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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.135 “民意”と政策が乖離するのは致し方ないことなのですか?(梅前・会社員)

どうも「こうだったらいいのに」、「そうされると厳しい」といったような政策が多い気がしています。そうした、いわゆる「民意」が政策に100%反映されることはかなわないのでしょうか。

民意と政策が完全一致することは絶対にありません

これはよくよく考えれば当たり前のことなのですが、私たちは一義的には選挙で「人」を選んでいるのであって、「政策」を選んでいるわけではありません。

選挙とは「人」を選ぶ制度であって、「政策」を選ぶ制度ではありません。もちろん「政策」というのは「人」を選ぶにあたって重要な情報の一つではありますが、人格やそれまでの実績や年齢や性別や人間関係や所属政党など「人」を選ぶにあたって参考となる要素は様々あり、逆に言えば「政策」は選挙で「人」を選ぶにあたっての一つの要素でしかありません。

ということで、冒頭からなんだか禅問答のような話になってしまいましたが、思い起こせばこうした根本的なことを忘れて行われた選挙が、民主党政権誕生につながった2009年のいわゆる「マニフェスト選挙」でした。

政策の良し悪しや必要性や実現可能性というものは時々の状況で変わり、専門家ですら判断することが難しく、ましてや幅広い分野の政策を正確に理解してその良し悪しに適正な判断を下すことなど、一般市民には極めて困難です。そのため各国においてマニフェストは「その政党の支持者が知恵を絞って皆で作り上げたもの」という程度に捉えられるものです。

それが日本では「先進国では政党が作ったマニフェストを選挙で国民が採点する」というように捉えられてしまって、「より良いマニフェストを作った政党の所属議員に投票すべき」というように喧伝されてしまったのはとても残念なことでした。結果として、非現実的な政策が列挙されたマニフェストはあっという間に瓦解してしまったのはみなさんご存知の通りです。

こうした経緯もあり、近年の選挙では逆に「政策」をそれほど投票行動にあたって重視しない人が増えているとの研究もあり、実際先日の都議選なり衆院選なりを見ても「政策論争なき選挙」が増えてきているような気がしています。

私としては、日本の民主主義の根幹たる選挙制度が漂流しかけているような危機感をいだいており、改めて日本国民として選挙というものとどう向き合うべきなのか、また政治家は国民に何を訴えるのか、メディアはその中でどのような役割を果たすのか、という根本的な議論を深める必要があるのではないかと感じています。「このままの状況が惰性で続いてしまえば、日本はまた大きく道を誤ってしまうのではないか」と、そんな危機感を抱いています。