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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.82 宇佐美さんは「尊厳死」についてどう思いますか?賛成ですか、反対ですか?(どんちゃん・会社員)

高齢化や社会保障問題と一緒に語られがちな議論に「尊厳死」があると思いますが、宇佐美さんはこの考え方についてどう思いますか?賛成ですか、反対ですか?もし、自分の親に尊厳死を選択する意思があったとしたら、どう対応しますか?

私は賛成です。そろそろ日本も、諸外国にならって本格的な議論が始まっても良いのでは、と思っています

私は「尊厳死」に関しては賛成の立場です。

大前提として政府の最大の役割は「国民の命を守ること」ですから、その役割を放棄するような形で「国民が自ら死を選ぶことを推奨する制度」は当然認められるべきではありません。

また、こう言ってはなんですが、何も尊厳死という制度がなくとも個人の選択として「自殺」を選ぶことは多くの場合止められませんから、なおさら政府として積極的に尊厳死を奨励する理由はありません。こうした前提の上で我が国でも尊厳死を巡る議論は幾度も行われており、1994年には日本学術会議が「死と医療特別委員会報告」をまとめています。

この中ではそれでも尊厳死を認める根拠として、

①近親者の物心両面にわたる過大な負担の軽減

②国民全体の医療経済上の効率性

③患者本人の意思の尊重

の三つが例示されていますが、このうち①、②に関しては法的、倫理的にも妥当でないとの見解が示され、尊厳死はあくまで「患者本人の意思」に基づいて「延命治療を放棄する」という文脈においてのみ認められうる旨が示されています。

そして具体的に尊厳死が認められるうる条件として

●医学的にみて、患者が回復不能の状態に陥っていること

●意思能力のある状態で、患者が尊厳死の希望を明らかにしているか、患者の意思を確認できない場合、近親者など信頼しうる人の証言に基づくこと

●延命医療中止は、担当医が行うこと

の3つをあげています。

その上で私が尊厳死に賛成するのは、親から「無理に延命治療してまで生きたいとは思っていない」と明確に言われているからです。私の親は当然ながらすでに私より遥かに多くの人々の死に立ち会った上でこのような結論を出しており、このことは私自身にとって非常に重要な話です。また、私の親以外にもこのように考えている人がたくさんいることは間違いないでしょう。

実際に尊厳死が認められている国は、ベルギー、スイス、オランダ、ルクセンブルグ、アメリカの一部、アジアでは韓国、台湾などがありますが、日本でもそろそろ尊厳死について本格的な議論がなされる頃合いなのではないかと思います。