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「思うところ、あります」本音と人間関係<前編>

今回の座談会のテーマは「口には出せないけれども、感じていること」。姉に、義姉に、義両親に……胸の内に秘めた「思うところがある」皆さまにお話を伺いました。

この記事に登場するみなさんのプロフィール(敬称略)
早坂 (仮) 早坂 (仮) 岡本 (仮) 岡本 (仮) 相田 (仮) 相田 (仮)
2022年末より、70代後半の要介護4の母が施設に入所している。母の面倒をみることに対して「他人事」のように振舞う姉に対して「思うところ」がある。
義両親から「一人娘なのだからいずれは親御さんと同居したら?」と、実母の介護の“プレッシャー”を受けている。義両親へ感謝しつつも自身らの将来を見据えた発言ではないだろうかとも感じている。
70代の母が関西の介護施設に入所している。近隣で長らく面倒をみてきた兄夫婦の意見を尊重すべきだと理解しながらも、割り切れない思いが……。

思うところ、あります

みんなの介護(以下、―――)
本日はよろしくお願いいたします。
早坂さんと相田さんは初対面だと伺っておりますので、まずは自己紹介をお願いできますか。

早坂早坂
早坂です。要介護4の母が2022年末より介護施設に入所しています。

母の話をさせて頂きますが、長らく思うところのある姉の話も交えてさせて頂ければと思います。
岡本岡本
岡本です。母を“通い”で介護しています。

義両親からは「一人娘なのだからいずれは親御さんと同居したらどう?」と言われています。ありがたいとは思いつつも、「牽制」のように感じてしまうことも……。

早坂さんとは普段から介護についてお話をする機会があるのですが、私自身にも“思うところ”が(笑)。
相田相田
相田です。岡本さんとは以前より親しくさせて頂いています。

父は亡くなっており、母は関西のある介護施設に入所しています。

施設の近くに兄夫婦が住んでいて、入所前から面倒をみてきてくれたので、兄夫婦の意見を尊重したいと思いながらも……。
早坂早坂
相田さん、はじめまして。相田さんも「思うところ」があるようで。
相田相田
はじめまして。

そうですね、私にもあるようです(笑)。

入院によって“顕在化”

――― まずは早坂さんにお話を伺いたいと思います。入所のきっかけについて伺えますか。

早坂早坂
母は以前よりパーキンソン病を患っていました。

2022年8月のある日、いつも通り「私」が病院へ連れて行く日だったので迎えに行ったところ、応答がない。

鍵を開けて急いでリビングに向かうと、母がうずくまるようにして倒れており……。
相田相田
ひょっとして熱中症ですか?
早坂早坂
そうなんです。トイレに行こうとベッドから降りる際、身体がうまく動かせずに転げ落ちてしまいました。……明け方の4時ぐらいからずっと同じ姿勢でいたようでした。
岡本岡本
独居の高齢者の方こそ熱中症の対策が大事ですよね。
早坂早坂
実は数日前から「少し倦怠感がある」と母が言っていたので、対策をしていたつもりが……救急車という選択肢が浮かばずに、着替えをさせて、タクシーを呼び、もう引きずるようにして病院に連れていきました。
相田相田
いざ目の前にするとパニックになっちゃいますよね。
早坂早坂
そうなんです。倒れている母を見た瞬間、とても焦りました。

診断結果はやはり、軽い熱中症。医師から「お母さまは一人暮らしですか?」と聞かれたので、独居であることを伝えると、「このまま入院されますか」と仰ってくださり、急遽、入院することに。
相田相田
実情を感じ取ってくださったのかもしれませんね。
早坂早坂
ただ、折悪くコロナに罹患してしまい、食事や排泄物の処理以外の時間は「隔離」に近いような状況が10日間も続いてしまいました。

パーキンソン病は動いていないと筋肉が固まってしまいます。案の定、退院する頃には身体がほとんど動かない状況に……そのままリハビリテーション病院に転院となりました。
岡本岡本
熱中症からはじまり、怒涛の日々。大変でしたね。

