いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915

顔認証で「誤薬」を防ぐ 介護現場の長年の課題を解決するアプリ

介護現場で発生する事故の中で、防ぐのが難しいものの一つが「誤薬」だ。名前を読み間違えたり、薬の種類や渡すタイミングをミスしたりなど、ちょっとした不注意で誤薬は起きてしまう。服薬の時間は常にリスクが伴う上に、最悪の場合は死亡事故へとつながることもあるため、介護事業者はこれまでずっと誤薬に頭を悩ませてきた。この長年の課題を解決するために、三菱電機ITソリューションズが開発したサービスが「めでぃさぽ」だ。いったいどのような技術や仕組みで誤薬を防ぐのか。開発責任者の川尻三重子さんにお話を伺った。

現場の悩みに寄り添った、新たなソリューション

みんなの介護
「今回は、服薬介助支援ツール『めでぃさぽ』についてお話を伺いますが、そもそも服薬支援の領域に取り組まれた背景について教えて頂けますか?」

川尻
「出発点は、お客様からのご要望です。実際の介護現場では、服薬介助をする際に多くのスタッフの方々が人手でダブルチェック、トリプルチェックを実施しています。しかし、どれだけ細心の注意を払っても、ごく稀に間違えが発生してしまいます。発生頻度が万が一だとしても、命に関わる問題です。人に頼らずにチェックできる仕組みを構築できないか?という相談を頂いて、開発をスタートさせました」

介護施設における事故の中で、もっとも多くの割合を占めるのが「誤薬」だ。令和元年の調査によれば、34.9%*1に及ぶ。服薬はミスが許されない領域であることに加えて、その頻度も高い。そのため、介護職員にとっても大きな精神的負担となっているという。利用者の安全と介護職員の負担の軽減、その両方の解決を目指して服薬介助支援ツール「めでぃさぽ」の開発が始まった。
 

*1 令和元年度 老人福祉施設等における事故報告 集計・分析結果(北海道のオープンデータを改変して利用)

  

正確さとスムーズさの両立

みんなの介護
「実際にアプリを開発する上では、どんな点に着目されたのでしょうか?」

川尻
「使われる介護職の皆さまへのヒアリングを重ねた上で、オペレーションを分析した結果、特に重要なのは本人確認における『正確さ』と『スムーズさ』を両立させることだと分かりました。

ご本人確認は、よく見知ったご入居者・ご利用者の方でも、ミスが無いように何度も確認する必要があります。しかし、重要なこととはいえ、人手だとどうしてもミスを完全に防止することはできません。この問題を一番シンプルに解決できる方法は何か検討を重ねた結果、スマホのロック解除でも一般的になってきた顔認証に着目しました」

みんなの介護
「顔認証が最初に登場したころは、まだまだ登録や認証に時間が掛かりましたが、最近のスマートフォンではかなり高速かつ正確になっていますよね」

川尻
「認証という切り口で見ると様々なオプションがありますが、バーコードやQRコードだと、薬包にそれらを用意するのに手間がかかるという問題があります。生体認証は正確さは担保できるものの、指紋はなかなかとりづらい。となると、より『正確さ』と『スムーズさ』を両立できる認証が可能なのは、顔認証ではないかという結論に達しました。」

みんなの介護
「根幹の技術が顔認証ということですが、『めでぃさぽ』自体はどのような仕組みで一連の認証の行程をシステム化しているのでしょうか?」

川尻
「『めでぃさぽ』では、薬包を撮影してから、服薬される方のお顔を撮影すると、登録されたデータと突き合わせて正しくお薬をお渡しできているかを判別する仕組みです。

薬包に記載されたお名前を読み取るAI-OCR(文字認識)と、顔認証による生体認証の両方で判別するロジックです。双方が一致しないと、お薬を提供できない仕組みにすることで、誤薬事故を防ぐことができます」
 

