みんなの介護アンケート
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老人ホームの不満を相談する窓口
みんなの介護が実施したアンケート結果によると、2割近くの方が「入居中の老人ホームに不満がある」と回答しました。
老人ホームは暮らしの場です。そこで生活する方が安心して過ごすためにも、不満を感じた場合の対処法や解決策を知ることは大切です。
本記事では、相談窓口や多くの方が抱いている不満、失敗しない老人ホームの選び方を解説します。
まずは不満がある場合に相談先について紹介します。主な相談窓口は以下の3つです。
- 老人ホーム
- 地域包括支援センター
- 国民健康保険団体連合会(国保連)
これらの窓口での苦情や不満の申し立ては、本人または家族が行うことが一般的です。以下でそれぞれ見ていきましょう。
老人ホーム
老人ホームに不満や意見を直接伝えることで、状況が改善する場合があります。
相談する際は施設長やケアマネージャーに相談しましょう。ケアマネージャーは公正中立の立場なため、適切なアドバイスをもらえます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の自立した生活支援や自分らしく過ごすための支援を目的に、介護・福祉・医療などをサポートしています。
高齢者だけでなく、家族も利用できることから介護者にとっても心強い味方と言えるでしょう。
国民健康保険団体連合会(国保連)
「老人ホームに直接言いにくい」「地域包括支援センターに相談したが改善が見られない」といったときは国保連に相談しましょう。
国保連は介護保険サービスや市区町村が行う介護サービスなどに対し、相談を受け付けています。
介護サービスの質の向上を目的としているため、苦情があった場合は介護保険事業者に助言や指導を行います。
【事例】老人ホームに対する不満
続いて、老人ホームに対してどのようなことに不満を感じているのか見ていきましょう。以下は入所していた施設を退去した理由についてまとめたグラフです。
事前の説明とサービス内容が違う
入居前に聞いた説明と入居後の印象が大きく違っていたことが原因で、不満を持つケースもあります。
月額費用の内訳や、そのほかの費用部分は月々どれくらいかかるかなど、見学時にしっかり確認しましょう。
もしも、明らかに法令・契約違反をしているときは、証拠を押さえた上で老人ホーム側と交渉することを視野に、行政の窓口や弁護士などに相談することも必要です。
パンフレットの費用と実際の請求額が異なる
老人ホームで入居時に多いトラブルが、月額費用の件です。
トラブルを避けるために、「月額費用に含まれる費目」や「別途かかる可能性がある費目」を確認しておくことが大切です。
老人ホームにかかる費用については以下の記事で解説しています。
スタッフへの不信感が生じた
老人ホームへのクレームとして多いのが、「部屋が汚い」「毎日同じ服ばかり着せている」といったものです。
もし、入居した初期段階で気が付いた場合はその場で伝えましょう。相談後、ちゃんと改善されているかを定期的にチェックすると良いでしょう。
老人ホームでの事故
老人ホームでは車いすやベッドからの転落・転倒による事故が多くあります。
平成29年度、厚生労働省老健局に報告された276事例の介護事故のうち、転倒・転落・骨落は181件でした。
こうした事故から寝たきりになる場合がありますが、施設側は過失を認めずトラブルに発展するケースも少なくありません。
「人手不足」が原因で起こることも
施設が職員不足だと、施設全体の見守りができなくなり、入居者の安全の確保が難しい状態にあります。
そのため、施設選びの際は職員体制について事前に確認しておくと良いでしょう。
入居者に原因がある場合も
ここまでは、老人ホームの対応に関する問題点を解説しました。しかし、場合によっては入居者が原因で施設退去を余儀なくされるケースもあります。
どのようなときに退去を求めるのか、以下で具体的に見ていきましょう。
入居者とのトラブル
入居者が「暴力を振るう」「暴言を吐く」「大声で奇声をあげる」といった行為に及んだ場合、ほかの入居者や職員に危害を与える恐れがあるため、退去を求められるケースがあります。
暴言・暴力に及んでしまう背景には認知症による症状や生活環境が変わったことによるストレスなどが考えられます。
【アンケート】認知症による暴言・暴力にどう対処した?薬などの原因や予防方法も解説
利用料の滞納
入居後に経済状態が変化し、入居費用を毎月支払うことができなくなる場合があります。
利用料の滞納が続いてもすぐに退去を求められることはありません。一般的に1~2ヵ月の猶予が認められています。
なお、未納分を本人が支払うことができない場合、連帯保証人や身元引受人に老人ホームから支払いの請求が行くことがあります。
医療行為が必要になった
老人ホームに入居後に身体状況が変化し、医療行為が必要となった場合に転居を求められることがあります。
仮に入居している老人ホームの近くにかかりつけの病院があっても、老人ホームで24時間医療対応をするのは難しいです。
入居予定の施設がどの程度、医療ケアに対応しているか確認しておくと安心できるでしょう。
以下は老人ホームの医療ケアの充実度をまとめた表です。
施設種別 | 医師の 配置義務 |
看護師の 配置義務 |
医療行為の 充実度 |
---|---|---|---|
有料老人 ホーム |
|||
グループ ホーム |
※任意 | ||
特別養護 老人ホーム |
※非常勤可 | ||
介護老人 保健施設 |
|||
介護医療院 | |||
介護療養型 医療施設 |
長期入院することになった
老人ホームの大半は、入居期間中に怪我や病気で3ヵ月以上の入院した場合、退去を求められることがあります。
入院中でも老人ホームなどの部屋代などはかかるので、入院費用に加えて大きな負担となります。
事前に長期で入院することになった場合のことも確認しておくと良いでしょう。