入院によって……

―― ここまでのお話でお姉さまがまだご登場されていません。

早坂早坂
そうですね。「仕事が忙しい」と言って、母のことは何から何まで私に押し付けるようなところがありましたから。

リハビリテーション病院へ転院する日も、病院からタクシーに乗り込む「10分間」だけしか母に会えないと伝えていたのに「仕事が……」とかなんとか言って来ないつもりで。

「ここで会わなかったら、一生会えないかもしれないよ!」と伝えてやっと重い腰をあげたような状況でした。
岡本岡本
コロナ禍を“理由”に自分を納得させていた部分も少なからずあったのかも。
相田相田
お身体が動かせないお母さまを見て、お姉さまは?
早坂早坂
ストレッチャーによる移動なんですよ、もう全く動けなかったので。それを見て少しハッとしたようでした。

看護師の方からも母の病状などを聞いて、現実と向き合う覚悟のようなものは感じました。

いまさらながらも、オムツを履いていることに驚いていたようにも見えました。
相田相田
下着が自力で変えられないという事実がね。赤ちゃんは成長の過程でいつか自分でパンツを履くようになるけれども、大人がその状況になるとね……。
岡本岡本
お姉さまも頭では理解していながらも、文字通り直視せざるを得ないですよね。

楽観的な姉との対峙

―― 入院後のお話も伺えますか。

早坂早坂
姉は少し楽観的なところがあるので、「『入院』してリハビリをすれば、また動けるようになるだろう」という気持ちがあるようでした。

母の様子が分かっていないながらも、入院期間が終われば「『おうち』に帰ればいいね」みたいに話していたので。でも、面倒見るのは結局「私」であって
相田相田
辛いお立場で……性格的なこともあるので、お伝えするのが難しそうな印象です。どなたかにはご相談されていたんですか?
早坂早坂
親戚に相談していました。これまでの私の様子や母の退院後の状況を考えた時に「施設入所しかない」と言ってくれていて。

話を聞いてくれるだけでなく、介護について知識がある方を紹介してくれたんです。それでその方を交えて「相談する場」を設定して、そこに姉も呼ぶことに。

姉の知らざる目的は、母の施設入所を姉に納得してもらうこと。
岡本岡本
うんうん、第三者がいるだけで心強いですよね。
早坂早坂
そうなんです、その方は当日も「介護は一人で抱え込むことではない」「ちゃんと2人で分担すべきです」などと話してくださり、施設入所についても「姉妹で施設を目で見てちゃんと回って、2人でいいと思ったところに入れるのが一番いい」と言ってくださって。
相田相田
とても頼りになる方!
早坂早坂
「馴染み」の居酒屋で話し合ったのですが、これまでのこともあってもう私が感情的になってしまって。

涙ながらに私は思いを伝えて、親戚と同席してくれた方は「冷静」に説得してくれて(笑)。それで姉もやっと施設入所に協力的になってくれました。
岡本岡本
第三者の存在がいることの重要性がよくわかりますよね。
早坂早坂
それからは、退院日までのほとんど土日で施設の見学に行きました。それこそ何十か所と。

入所の「決め手」は?

――― 見学をされていたときのことも教えていただけますか。

早坂早坂
介護施設の知識がほとんどなかったので……語弊がありますが「元気な方」が入所されていることをそのときになって初めて知ったんです。

独居を不安に思ってらっしゃる方もいらっしゃったので、母とお喋りしてくれる相手もいるだろうから大丈夫かな、と姉と話していました。見学を重ねるうちに「母のために」という気持ちも芽生えていったようで。
相田相田
そうだったんですね。それは良かった。

――― 入所先の選定にあたって「条件」はありましたか。

早坂早坂
第一条件は費用でした。母の資産で無理なくお支払いができるということ。そのなかでベストを見つけるというか……

「あの施設はご飯を食べながら春になると桜が見えるらしいね」「四季を感じられる施設がいい」

そんな話を姉としていました。

母は緑の少ない「都会育ち」なので、四季を感じられる場所、目でも楽しめる雰囲気がいいところを探しました。

もう一つ重要なことが、私と姉の自宅から同じ距離であること。
相田相田
それはとても大事!
岡本岡本
早坂さんのご自宅に近いとねえ。結局、早坂さんが「なんでも」やることになってしまうから。
早坂早坂
そうですね。そんな風にして入所先を決めたんです。ただし、入所後も姉はぜんぜん行っていないようですが(笑)。
相田相田
……(笑)。笑っていいのかしら。
早坂早坂
笑ってください(笑)。かれこれ2回ぐらいしか行ってないと思います。

