高齢者の体温調節は難しい
風の出ないエアコンがあったらなあ

ボクの体は体温調節が難しい。赤ちゃんや高齢者は体温調節がうまくできない場合もあると言われているが、ボクの場合は病気でもあるため外気にすぐに左右されてしまう。

人が動いたり走ったりすると熱くなるのは、筋肉が動いて熱を作り出すからだ。作られた熱はもちろん汗となって体の外に出る。

人間の体は、なんて神秘的で複雑なんだろうと感じるが、運動をしたり、外気温が上昇して体が熱を持てば、体の中で命令が出て体温を下げるために汗を出したり、皮膚で風を感じたりして熱を下げる。

ボクはその命令を出すところがやられてしまっているようだ。筋肉もほとんど動かさないのだから熱もあまり作られないはずだが、外気温だけでもちろんアウトだ。

夏の青い空

よく高齢者が家の中で熱中症になって危険だったというニュースが流れるが、「そんなのすぐになってしまうことだよね」って聞くたび思う。

大体、うちのおばあちゃんなんて、部屋の温度がちょっと高いってことにも気がつかない。「こんな暑い部屋にいたら熱中症になっちゃうよ」そう帰宅した妻がよく言っている。「エアコンの風が嫌だ」とつけないのだ。

エアコンをつけてリモコンを隠して消せないようにしておいたら、嫌だからって別の部屋に行っちゃったなんて笑えない笑い話になっている。エアコン会社の人は早急に風の出ないエアコンを作るべし!よろしくお願いします。

水分補給も義務化されると苦痛
昔はビールがぶ飲みしてたけどね

まだ義母の場合、お茶を飲んだり普通の食事も摂れているので、その点は安心できる。

厚生労働省などでは、1日に飲まなければいけない水分量は成人男性で2Lとしている。高齢者だと体重量や運動量も違うからそこまで多くないと思うけど、それでも1Lや1.5Lも飲んでないかな?

味噌汁やおやつのゼリーなんかを含めても義母もそんなには飲んでないかもしれない。水分を取るのも義務化されると苦痛になる。

妻からの置き手紙で、

「ヘルパーのみなさまへ 水分補給お願いします。足りなければ洗面所の冷蔵庫に予備のペットボトル入ってます」

それがでんとテーブルの上に置かれている。テーブルの上にはそのほかに吸い口にお茶、マグカップに紅茶、保冷カップに冷たいお茶、経口飲料水のペットボトルなど、さまざまな水分が用意されている。

コータリさんとテーブルの上に並べられた飲料

大体1日4〜5回ぐらい部屋に来る人がいるので、その人がその都度飲ませてくれることになっている。飲むのははっきり言って苦痛だ。普通の食事のときだって水分系のものは後回しになるぐらいだ。

昔はビールだって浴びるほどガブガブいけたのに、今や、吸い口に入ったお茶を舞妓さんのようなおちょぼ口でちょっとずつ吸う(アルコールは水分に含まれないので悪しからず)。だからヘルパーさんだって水分補給に時間がかかる。

コップ一杯飲むだけでも相当時間がかかっていると思う。たまに喉乾いたなあって思ったりすることがあってごくごくコップ一杯飲んだりすると、「すごいじゃないですか!」なんて褒められたりする始末だ。

人によっては「3口しかお飲みになりませんでした」なんて連絡ノートに書いていく人もいるけど(ボクはラッキーなんて思ったりしている)、妻は「これじゃだめじゃん」なんて憤慨している。

日中に水分を飲めなかった日の翌日は、朝起きると大抵熱が出ている。37.8℃とか、ひどいときはもっと出ている。「熱があります!」と大騒ぎになることもあるが、大抵水分補給と体温調節を外的に行ってもらって数時間で熱は下がる。

動脈が通っている内腿とか首筋にアイスノンを当ててくれる。まずはゆっくり経口補水液を飲む。ひどいときは点滴してもらう羽目になるけど、頭痛や吐き気が始まる前だったら前者でボクの場合は大丈夫だ。

エアコンの「適温」も人それぞれ
ボクにとって寒いままのときもある

くも膜下出血になっていろいろな後遺症に悩まされているが、毎年夏は要注意だ。ひどくなれば入院ってこともある。熱中症だ。要するに人の数倍気をつけていても熱中症になりやすい。だから部屋のエアコンは常に26.5℃に設定されている。

