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排泄ケアから施設の課題を解決 大人用紙おむつシェアNo.1メーカーが目指すイノベーション

寝たきりは、“寝かせきり”から始まる――。長年、国内の施設や病院では寝かせきりの状態が「良い」とされてきた中、大人用紙おむつのリーディングカンパニーであるユニ・チャーム株式会社が提唱したのは「できるは ふやせる、ひとつずつ 」だった。おむつからできることは何か?厚い支持を集める『ライフリー』シリーズと、その裏にある改善と改良の積み重ねについて、営業企画部マネージャーの池田あゆみさんに伺った。

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適切な排泄ケアは介護施設の課題解決に直結する

介護などに頼らず自立した生活を日常的に送れる「健康寿命」と排泄トラブルは、切っても切り離せない。自立的な排泄をあきらめてしまうことで、ケアを行う家族やスタッフの負担は増し、ケア用品にかかる費用もかさんでいく悪循環は、日本の社会課題でもある。こうした課題解決に、ユニ・チャームはいち早く取り組んできた。

みんなの介護
「ユニ・チャームさんは、紙おむつなどの製造販売だけでなく「排泄ケア研究所」も設立されていると伺いました。なぜ、研究にも力を入れていらっしゃるのでしょうか?」

池田
「排泄ケア研究所」を設立したのは2000年のことです。「要介護の高齢者は、トイレで排泄するのは難しい」と諦める方も多くいらっしゃるのですが、果たして本当にそれで良いのかと前提から疑ったのです。そこで、全国の施設や病院で排泄ケアの実態を調査し、自立排泄の支援に繋げたいと考えました。

みんなの介護
研究を進める過程で、どんな傾向が見えてきたのでしょうか?

池田
端的に言えば、「寝たきりは、寝かせきりから始まる」ということですね。
弊社の「排泄ケア研究所」が取得しているお客様のデータを分析すると、トイレで排泄する方は、おむつに排泄する方よりも、自立度や意欲が高いことがわかりました。元気に動けるからおむつに頼らなくても良いのではなく、できるだけオムツに頼らないようにしているからこそ、生活の中に張り合いが生まれ、活力につながるのです。

みんなの介護
そうした研究成果は、製品開発にも還元されているのでしょうか?

池田
例えば、「リハビリパンツ」はその代表と言えるかもしれません。
私たちは「排泄は、人間の尊厳」ととらえており、自分でできることは自分でしていただく考え方を大切にしています。ですので、自立排泄を応援する「リハビリパンツ」を開発しました。介護界における排泄の考えの大転換に、ライフリーのリハビリパンツは大きく貢献できたと思っています。
あわせて “寝たきりゼロ”を目指すスローガンを展開したところ、私たちの考えは多くの方に受け入れられたと感じています。
介護業界は人手不足が続いていますが、おむつに頼らず、トイレで排泄できる状態が少しでも長く続けば、介護の負担も軽減できるはずです。そうした環境を作っていくことが、私たちの使命だと思っています。

おむつの進化が睡眠の質の向上にも直結 高性能パッド開発の裏側

ここで、ユニ・チャームのおむつ開発の歴史を振り返ってみたい。

約20年前は、おむつ交換は昼夜を問わず、まめにするのが良いとされてきた。しかし、頻度の高いおむつ交換は衛生面の担保と引き換えに、高齢者の睡眠を妨げている実態が研究から見えてきた。本当は夜にぐっすり眠りたいのに、おむつ替えの度に起こされてしまう人も少なくないのだ。
もし、寝つきが悪くなったり、夜間の眠りが浅くなったりすると日中にうとうとするだけでなく、例えば転倒などを誘発して、最悪は心身の健康を害する恐れもある。こうした課題の解決にも、おむつの機能改善でユニ・チャームは取り組んできた。

みんなの介護
おむつは頻繁に交換した方が衛生的で良いと思っていたのですが、一概にそうとも言えないものなのでしょうか?

池田
排泄をしたらすぐ交換した方が良いというのは、かつての常識でした。交換せずにいると、皮膚トラブルに繋がる恐れがあるからです。しかし、パッドの性能を高めることができれば、交換頻度が少なくても十分に衛生的に保てるのではないかと考えて製品開発に取り組みました。
例えば「ライフリー 一晩中安心さらさらパッド スキンコンディション」は、実際に使用してみると、尿の逆戻りがなく、長時間装着していてもサラッとしています。瞬時に拡散・吸収してくれるので、利用者様も快適に過ごすことができているようです。

みんなの介護
製品が進化すると、排泄ケアのあり方も変わるのでしょうか?

