ひいおじいさんになった気分で
ちょっと高いところから今年も花見を満喫♪

新宿御苑で花見をした。この数年は恒例になっている。仲の良い知人や仕事仲間が集まってわいわいとやる。今年は満開宣言が出たまさにその日だった。
新聞連載の担当者がご夫婦で来てくれたり、同業のライターをやっている知人は結婚した娘夫婦を連れて家族4人で来てくれた。
大学時代からの友人、中学からの友人、雑誌社の担当者やゴールデン街のママさん、男優さん夫婦、カメラマンの美女やら元シンガーソングライターの美女、昔の上司やクモ膜下仲間、先日の取材で知り合った好青年まで、20人あまりでブルーシートを囲んだ。
みな知り合い同士ではないし、業種もさまざま。だけど結構盛り上がっていた。ボクは車椅子だからみんなよりちょっと高いところにいる。
手つくりのタコスおいしかったなあ。我が家はおでんを作り、やきとりや追分だんご、おいなりさんにサンドイッチ、シュウマイやらスイーツ、色んなものを持ち寄ってきてくれた。「これ飲む?」「これ食べる?」。ワイワイガヤガヤ。
ボクは大家族のひいおじいさんにでもなったみたいな気持ちでみんなを眺めている。皆がつながって話しているのを見ているとなんだかうれしい。
新宿御苑は車椅子ユーザーに優しい
「外に遊びにおいで」と言ってもらえた気分
今年の花見の舞台である新宿御苑は車椅子ユーザーにやさしい。歩道から芝の上に行くのにほとんど段差もない。バリアフリーの駐車場ももちろんある。
入場券は障がい者手帳で本人と付き添い1人が無料になる。車椅子用のトイレもいたるところにある。もちろん成人用のベッドつきである。うれしい。
ベッドつきの車椅子用トイレを発見すると、「どんどん外に遊びにおいで」。そう言われているようで実にうれしいのだ。トイレの片隅には授乳やオムツ替えの小部屋もあっていろいろ考えてくれているんだなあと思う。ユニバーサルデザイン情報マップもあって、新宿御苑の歩きにくい小道や坂道をチェックできるそうだ。車椅子やベビーカーで訪れても安心だ。
ユニバーサルデザインが進んでいく
2020年が楽しみだ
最近では街中の車椅子用のルートなどをアプリで検索できるようにもなった。ボクの知人で車椅子ユーザーの人が外に出かけるときもそのアプリに助けられるし、「ここは車椅子でも大丈夫」なんて、安全なルートの情報提供もできるようだ。そうやって街の車椅子お出かけマップができ上がっていく仕組みらしい。
Googleも地図アプリに車椅子やベビーカーで通りやすいルートを表示する機能が始まったばかり。「3月15日に東京、ニューヨーク、ロンドン、メキシコシティー、ボストン、シドニーで公共機関での路線検索で車椅子で移動しやすいルートを検索できるようにした」と発表したのだ。
3月19日から配信が始まった模様。利用できる都市もどんどん拡大していくそうだ。2020年に向けてユニバーサルデザインが進んでいっている気配がして大変うれしい。
またひとつクリアできた
ボクだってまだまだ遊ぶぞー!

今回のお出かけではもうひとつ試したくて持ってきたものがあった。その名も「スカラモービル」。いま、我が家の階段のリフトが壊れてしまって代替案として導入されている階段昇降機。ドイツ製の駆動式階段昇降機だ。
電子制御で4つの車輪が動き、人を降ろしたり上げたりといった動きを機械がしてくれる。それを車に積んできたのだ。普段は行けない、階段のある飲み屋さんに行ってみようともくろんだのだ。これを持っていけばかなり自由になる。小回りが利くコンビタイプ(椅子と階段昇降機が一体型)なので新宿の狭い雑居でもビルでも行けた。
まあ、もしものときだなあというのが本音。機械の持ち運びなどを考えると、やはりマンパワーに頼るほうが現実的だ。でも、またひとつクリアした気持ちはある。車椅子だと上れない階段ばっかりのビルの上だって行けちゃうのだ。
街行く人々が眼をとめる。くい~んうい~んといって階段を一段、また一段と上っていくボク。初めて眼にするのであろう。「すごいねえ、何ごと?」と。
どっちにしても、こんな大掛かりなもので通行人の妨げになっちゃってるんじゃないかっていつも気にしている。けれど、使わないにしても心はまたひとつ自由になれた。