現役世代の負担を減らす制度の見直し

「10月から後期高齢者の医療費が2割負担になるんだってよ」なんとなくの情報が届いているだけで、ほとんどの当事者はよくわかっていないんじゃなかろうか。

知り合いの高齢者の医療費問題を聞いているとそれでなくても家計での割合は結構なものだ。

「よくわからないけど、1割負担が2割になるんだったら倍?」

「ボクは3割負担だからどうなるの?」

「そんなの聞いてないよ」

「え?すぐじゃないの、10月から?」

先日の高齢者の集まりで話題になった。

今回の医療費負担の見直しは、「現役世代の負担を抑え国民皆保険を未来に繋いでいくためのもの」とのこと。以前は大勢の若者が一人の高齢者を支えていたが、このままだと肩車状態。一人で一人の高齢者を支えることになる。

支えられればいいが、今の制度を見直さなければ支えることもできなくなってしまう。大体今の若者たちは、そんな年金や保険制度を疑問に思って自分たちのときにはその制度が崩壊しているんじゃないかないだろうか。

見識者は、制度が崩壊することはないと言っているが若者たちが不安に思う気持ちもわかる。

一方、高齢者たちは「長年支払ってきたのにどういうこと?負担額が増えるなんて」と思っている。

ボクは後期高齢者になるまでにはちょっと間があるが、この先いつどう変わるかなんてわかったもんじゃない。すぐまた変更になるかもしれない。

今回2割負担になる後期高齢者は全体の20%ぐらいだとのこと。急に医療費の負担が増えないように3年間の準備期間があるようだ。

申告すれば令和4年10月1日から令和7年9月30日まで医療費の上限が1ヵ月の負担増加額を3,000円までに抑える制度がある。これを申し込めばあまり値上がりした感覚はないかもしれない。

よく「おばあちゃんたちは整形外科のリハビリ室の待合室がお茶の間のようになっていて顔馴染みが話す場所になってる」なんて話を聞いていた。

高齢者が出かけるところといえば病院で、「あんな使い方をしていたら保険の制度だって崩壊するよね」そんな陰口を聞いたこともあった。

だけどまあ、その年に近くなってみると、あそこもここも痛くなったり、故障したり、本当にいろいろな体の部分が壊れてくる。

長年使ってきた体は歳と共にメンテナンスも必要になってくるし、使用限度期間が過ぎてしまうこともある。

目は、白内障や緑内障になるし、耳は遠くなる。癌が見つかることもあるし、膝や腰も痛くなる。なかには入れ歯が必要な人も出てくるだろうし、血圧が上がったりする人もいるだろう。

若い人たちもちょっと想像してみてほしい。 例えば熱があって体がだるいなあとかフラフラするなあとか、怪我をして足が動かしづらかったり、そんな状態が毎日続いているとしたら、ちょっとでも改善できる方法はないかと、病院にも行くし、薬にも頼るだろう。

もっともっと技術が進歩して、ロボットのアシスト機能が手近なモノになれば、痛い足を庇う装具ができるかもしれない。

目が悪い人が使うメガネのように誰でも街で購入できるものになる日も来るんだろうなあと思っている。

川平法で歩けるようになった先輩

ちょっと話が違うかもしれないが、そんな器具や技術を使って失いかけた機能を回復させるものを何回も目にした。

ボクは昔、麻痺した足の歩行練習にHALを利用した。筑波に泊まり込んで何週間も連続で訓練した。そこでわかったことは、今のボクの状態は麻痺している足も脳からの伝達がうまくいかなくなっているだけで、足の機能(歩くってこと)はそのままあるんだってこと。

何回も何回も反復練習していれば脳もそれを思い出したり、新しいシュナプスを通して歩くことも不可能じゃないなって本当に思った。ボクのように後発的にくも膜下出血という病気で脳の一部が壊れてしまった場合、違う部分の脳を使えばまた機能も回復できるんじゃないかということだ。

脳は、使っていない部分の方が多いわけだし。

その反復運動で、川平法というものもある。「はい曲げて」など声をかけながらポイントをさすりながら何回も曲げ伸ばしをする。

出版社で出会ったボクの尊敬する先輩にも、同じような病気で身動きが取れなかった方がいらした。

川平法を信じて遠方から通いみごと歩けるようになり、もちろん仕事にも復帰された。並大抵の努力ではなかったのだろう。

実際そんなこともあるんだなあというぐらいの回復で諦めかけている日本中の皆さんに教えてあげたいぐらいだ。

ぼくも川平先生に実際お会いしてその方法を試してみたことがあったが、ボクにはできなかった。それから8年ぐらいの月日が経ち、彼女が自分という成果物を持ってボクに会いにきてくれたのだ。

「こんな風になれたんですよ、お節介かもしれないけど見てもらいたくて。試してみませんか?」彼女に会ってみて本当に「すごいなあ」と思った。そして、こんな風に回復できればいいのにとも思った。

もう一度川平先生のところに行ってみようか?今ならできるかもしれない。そんなことまで思わせる回復ぶりだった。それに彼女からの話は、ボクの考えていることや感じている体のことをものすごく的確に言い当てる。同じような病気なんだから当たり前なのだけれども。

しかし、それが「こんなきっかけで良くなったんですよ」とか「こういう病院のこんな方法は無駄だったわね」「将来の保険だと思って受診している病院がある」とか、どうなんだろうなあと思っていることを自分の経験談を交えて話してくれる。

まるで、タイムマシーンに乗って近い未来に行ったようだ。今思っていることが先に進むとこう良くなるのかとか、こう悪いのかとか。

全てが同じでないこともよくわかっているが大変参考になる。それにその方が元気に仕事をしている姿を見るだけで励みになるのだ。

最新技術は積極的に試していきたい

大学発の研究物やそのHALの生みの親であるサイバーダインも、重い荷物を持ち上げるために腰や腕をアシストする器具なんかも出している。こんなものが高齢者向きに特化して、軽くて手軽なものになったらいいのになあと思う。

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今まで試したものはほとんどが医療費(医療保険)には含まれていないが、介護保険が適用になったものもある。

それこそ、先に話したように医療保険は逼迫していてこんな特殊な話に保険を使うなんて!って思われるかもしれないが、近い将来誰でも利用できる制度としてぜひ考えてほしい。せっかく最新技術があるんだから。

高齢者だけに限った話ではない。それを待っている、それがあれば治るかもしれないと考えていることは、違った意味で医療保険逼迫の危機を大きな意味で回避できる道だと思うんだけど。

根本の原因を少しでも絶てば病院を使う人が少なくなるよね?

声を失った人が喋れるようになったり、補聴器がもっと安価で性能が良くなったり、痛いところをちょっとだけサポートしてくれる器具があったり、電動モビリティ(車椅子)がもっともっと軽くて高齢者や子どもでも扱いやすくなる、そんなもうちょっとが早く来るといいのになあと思う。

そんな器具があったらボクはどんどん試しに行くつもりだ。

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川平法のように、彼女にはバッチリだった方法もボクには合わないなんてこともあるんだけど、ボクも全く動かなかった左手は力は入らないものの、ちょっとは動くようにもなってきた。

やっと高齢者の仲間入りをした新参者ですが、いろいろなものを試してみたい。そしてボクにとって彼女がそうであるように、皆さんのちょっとでも参考になれば嬉しい。