Q.137 ホームレスも高齢化が進んでいるようですが、住所も貯金も持たない高齢者にはどのように対応するべきなのでしょうか?(とちの実・会社員)
道を歩いているとよくホームレスを見かけます。人生100年時代と言われるなか、その中に若い人を見かけたことがないので、ホームレスに対しても”超高齢社会対策”が必要なのかなと思います。
自立を前提としない支援も検討していかなければならないのかも
ホームレスに関しては、15年前の2002年にホームレス自立支援特措法が制定されてから、かなり対策が進んできており、当時の2万5,000人程度から6,000人程度まで減少したと推測されています。
ただ依然として問題は残っており、厚生労働省が継続的に実態調査をしています。2016年10月の厚生労働省「ホームレスの実態に関する調査の結果」(1,435人のホームレスに面接調査をしたもの)を見てみると、
- ホームレスの男女比は男性96.2%、女性3.8%
- 平均年齢は61.5歳でそのうち65歳以上の構成率は42.8%で前回調査(2012年1月)から13.3%増加
- 主たる生活場所は公園、河川、道路で、5年以上ホームレスをしているものが55.1%で前回調査から8.9%増加
- 仕事をしているものは55.6%で、その7割は廃品回収。平均収入は月3.8万円
- ホームレスになった理由は「①仕事の減少」「②倒産・失業」「③人間関係で仕事をやめた」が主な3つで、前回調査から③が「病気や怪我や高齢で仕事ができなくなった」から入れ替わった
- 今後については「アパートでの生活」を望むものが34.5%で、「今のままの生活」を望むものが35.3%(前回調査では30.1%、前々回調査(2007年)では18.4%)
などというように、かなり生々しいデータが整理されています。このようにホームレスに関しては、この15年で大分対策が進み「自立支援施設や緊急シェルターに入所して生活保護を経て就労に至る」という経路で、自立の意思があるホームレスを支援する仕組みは機能してきていることが見てとれます。
これは喜ばしいことなのですが、逆に、就労による自立に至るまでの道に希望が持てない故に、ホームレスという現状に消極的に満足してしまっている自立の意思がない長期ホームレスの割合が増えてきています。そして概してこのようなホームレスは高齢者が多いとされています。
今後はこうした人たちに対する支援のあり方を考えていかなければいけなくなっているのですが、既存の生活保護などの制度には当てはめづらく、それこそベーシックインカムのような就労による自立を前提としない、シンプルな制度の創設も検討していかなければならないのかもしれません。すぐには答えが見つからない難しい問題です。