Q.83 官僚としてキャリアを積める人と一般社会で出世する人、どこかに共通項のようなものはあるのでしょうか?(やすべぇ・会社員)
官僚としてキャリアアップを遂げる人、つまり事務次官など高級官僚になっていく人には、何か共通の資質のようなものがあるのでしょうか?また、そうしてキャリアアップができる人には、一般社会でも共通するような何かがあるのでしょうか?宇佐美さんはどう考えますか?
とにかく「結果」を出すこと。そのマネジメント方法を自分なりに見つけ出すことが大切ではないでしょうか
省庁は大企業ですから、官僚としてトップまで行く人はどうしても「調整型」の人材になりがちです。他方で硬直した体制を打ち砕くべく型破りな「国士型」の人材が幹部ポストに配置されることは珍しいことではありません。
私自身が勤めていた経済産業省の人事を見ても、現体制のトップの事務次官である菅原さんは調整型で、NO.2の経済産業審議官である片瀬さんは国士型のタイプです。その前の体制でも事務次官の立岡さんは調整型で、経済産業審議官の石黒さんは国士型でした。そういう意味ではトップを調整型にして、豪腕な国士型の人材を随所に配置して保守と改革のバランスを取るのが経済産業省の人事の特徴であったように思えます。振り返ってみて経済産業省は、色々なタイプの人材が集まった面白い組織だったように思えます。
また私が出向していたNEDOという経済産業省の外郭団体の組織のトップは、元日立製作所の社長の古川一男さんという方だったのですが、古川さんもまた調整型タイプで「日立にいるときは、様々な人材をマネジメントするのが楽しかった。NEDOももっとイキがいい人材が楽しんで仕事できる組織にしたい。」ということを語っていたので、大組織として同じような傾向があるのかもしれません。
そういう意味では「トップは調整型になりがち」ということ以外に出世する人に人間性として特別な共通項があるようには私は思えないのですが、他方で「やり方は違えど出世する人はみな仕事において結果を出しきた人」ということは共通の特徴であったように思えます。経済産業省の幹部でも、結果の出し方は人それぞれで、部下にプレッシャーをかけて酷使するタイプから、合理的に物事を整理して情報共有し部下に明確な役割と指示を与えるタイプから、秘密主義で自分で情報を抱え込んで部下には作業だけ降る謎めいた人まで様々いました。
みなさんも出世を目指すなら、何でもいいので結果を出すための「自分なりのマネジメント手法」を見つけることが大切なように思えます。結果が出て法律を守っていれば、後からやり方は肯定されるものです。