それでも体温調節できないと体の体温が上昇する。逆にエアコンで冷えすぎたりすることもある。

外から入ってきたヘルパーさんなどはその温度では暑いのだろう。「暑くありません?下げていいですか?」そう言ってエアコンの温度を下げ、そのままにして帰るから、次の人が部屋に入ってくるまでボクにとっては寒いままになっていたりする。

勝手に温度を変更して…と思うかもしれないが、ヘルパーさんやその他マッサージをしてくれる人、看護師さん、往診の先生や、リハビリの理学療法士、言語聴覚士さんなどなど、その人の思う最適を部屋で行っていくわけだからこれまた難しい。いいと思ってやってくれているのだから。

話は逸れるが、ボクは足が少し曲がって隙間ができてしまうので、そこにクッションを入れている。その人ごとの専門性で、これが正しいっていうクッションの入れ方がある。

誰かがやってくれて「これが正しい入れ方なのでこうしてください」っていう事例が写真で壁に貼ってあるが、違うって言ういう人もいる。「こっちの方がいいはずです。どうですか?」と。

まあ、そうかもしれないな、ぐらいの感じなんだけど、人によって違う。それを調整するのが、担当者会議ってもんなんだろうけど、そういえば最近やってないなあ。

いろんな人のやり方を聞いているのは結局ボク一人なわけで、エアコンの温度だってもう少し低く設定した方がいいって思って毎回変えていく人もいる。

熱中症は本当に怖い
重症化する前に対策が必要

熱中症は侮れない。急激に死に至らしめる。軽度であっても、めまいや立ちくらみ、手足の痺れなどの症状が出る。次は、頭痛や吐き気、力が入らなくなる。重症になると意識がなくなったり、真っ直ぐに歩けなかったり体温調節ができなくなったりするわけだ。

吐き気やひどい頭痛なんかが起きていたら受診した方がいいそうだ。急変する恐れもある。軽度のめまいや立ちくらみ程度でも、その症状が改善されない場合は見てもらった方がいい。

ボクの場合は最初から体温調節ができないので重症化しやすい。高齢者や赤ちゃんも同じだと思う。だからちょっとの日常の水分補給の量なんかがほんと大切になってくるのだ。飲めと言われてもなかなか飲めないのがネックなんだけどね。

入院しているときなんてどのぐらい飲んだか量って、まだ足りないまだ足りないってずっと飲んでいるような、そんな感じすらあった。

体が不自由なので手軽にはできないが、温度の低いシャワーや水風呂に入って体温を下げるというのも手ではあるらしい。熱中症になったら体の温度を下げることが先決だ。

屋外だったら日陰になっている風通しのいい場所に移動して、自販機か何かで冷たいペットボトルを買って動脈を冷やす。冷たい水を体にかけて扇ぐのも応急処置としてはいいそうだ。糖分、塩分を摂る必要があるので水よりは絶対、経口補水液の方がいい。なければジュースとかの方がいいかもしれない。

経口補水液は作れる!
熱中症に注意して夏を乗り切りたい

ちなみに経口補水液だけど、家にない場合でも簡単に作れる。500mlのペットボトルに水をいっぱい入れ、スティックシュガー5本(15g)と塩2つまみを入れるだけ。レモンや柑橘系のものがあれば絞って垂らす程度で飲みやすくなる。もちろん日持ちはしないので冷やしてすぐ飲むか、その場の応急処置で使い切ることがおすすめ。

経口補水液の注意点としては、大体ペットボトル500mlのもので1.5gの塩分が入っているので、いつも飲んでおけばいいってものでもないようだ。高血圧やいろいろな病気を持っていれば塩分や糖分も考えなければいけない。ああ、難しい。

経口補水液なんて大体おいしいもんでもないが、それをガブガブ飲めたり、おいしいって感じるときは脱水症状一歩手前なんだって思った方がいいとも言われた。8月ももうすぐ終わり、ちょっと秋らしい様子になってくるが、熱中症の危険はまだまだ続く。

そうそう、最後に環境省で「熱中症警戒アラート」っていうのを出している。メールアドレスを登録すれば、無料で通知が来る。そんな日は家にいるおばあちゃんや、おじいちゃんにはちょっと危ない日なんだなあと予想がつく。おすすめだ。

夏の太陽と砂浜