Q.117 高額療養費制度の見直しによって、高齢者の自己負担額が一部引き上げられました。このまま来年の引き上げは実行されると思いますか?(ソノヒグラシ・無職)
今年8月から高額療養費制度の見直しによって、高齢者の自己負担額が一部引き上げられました。来年月にはさらなる引き上げが予定されているそうですが、このまま来年の引き上げは実行されると思いますか?年金暮らしの我が家としては厳しい限りなのですが…。
確実に実行されるはず。高齢者の皆さんは諦めてください
引き上げは実行されると思います。というか実行されてくれないと若者としては困ります。さてまずは近年の介護に関する社会保障給付費の推移と前年度比伸び率を見てましょう。
- 2011年:7兆8,881億円(↑5.1%)
- 2012年:8兆3,956億円(↑6.4%)
- 2013年:8兆7,879億円(↑4.7%)
- 2014年:9兆1,896億円(↑4.6%)
- 2015年:9兆4,049億円(↑2.3%)
このように介護にかかる税金・保険料はうなぎのぼりで10兆円に迫ろうという勢いになっています。いうまでもなく我が国の政府予算は100兆円近くまで膨張し、長期国債残高865兆1,579億円(2017年当初予算)にまで積み上がり、なおかつ毎年の赤字構造ですからこれ以上大盤振る舞いする余裕はなく、これ以上の社会保障給付費の増加は抑えなければなりません。増税するにしてもすでに日本の税金と社会保険を合わせた負担率は42.5%(2014年時点)に達しており、これ以上の増税余地は限定的です。そのため介護に関する限り、社会保障給付費の上限は短期的には10兆円というところになるでしょう。
これからまだまだ高齢者人口が増え続ける中でこの枠を超えないためには、介護報酬を削るか、もしくは利用者の自己負担率を上げるしかありません。介護報酬を削るとなると、ただでさえ低い職員の方々の給料がさらに減ることになり現場職員の離脱が加速化しますから、現実には自己負担率を上げるしかありません。
ご質問者様の財布には厳しいかもしれませんが、そもそも自己負担率が上がる水準の年金を受け取っているということ自体が恵まれた環境であることは間違いないので、そこは諦めてくださいますようお願いします。
なんせ我々の世代が高齢者になる頃には、ご質問者様の世代よりも年金にしろ介護にしろ社会保障が削減されていることはほぼ間違いなのですから、むしろ「我々よりは恵まれている」と捉えていただければと思います。