病院・クリニック併設の施設を探す不満が解消されなかったときは施設転居を考える
相談後も施設の対応が変わらない・改善が見られない場合や、入居者が生活を苦に感じる様子が見られた場合は老人ホームの転居を考えましょう。
違う老人ホームに転居することで、入居者も家族も安心して過ごすことができます。
この項目では、転居先としておすすめの老人ホームの種類や転居前の注意点などを解説します。
身体状況に合ったおすすめの老人ホーム
生活の一部で介護が必要な場合は「住宅型」
住宅型有料老人ホームは食事の提供や居室清掃などの生活支援サービスを受けられます。
介護サービスは外部を使用し、必要な分だけ受けられるため、利用頻度が少ない場合は費用を抑えられます。
また、レクやイベントも盛んに催されており、比較的自由な生活ができる点も特徴です。
サ高住からの転居や介護をあまり必要としない方におすすめの施設と言えるでしょう。
【図解】住宅型有料老人ホームとは?入居条件や特徴・1日の流れを解説
住宅型有料老人ホームを探す医療行為が必要な場合は「介護付き」
介護付き有料老人ホームは要介護5までを対象とした施設で、24時間の介護サービス、日中であれば看護ケアを受けられます。
また近隣の医療機関と協力体制であり、医療ケアも十分に整っています。
看取り対応する施設が多く、特養の代替として入居する方も見られます。医療ケアが必要な方、重度の認知症・介護度の方の転居先におすすめです。
【特徴がわかる】介護付き有料老人ホームとは?(入居条件やサービス内容など)
介護付き有料老人ホームを探す認知症ケアを受けたい方は「グループホーム」
認知症の進行を遅らせたい場合はグループホームがおすすめです。
認知症の方が主体となって家事を行いながら、認知症に効果的なレクなどをして脳を活性化させ、認知症の進行を遅らせます。
少人数で共同生活するので、入居者同士の距離感が近く会話も楽しめます。また、スタッフは認知症を熟知しているため、適切なケアを受けられます。
【図解】グループホームとは?入居条件や認知症ケアの特徴・居室の種類を解説
グループホームを探す施設へ入居する前に、注意するべきこと
老人ホームなどの施設を決めるとき、事前の見学はもっとも重要なポイントです。
しかしながら入所を急いでしまったあまり、入居後にトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
そうならないためにも、入居するご本人も一緒に事前の見学を行い、検討しましょう。見学は複数回行うことも可能です。
また少なくない時間を過ごす老人ホームは食事や設備面だけでなく働くスタッフの質も重要です。
教育がしっかり行われている施設は、職員全員が笑顔であいさつしてくれ、見学のときもご家族を快く迎えてくれます。
こういった施設の雰囲気も、しっかりと感じ取り環境にストレスを感じることがないようにしましょう。
医療施設や自宅とのアクセス
家族にとっては、施設までのアクセス面も大きなポイントです。
立地条件を考えるにあたり、定期的な面会だけでなく、緊急時に自宅からすぐに駆けつけられるかも合わせて考えると良いでしょう。
老人ホームの立地条件については以下で詳しく解説しています。
入居する老人ホームの情報収集
稀なケースとして、老人ホームの運営会社が倒産してしまうことがあります。
別法人に代わって運営が継続することもありますが、その場合はサービス内容などが変わる可能性もあります。
そうならないためにも、運営会社の経営状況や規模などは確認しておくと安心でしょう。
運営懇親会に参加する
運営懇親会とは施設状況を報告する場で、施設側の介護に対する思いやスタッフの対応を確認できます。
また参加した家族の意見や要望を反映させ、対応が改善される場合もあります。早めに問題点を伝えて改善につなげることで、状況の悪化を防ぎます。
介護のプロに相談する
数多くの老人ホームがあるため、希望条件と一致する施設を見つけ出すことに少なくない時間がかかってしまいます。
そういった悩みを抱えている方は一度、入居相談センターに問い合わせてみましょう。『みんなの介護 入居相談センター』では4万9,000件以上(2022年6月時点)の施設の中からあなたに合った施設を提案します。
見学予約や資料請求なども無料でご案内していますので、以下のボタンからお気軽にご相談ください。
施設退去するときの注意点
さまざまな理由から退去となってしまった場合、引っ越し作業が必要になります。それ以外にも必要な手続きが生じてきますのでご紹介します。
入居一時金が返ってくるのか
高齢者の方が入居するときに入居一時金を支払っていたら、入居した期間に応じて消化していない部分が返金されます。
返還金がいくらになるかは契約書、または重要事項説明書に計算方法の記載がありますので必ず確認しましょう。
わからない点は、ホームの担当者に直接確認を取り、疑問点を解決しておきましょう。
居室の原状回復費用
入居していた部屋については、契約する際に「居室を原状回復すること」というような記載があることが多いです。
入居期間中に自然に劣化したものはホーム側が原則負担しますが、損傷が高齢者の故意や過失によるとご本人もしくはご家族の負担となります。
原状回復についてトラブルが生じたときは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に対応している施設が多いです。
まとめ
もし老人ホームから退去が決まったとしても、ご本人やご家族と老人ホームの双方が納得した上で、転居することが理想的です。
老人ホームの入居契約は終身入居を確約するものではありません。長く施設にいれるよう、退去の要件はあらかじめ把握しておいた方が良いでしょう。
また、万が一のことも視野に入れ、入居時に支払った入居一時金が戻るのかも確認しておきましょう。
もしも入居前に聞き逃していた説明があれば、しっかりと問い合わせをして説明を聞き、入居時に不明点がない状態にしましょう。