みんなの介護
「実際にシステムを作り上げる過程で、特に工夫されたのはどんな点でしょうか?」

川尻
「顔認証の方法ですね。顔認証自体はよほどの大きな変化がない限りは認証できるようにはなっています。
しかし、介護施設で実際に『めでぃさぽ』を使ってオペレーションをテストして頂くと、介護現場ならではの課題が見えてきました」

みんなの介護
「例えば、どんな課題でしょうか?」

川尻
「多かったのは、『顔を撮影されるのが恥ずかしい』といった精神面のことです。実際に撮影される方の立場になって考えてみると分かるのですが、どうしても顔を正面に向けることに抵抗感はあって当然ですよね。
また、体力的な問題などから、上体を起こし続けることができずに、すぐに横になってしまったり、眠ってしまったりといった事もありました。ラボでアプリ開発をしているだけでは気付くのが難しかった多くの課題に、介護現場で気付かされました」

みんなの介護
「こうした介護現場特有の課題を、どのように解決されていったのでしょうか?」

川尻
「1つ1つはシンプルな方法で解決することができます。例えば、目を開いた状態で撮影ができないケースは、事前に目をつぶった画像を登録しておけば、問題なく認識できます。実際に服薬時に認証される時に近い状態で利用者さんの写真を事前に登録しておくことで、認識精度を格段に高めることができるのです。よりスマートに使用していただくために、どのような設定を行うべきなのか、運用上の細かい工夫を積み重ねることで、『正確さ』と『スムーズさ』をより高めている状況です」

三菱電機ITソリューションズ株式会社では、介護現場におけるシステム利用について、包括的なサービスを提供している。その運用を支えるにあたり、手厚いサポートチームの役割が大きいという。
操作支援から運用支援までを、営業担当のみならずエンジニアまで関わって支援する体制があることも、システムを利用する上での安心感につながるポイントだ

介護業界の効率化のカギはビッグデータ活用

みんなの介護
「今後、介護領域のサービス開発については、どのような展望をお持ちでしょうか?」

川尻
「まず、他の業界もそうですが、ビッグデータを生かすということが大きなテーマになると思います。介護施設から集めたデータをもとに、弊社が持つテクノロジーと組み合わせて、業務を効率化できるサービスを提供していきたいですね。
また、『めでぃさぽ』の開発でも気付かされたのですが、こうした支援体制は、関わる全員がハッピーになれるものでないと意味がないと思います。


例えば、利用者の方に特化しすぎてスタッフの方の負担が増えすぎてしまったら、持続可能ではないですよね。決して簡単な道のりではないですが、弊社のシステムのコンセプトの根本には、全員がハッピーになれる状態を目指すことがあります。
特に、介護の職場は労働環境などについて、まだまだ改善の余地が多くあると思います。今後も現場の声を伺いながら、施設全体、介護業界全体がどうすればハッピーになれるか、貢献のあり方を模索していきます」

(注釈)
・めでぃさぽは、三菱電機ITソリューションズ株式会社の登録商標です。
・QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

Sponsored by 三菱電機ITソリューションズ株式会社

【第95回】「誰もが、いつでも、自由に」 すべての人が旅行できる世界を目指す
「ビジョナリーの声を聴け」は超高齢社会に向けて先進的な取り組みをしている自治体、企業のリーダー“ビジョナリー”にインタビューし、これからの我々が来るべき未来にどう対処し、策を練っていくかのヒントを探る企画です。普段は目にすることができない高齢福祉の最先端の現場を余すこと無くお届けします。
!

この記事の
要望をお聞かせください!

みんなの介護は皆さまの声をもとに制作を行っています。
本記事について「この箇所をより詳しく知りたい」「こんな解説があればもっとわかりやすい」などのご意見を、ぜひお聞かせください。

年齢

メッセージを送りました!

貴重なご意見を
ありがとうございました。

頂戴したご意見は今後のより良い記事づくりの
参考にさせていただきます!

【まずはLINE登録】
希望に合った施設をご紹介!