策分野を見続けることもあるので、そうなるとシンクタンク側に官僚が頼るような局面も生じてきます。

自分が何をしたいのかをよくよく考えて、官僚とシンクタンクいずれを選ぶか決めていただければと思います。