でも、私も以前とは変わり、母の通院日を「私の融通がきかない日程」で設定するようにしたんです。どういう病院に通っているのか、通院にはどんなことが必要なのか、そんなことを感じてほしくて。

オムツも持っていくんです、それも知ってほしいと思って。
相田相田
素晴らしいアイデアだと思います。

姉とのそもそもの関係性

――― お姉さまとお母さまのご関係についても伺えますか。

早坂早坂
姉は母に「寄り付かない」というか。

3年前に父が亡くなったんです。「一人でご飯を作るのが嫌だ」と母が言うので、弁当宅配サービスを利用していたんです。でも、味が一緒なので、飽きるんですよね。

だから、週末はデパートでご飯を買って持っていくことにしたんです。私は平日に病院へ連れていったり、母の家事を担当しているので、姉にお願いしたんです。……持って行くには行くんですが、本当に持っていくだけ。1時間もいなかったようで。
相田相田
距離感が難しい関係性だったのかな。
早坂早坂
母は姉にやってもらいたいことがいろいろとあるのに、「忙しいから帰る」と言ってさっさと帰っちゃったようで。

私は母と“仲良し”というか気心がわかるので、買っていくものや家事なんかの「ツボ」を得ているんです。
相田相田
ああ……とてもよく分かります。言われないと持っていけない、そんな状況だったのかもしませんよね。お姉さまも「なんとなく」その空気感の居心地の悪さを感じていたのかも。
早坂早坂
そうなんです。例えばみかん一つにしても、私と姉が買っていく品種が違います。姉の場合「ただ選んできた」というか……。
相田相田
私も経験がありますが、横目で見ていて「ああ、それじゃないんだよなあ……」と。
早坂早坂
わかります!

ただそれって言葉で伝えることが難しいことなんですよね。でも、姉も姉でとても頼りになるんです。父が亡くなったときには、あらゆる手続きをすべて淡々とこなしていました。

「相殺かなあ」なんて思うときもありますが、でもやっぱりちょっと違う(笑)。
相田相田
そうですよ。事務的なことと精神的なことって全然違いますから。事務的なことには終わりがあるじゃないですか。
早坂早坂
ありがとうございます。こんなに共感していただけるなんて(笑)。

姉からすれば、「母に子供の面倒を見てもらってたでしょう」みたいな思いがあるらしく。

――― 早坂さんに対する「甘え」もあるのでしょうか。

早坂早坂
「私ならやるだろう」という考え方は絶対にあります。

――― ちなみにご家庭の雰囲気はいかがでしたか。

早坂早坂
子どもからは「なんでお母さん1人でやってるの?」「かわいそうだよ」って小学4年生の子どもに言われました。考えはまだ幼いですけども、「絶対に言った方がいいよ」なんて言ってくれて。

夫からは「姉妹の話だからあまり口出ししたくないけれども、やっぱり2人で決めなきゃいけないことってあるよね」って。

家族がわかってくれてたからこそ、惣菜を食べさせられても文句は一度も言われなかった。「今日も大変だったんでしょう?」みたいな感じで。
岡本岡本
うんうん……母親の大変な姿をみているからね。

介護のキーパーソン

――― 人間関係が介護にあらわれるような印象を抱きました。

相田相田
そうですね、私の友人で、ご兄弟から「あなたはバツイチで子供がいないから……」なんて介護を半ばおしつけられたケースも知っています。

――― お話を伺っていると、対処法が難しいとも感じます。

相田相田
不本意な形で介護をされている方は「納得がいかない」と思いながらも悶々とやっている方が多い印象です。「外野」が口を出すことも難しいですし。多分、一番気を回せる人がなっちゃうんですよ、自然と
岡本岡本
うんうん、長女とか年齢でなく、ね。相田さんは相田さんでとても苦労をされていて……。

前編では、早坂さんとお姉さまのご関係を通じて介護のお話を伺いました。後編では相田さんのお話に迫ります。相田さんの「思うところ」とは。

座談会写真

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