池田
夜間のおむつ交換を見直したことで、ぐっすりお休みになる方が増えました。交換頻度を敢えて落としたことによって、日々の暮らしが良くなっていくことを実感いただいています。
私たちは、製品開発と並行して、生活リズムの提案も行っています。具体的には、適切なおむつの選定と使用により、夜間のおむつ替えは極力せずに眠っていただき、日中は離床して過ごす生活リズムですね。
今では、他のメーカーさんも同様に提案してくださるようになり、夜間のおむつ交換は減少傾向にあると感じています。良質なおむつの使用と、適切な交換頻度により、最近では施設や病院のスタッフの方の業務負担を軽減しながら、利用者様に快適に過ごしていただく流れに変わってきていると捉えています。
新型コロナウイルスの流行により、おむつ交換時の感染予防の観点からも、交換頻度の見直しが進みました。これまで1日に6〜7回のおむつ交換を行っていた状態でしたが、1日に4〜5回まで減ってきています。

池田さんの話を裏付けるデータもある。

2020年、ユニ・チャーム株式会社は株式会社ベネッセスタイル ケアと取り組んだ『夜間ぐっすり排泄ケア』を一般公開。適切なおむつとパッドを使用し、夜間のパッド交換回数を低減するとともに、洗浄液を用いたスキンケアもしたことで、多くの人の睡眠状態の改善や、日常生活動作(ADL)の向上につながることが明らかになったのだ。
こうした排泄ケアの見直しによって、業務負担が軽減した施設も少なくないそうだ。

排泄ケアの見直しによって、業務負担の軽減とコスト削減も進む

みんなの介護
再び、おむつ交換の問題について伺います。利用者の方の健康だけでなく、現場サイドからするとトラブル防止のためにもおむつ交換を必要以上に頻繁に行ってしまう事もありそうですね。

池田
実際、夜長時間使用する場面では、もれに加え肌トラブルも発生頻度が高いのが実情です。
ですので、トラブルが起きるくらいなら、まめにおむつ交換をしてしまった方が楽という心理はあると思います。こうした状況を踏まえ、ユニ・チャームでは専門家と共同で高齢者の尿や肌の研究も進めています。
そのデータを製品開発に生かした一例が、10年以上かけて開発を進めてきた『一晩中安心さらさらパッドスキンコンディション』です。

みんなの介護
どういった製品なのでしょうか?

池田
おしり部分に搭載されたさらさらスライドシートが体の動きと連動し、摩擦を減らす構造になっており、最高級の肌へのやさしさを追求した商品です。また、尿の逆戻りがなく、長時間装着していてもサラッとしています。水分によってふやけた肌は敏感で、オムツの間で生じる摩擦による刺激は通常時の3倍にもなります。吸水力を高めるだけでなく、この「摩擦・ズレ力を低減する」ことで、衛生面も保ちながら安心してお使いいただけるポイントになっています。

みんなの介護
長時間の装着にむけて、他にも工夫されたポイントなどはあるのでしょうか?

池田
はい、やはりニオイトラブルは課題の一つです。現場から「尿だけしか出てないのに、便臭を感じる」という声が上がっていました。一般的に尿臭の原因はアンモニア臭と言われていますが、改めてニオイ成分を分析したところ、おむつ使用者の尿に便臭のニオイ成分も含まれていることが判明しました。
そこで、「ライフリー 一晩中安心さらさらパッドスキンコンディション」にアンモニア臭に加え便臭のニオイ成分もキャッチする活性炭シートを搭載したところ、ニオイトラブルが緩和されました。この他にも、ユニ・チャーム独自のモレ防止機能など5つの特許技術を搭載しています。

みんなの介護
こうした製品が普及すれば、介護のあり方も変わっていきそうですね。

池田
はい、ですが、おむつはあくまで道具です。
どんなに良い商品でも、使い方を間違えると効果は発揮されません。体の大きさや、排泄量など、個々の症状でおむつのニーズは大きく変わります。その方にとってベストなものを選んでいただきたいと思っています。また、全国に在籍する「排泄ケアコーディネーター」が定期的に施設や病院を訪問するサービスを提供しています。おむつの機能が最大限に発揮されるよう、現場において紙おむつの当て方などをサポートしています。

排泄ケアコーディネーターの働きかけにより、勉強会を通じておむつの「低頻度交換」を実現することができた施設では、これまで排泄ケアに過剰にかけていた時間を削減し、従業員の心のゆとりが生まれ、離職率が改善したという声も上がっているという。

ご提案いただいた排泄ケアの見直しをきっかけに、目指していた「個別ケア」の取り組みを進めることができました。業務負担が軽減され、職員が気持ちや時間のゆとりを持てるようになったのです。おかげさまで、当施設は離職者がほとんどいません。「ぜひここで働きたいという人がいるので、面接に呼んでいいですか」と職員から言われるほど。多くの職員が働きやすさや働きがいを感じてくれているようです。

特別養護老人ホーム 施設長インタビューより

おむつの性能は確実にあがっているが、おむつを使用する施設にとって、排泄ケアの方法を変えるには大きな発想の転換が求められるという。考え方の転換を妨げるのは、十分なケアができなくなるのではないかという従業員の不安や抵抗感だ。

スタッフが変化に対して前向きになれず、議論がなかなか進まないという施設も多いそうだ。おむつの交換頻度を下げることができれば、利用者と働き手のQOL向上だけでなく、施設運営コストの削減にも繋がる。日本全国の施設・病院のおむつ交換の実態調査を行っている排泄ケアコーディネーターは、統計的なアプローチから変化の後押しを行っている。

おむつメーカーとして敢えて推進する「トイレでの排便」の当たり前化

みんなの介護
ユニ・チャームさんにとって、理想の排泄のあり方とはどんなものでしょうか?

池田
実は、欧米では常識の「トイレでの排便」が当たり前になることを目指しています。

みんなの介護
おむつメーカーとしては、存在意義にも関わることではありませんか?

池田
おむつ内で排便を済ませることについて、日本では諦められてしまっている風潮があります。便が出ないと腸閉塞などの恐れがあるため、下剤を使って出すことは仕方ないことだと。
でも、欧米では、テープ止めのおむつを使う方でも、 排便だけはトイレでするのが当たり前の考え方です。やはり高齢者の自立心を高めて健やかに生活してもらうためにも、私たちはできるだけおむつ内の排便を減らす活動に取り組み、その結果として介護者の方の負担も軽減していきたいと思っています。

みんなの介護
「できるはふやせる、ひとつずつ 」を大切にされているのですね。

池田
より良い排泄ケアを目指し、それを浸透させていくことが、No.1メーカーに課せられたミッションだと思っています。現在は、食事内容や適切な下剤のタイミングと量を提案したり、「排便日誌」をつけて排便のタイミングを掴むことを推奨したり、多角的な方向から解決策を探っています。今後は福祉用具メーカーとも連動しながら、トイレに行きやすい環境作りを支援したいです。「当たり前」と思われてきたおむつに関する常識を、確固たる調査やデータ、使いやすい製品を通じてこれからも変えていきたいと思っています。

環境への配慮も重要な時代 使用済み紙おむつのリサイクルへの挑戦

みんなの介護
最近は、サステナビリティについても力を入れていらっしゃるそうですね。

池田
“Recycle for the Future”の頭文字を取った「RefF(リーフ)」プロジェクトを進めています。独自の技術で、使用済みの紙おむつのリサイクル化を実現しようというものです。現在、鹿児島県志布志市と大崎町で実証実験をしています。2022年6月には、鹿児島県内をはじめ九州地方 の一部の施設で、吸水紙の一部にリサイクル材を使用した『ライフリー』のテスト使用を始めることもできました。

みんなの介護
なぜ、サステナビリティも大切にされているのでしょうか?

池田
企業の社会的責任はもちろんなのですが、2030年には年間で使用済みの紙おむつの排出量は200万トンと予測されています。使用済み紙おむつをリサイクルした「RefF」製品は、見た目も機能も、通常のものと変わりがありません。現在、リサイクルできるパルプの量が限られるため、全国展開をするのは難しい状況ではありますが、2030年には10以上の自治体と連携できることを目標に、仕組み作りに力を入れています。

みんなの介護
おむつの改善で、世界が大きく変わっていく可能性があるのですね。

池田
私たちが一貫して大切にしてきたのは、「できるだけやりたいことを我慢せず、今まで通りの生活を続けてほしい」という思いです。排泄ケアはもちろんですが、地球環境についても共通しています。
大人用の紙おむつは、例えば外出制限の緩和など高齢者の方の生活改善はもちろんですが、大きな視点では、地球環境の改善にも繋がっています。
これからも、利用者ご本人と介護者の方に留まらず、社会全体にとって、より良い商品やサービスを提供していきたいと思っています。



 

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